「禍」の意味とは?熟語「禍根」や「禍々しい」とことわざも紹介

「禍」という漢字は「悪いこと」や「ふしあわせなこと」という意味です。そのため「禍根」「禍々しい」など、ネガティブな意味合いの熟語や表現に使用されています。それぞれの意味や読み方を説明しましょう。

他にも、新型コロナウィルスの流行下(2020年)に生まれた「コロナ禍」における意味の変化についても紹介します。

「禍」の意味と読み方

「禍」の意味は「悪いこと・ふしあわせなこと」

「禍」の意味は「悪いこと」「ふしあわせなこと」です。「予想していなかった不幸なできごと」というニュアンスもあります。

「禍」を別の言葉につなげて「〇〇禍」と使う場合は、「〇〇による被害」という意味になります。例えば「戦禍(せんか)」は「戦争による被害」、「水禍(すいか)」は「洪水による被害や、水に溺れること」という意味です。

「禍」の音読みは「カ」訓読みは「わざわい・まが」

「禍」の音読みは「カ」です。訓読みは「わざわい」「まが」になります。訓読みは表外読み(国が一般的に使うと定めていない読み方)のため、公文書や新聞・ニュースでは避けられています。

漢字自体は常用漢字のため「カ」と読む場合は一般的に使用可能です。名前に使える漢字でもありますが、ネガティブな意味の言葉のため、名付け方に工夫が必要になるかもしれません。

「わざわい」の表記は「災い」とも

「わざわい」の場合は「災い」と書くのが一般的です。「禍(わざわい)」は表外読みのため、特別な理由がなければ「災い」の方が無難です。

ちなみに「禍」も「災い」と同じ様に、送り仮名をつけて「禍い」と書くこともあります。頻度は高くありませんが、覚えておくとスムーズに読み進められるでしょう。

「禍」を使った熟語や表現

「禍根」とは「災難の元」を表現する熟語

「禍根(かこん)」とは「災難の元・原因」という意味の熟語です。災難の元を解決しないでおくことを「禍根をのこす」と表現します。反対に、しっかり解決した場合は「禍根を断つ」といいます。

例文
  • 話し合いを避けたことで禍根をのこし、物語はバッドエンドで終わってしまった。
  • 建国時にきちんと禍根を断ったことで、三百年以上、平和な時代が続いたらしい。

「禍々しい」とは「不吉・不気味なこと」

「禍々しい」は不吉や不気味なこと、悪いことが起きそうなことを意味します。読み方は「まがまがしい」です。「禍々しさ」と用いることもあります。

あまり一般的ではありませんが「凶々しい」とも表記可能です。意味は「禍々しい」から変わりません。

例文
  • いくら伯父の形見でも、そんな禍々しい絵画をリビングに飾るのは反対だ。
  • アニメキャラクターの禍々しさに、娘は泣き出してしまった。

「禍」を使ったことわざ

「禍福は糾える縄の如し」は漢文からできたことわざ

「禍福は糾える縄の如し」とは、漢文から生まれたことわざで「不幸と幸運は交互に起きる」という意味です。「吉凶は糾える縄の如し」でも同じ意味です。

「禍福(かふく)」は「不幸と幸運」を意味します。「糾える(あざなえる)」は、縄などが交互に絡ませた状態のことです。紐を交互に絡ませた縄のように、不幸・幸運は交互にやってくることを表現しています。

「禍を転じて福となす」とは災難を逆に利用すること

「禍(わざわい)を転じて福となす」とは「災難を逆に利用し、自分の利益にすること」を意味します。「災い転じて福となす」や「禍を転じて幸いとなす」とも用いられます。

意味のポイントは「自ら禍を利用しようと工夫すること」です。なにも行動しなかったのにたまたま幸福になった場合、「禍を転じて福をなす」とは言いません。

「禍」を使った表現「コロナ禍」

「コロナ禍」とは「新型コロナウィルスによる被害」

「コロナ禍(か)」とは「新型コロナウィルス流行によって起きる被害」です。病気の症状自体の被害だけでなく、対策のための経済活動停滞やデマのような人為的なトラブル、自粛生活によるストレスなども含めて用いられています。2020年に広がりニュースや新聞でも一般的に使われるようになりました。

「禍」があまり一般的な漢字ではないため、流行当初は「渦」と間違える場面も見受けられました。

「コロナ被害を受ける状況下」という意味でも使われる

「コロナ禍」は「コロナ被害を受けている状況下」という意味合いでも使用されます。「コロナ禍でも強く生きる」「コロナ禍こそ資格取得の勉強をしよう」などです。厳密には「コロナ禍の中」のような表現が妥当ですが、現在のところ誤用とはされていないようです。

「禍」の対義語・類語とは

「禍」の対義語は「福」

「禍」の反対の意味を持つ対義語は「福(ふく)」です。幸せや幸運を意味し、「禍福は糾える縄の如し」や「禍を転じて福となす」のように、「禍」と一緒に使う表現もあります。

「禍」の類語は「厄」

「禍」の類語は「厄(やく)」です。わざわいや苦しみ、災難を意味します。他にも「厄年(やくどし)」のように「悪い巡り合わせ」の意味でも用いられています。

まとめ

「禍」は古くから使われる言葉ですが、2020年に生まれた「コロナ禍」という言葉をきっかけに、意味に広がりがでています。このまま新しい使い方が定着することもあり得るため、変化を見守りたい言葉だと言えるでしょう。