「お祈り申し上げます」の意味とは?使い方と類語・返信の例文も

「お祈り申し上げます」はメールや手紙の結びの言葉として使われることがあるフレーズですが、ほかにはどのような使い方があるのでしょうか。「お祈り申し上げます」の意味と使い方、類語と言い換え表現を紹介します。また「お祈り申し上げます」の入ったメールや手紙への返信の仕方や英語表現も紹介します。

「お祈り申し上げます」の意味と例文

「お祈り申し上げます」とは「相手に良いことがあるようにと願う表現」

「お祈り申し上げます」は「相手にとって良いことがあるように、うまくいくようにと願うときに使われる表現」です。

私的に使われると、相手の健康や幸福、発展などが願われることが多く、ビジネスシーンでは、相手の成功や繁栄、活躍や繁盛などビジネスにおいてうまくいくことを願うときによく使われる表現です。

「お祈り申し上げます」は謙譲語

「お祈り申し上げます」の「お祈り」は「祈り」という言葉に尊敬の意味を表す接頭辞「お」がついた尊敬語で、「申し上げます」は、「言う」という意味の謙譲語「申し上げる」に「ます」という丁寧語が続いています。

このようにいくつかの敬語が繋がっていると二重敬語ではないかと疑われるかもしれません。しかし「二重敬語」とは同じ種類の敬語を重ねて使うことです。「お祈り申し上げます」のように尊敬語と謙譲語、丁寧語と異なる敬語が重ねられている場合には二重敬語ではありませんので、正しい敬語の使い方をした表現です。

「お祈り申し上げます」全体としては謙譲表現として使われているので、自分がへりくだることで相手に敬意を示しています。

「お祈り申し上げます」を使った例文

  • (私的に個人に対して)ご結婚おめでとうございます。お二人のご健康と末永い幸せをお祈り申し上げます。
  • (ビジネスシーンで)ますますのご繁栄とご発展をお祈り申し上げます。

「お祈り申し上げます」の使い方

「お祈り申し上げます」は目上の人に使える

謙譲表現である「お祈り申し上げます」は、上司などの目上の人に使えます。あいさつの最後などに使い、相手の健康や成功などを願います。

かしこまった印象を与える表現なので、目上の人で親しくないような相手に対しても使えます。

「お祈り申し上げます」は親しい間柄でも使われる

「お祈り申し上げます」は謙譲表現でかしこまった印象を与える表現ですが、慣習的によく使われてもいるので、親しい間柄で使われることもあります。友人に対して、落ち着いた状況で相手の健康や幸福などを願いたい時に使われることもあるでしょう。

「お祈り申し上げます」で故人の冥福を願う

「お祈り申し上げます」は故人に対して冥福を願うときにも使われます。亡くなった人が死後も幸福であってほしいという気持ちを「お祈り申し上げます」で表しています。

よくある使い方は「ご冥福をお祈りいたします」という表現です。葬儀の席で遺族に「ご冥福をお祈りいたします」と言い挨拶をします。

遺族に向かって言っているのですが、「ご冥福をお祈りいたします」は遺族に対してではなく、故人に対して言っている言葉です。「ご冥福をお祈りいたします」の意味をよく理解して使うようにすると、「ご冥福をお祈りいたします」というときに込められる気持ちが変わってくるでしょう。

メールや手紙の結びの文として使う

「お祈り申し上げます」はかしこまった表現であることから、メールや手紙の常套句として結びの文に使われます。メールや手紙の最後に「お祈り申し上げます」と書き、締めることで、読み手に希望を与える清々しい印象を与えられるでしょう。

メールや手紙での結び文としての例文
  • (メールで)今後の益々のご活躍とご多幸をお祈り申し上げます。
  • (手紙で)末筆ながら、○○様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。

「お祈り申し上げます」のビジネスシーンでの使い方

就活の「不採用通知」の結びの文として使われる

「お祈り申し上げます」は就職採用で会社が就職希望者に断りのメールや手紙の結びの文としてよく使われます。その意味は、「自社では採用はしないが、他社で採用されるように願っている」です。

このような不採用通知が届いたら、基本的には返信をする必要はありません。ただし、就活においてお世話になった人がその会社の人事部等にいるのであれば、それまでお世話になった感謝の気持ちを伝えるために返信することはできるでしょう。しかし、不採用理由などの問い合わせや、採用を懇願するような返信はしてはいけません。

「お祈り申し上げます」の類語(類義語)と言い換え表現

「祈念いたします」はかしこまった言い換え表現

「お祈り申し上げます」の「祈り」の類語に「祈念(きねん)」があります。「祈念」は「祈り念じる」という意味になり、「祈り」よりも祈る度合いが深まることから、「祈念」を使った言い換え表現は「お祈り申し上げます」よりもかしこまった印象になります。

「ご活躍を祈念いたします」「ご発展を祈念いたします」のように使い、とてもかしこまった表現なのでビジネスメールでも公的な意味合いのあるメールや手紙で使えます。

少しカジュアルな言い換えは「お祈りいたします」

「お祈り申し上げます」がかしこまりすぎているなら「いたします」と置き換えて「お祈りいたします」とすると柔らかい表現になります。ただし「お祈りいたします」も同じく謙譲表現なので、目上の人に使えます。

「お祈り申し上げます」への返信の仕方は?

相手への気遣いに感謝して返信をする

「お祈り申し上げます」の入ったメールや手紙をもらったら、相手の気遣いに対して感謝の気持ちを伝える返信をします。

「お祈り申し上げます」と書いた相手は、あなたのことを気遣ってその文面を書いているはずです。その気持ちに応える返信をするようにしましょう。

例文

お忙しいところ、お気遣いいただきありがとうございました。○○様におかれましても、なお一層のご発展をお祈り申し上げます。

「ご冥福をお祈り申し上げます」には「恐れ入ります」と答える

故人へのメッセージとして「ご冥福をお祈り申し上げます」と言われたら、遺族は相手の故人への気遣いに感謝した返信をします。

よく使われる返信の表現には、「恐れ入ります」「恐縮です」が挙げられます。「恐れ入ります」と「恐縮です」のどちらも「相手の行為に対して申し訳なく思う」という意味で、転じて相手の気遣いへの感謝の気持ちを表しています。

他にも、「お心遣いありがとうございます」「ご丁寧にありがとうございます」などと返すこともできるでしょう。

「お祈り申し上げます」の英語表現

「お祈り申し上げます」は英語で「I wish~」

「お祈り申し上げます」を英訳するなら「I wish」から文章を始めるといいでしょう。「I wish」の「wish」は、「望む」や「希望する」という意味の動詞で、相手の健康や成功を祈るようなときに使われる言葉です。

「I wish~」は直訳すると「希望する」ですので、「お祈り申し上げます」のような尊敬表現ではありません。しかし「I wish」で始まる文章は目上の人に対して使っても失礼にはなりませんので、安心して目上の人に送るメールや手紙に使ってみましょう

「お祈り申し上げます」の英語例文

  • “I wish you all the best.”
    「ご幸運をお祈り申し上げます」
  • “I wish for the prosperity of you company.”
    「御社のご繁栄をお祈り申し上げます」など

まとめ

「お祈り申し上げます」とは相手がある事柄がよりよくなることを願うときに用いられるフレーズです。健康や成功、繁栄や繁盛など、願われる事柄は相手との関係性などで変わってきます。メールや手紙など書き言葉としてもよく使われますので、「お祈り申し上げます」というフレーズの入ったメールなどをもらったら、相手の自分への気遣いに感謝した返信を送るといいでしょう。