「したたか」とは「ずるい」や「ずる賢い」などネガティブな意味で使われていますが、「とても強いさま」のようにポジティブな意味があることもご存知ですか。
今回は「したたか」の意味と漢字表記、使い方や類語のほかに「したたかな女」の特徴と付き合い方も紹介します。
「したたか」の意味と漢字表記とは?
「したたか」のもともとの意味は「とても強いさま」
「したたか」の意味は「とても強いさま」で、他からの圧力にも簡単に屈しない様子を指す形容動詞です。「したたか」の強さには「勇敢」という意味もあり、力強い勇者について「したたか」が使われることもあります。
ネガティブな意味で使われることもありますが、本来「したたか」はポジティブな意味で使われていました。
「したたか」には「手ごわい」の意味もある
「とても強いさま」という意味が転じて「したたか」は「手ごわい」という意味でも使われます。とても強いため、なかなか屈しないことから生まれた意味です。
逆境にめげない彼はしたたかだ。
「したたか」には「程度がはなはだしい」という意味も
また「したたか」には「程度がはなはだしい」という意味もあります。量的に多いという意味合いで使われます。
- 飲み過ぎたようで、したたかに酔っている。(意味:飲み過ぎて、ひどく酔っている)
- 頭をしたたかに打ちつける。(意味:頭をひどくぶつけた)
「したたか」は漢字で「強か」または「健か」
「したたか」は漢字で「強か」または「健か」と書き表します。しかし、どちらの読み方も常用外の読み方になるため、一般的にはひらがなで「したたか」と書き表されます。
「したたか」を使った表現とは?
「したたか」はネガティブな意味でよく使う
「したたか」はネガティブなニュアンスでもよく使われます。自分の利益にこだわり、そのために悪知恵が働くような人を「したたか」と表現する場合です。たとえば、「まさか部長に自分の仕事を押し付けていたとは、なんてしたたかな人なんだ」のように使います。
「したたかな女」とは「要領のいいずる賢い女」
「したたかな女」とは「要領のいいずる賢い女」や「自分の利益のためならうまく立ち回る女」という意味で使われています。
「社会的に自立した女性」という良い意味で捉えられていたこともあったのですが、現代では「要領のいいずるがしこい女」などの意味で使われることが多いでしょう。
また、男性に対して媚びた態度をとる女性についても「したたかな女」が使われることがあります。
「したたかな男」とは「計算高い賢い男」
「したたかな男」は「計算高い賢い男」という意味です。「したたか」の意味の「ずる賢さ」に着目されて悪い意味の表現として捉えられることもありますが、そうだとは限りません。「損得を考えて行動する要領のいいひと」という意味の誉め言葉として「したたかな男」が使われることもあります。
特にビジネスシーンで、男性に「したたか」が使われる場合は、良い意味の言葉として使われていることが多いです。
「したたかな人」はネガティブな意味合いが強い
「したたかな人」と「人」を使った場合には、「ずる賢い」という悪い意味で使われていることが多いです。性別が関係なくなると、「したたか」はネガティブな意味合いで使われて、「悪知恵が働く」や「自分の利益を考えて要領よく立ち回る」という意味で使われています。
「したたかさがある」とは「計算高い」という意味
「したたか」の名詞形「したたかさ」を使った「したたかさがある」という言い回しは、「計算高い」という意味になります。自分の損得について小利口な人に対して使われる表現で、ネガティブな意味合いがあります。
「したたかに生きる」とは「強くしなやかに生きる」
「したたかに生きる」という言い回しは「強くしなやかなに生きる」という意味で、良い意味の表現として使われています。大変な世の中でも屈指ることなく強く、たくましく生きている人を指して使われます。
また「したたか」の「計算高さ」や「うまく立ち回る」という意味に着目して、「したたかに生きる」は「目立つことはないものの生き抜く」という意味で使われることもあります。人と適度にコミュニケーションをとり、仕事も必要十分に行い、プライベートを充実させるような生き方を指してつかわれます。
「したたか」の類語とは?
「したたか」の類語は「辛抱強い」「我慢強い」
「したたか」の類語には「辛抱強い」「我慢強い」「気丈な」などがあります。どの言葉も「強く、たやすく屈しないさま」という意味であり、「辛抱強い」と「我慢強い」はつらいことでも耐えられるさまを指します。「どうしても彼に会いたかったから、辛抱強く待っていた」のように使われます。
一方「気丈な」は「気の持ち方がしっかりしていること」という意味で、「泣き出しそうになるのをこらえて、気丈な振りをしていた」のように使われます。
「あざとい」「ずる賢い」はネガティブな類語
「したたか」をネガティブな意味合いで使う場合「あざとい」や「ずる賢い」という類語に言い換えられます。
「あざとい」とは「思慮が浅く小利口なこと」という意味で、人をけなす言葉として使われています。一方、「ずる賢い」は「悪知恵が働き狡猾で自分の損得には利口なこと」という意味です。小利口な立ち振る舞いの人や、自分が得するためにうまく立ち回るような人に対して使われます。
「気に入ってもらうためお世辞ばかり言ってる彼って、相当あざといよね」のように、相手をけなす意味合いで使うことが多いです。
「したたか」の英語表現とは?
「したたか」は英語で「tough」
「大変強い」という意味の「したたか」は英語では「tough」と訳されます。日本語でも「タフ」としてカタカナ語になっている言葉です。「tough」は手ごわいや打たれ強いといった意味で使われることが多いです。
「あざとい」という意味合いの英語は「cunning」
「あざとい」や「ずる賢い」という意味の「したたか」なら英語で「cunning」と言います。「cunning」はネガティブな意味の言葉で、「狡猾な」や「ずるい」とも訳されて、抜け目がなく要領がいいような人に対して使われます。
「したたか」を使った英語例文
- “He is tough.”
「彼はしたたかだ」 - “She is so cunning that she takes advantage of her boss.”
「彼女はとてもしたたかで、上司を利用している」
【コラム】職場にいる「したたかな女性」との付き合い方とは?
嫌なときは嫌だと言う
職場でしたたかな女性は、自分の仕事を人に任せて自分は楽を使用する傾向があります。そんな女性に対しては、曖昧な態度を見せると仕事を押し付けられるかもしれませんので、自分が引き受けたくない仕事を依頼してきたら、はっきりとした態度で仕事を受けられないことを伝えましょう。
話半分で聞く
したたかな女性は自分の話のペースに巻き込みもうとしてきます。相手を褒めることに長けている人も多いので、したたかな女性の話は全てを信じるのではなく、話半分程度に聞いておくのがいいでしょう。
会話は要領よく終わらせる
したたかな女性はあいまいな返答で話をはぐらかし、結局、本音が聞き出せないということがあります。そんな女性と会話をするときは自分のペースで話を進めるようにして、必要なことを話し終えたら止めるという毅然な態度を取ったほうがいいでしょう。
本音は言わない
したたかな女性に本音を言うと、そこに付け込んできて自分のしたいように利用しようとするずる賢いところがあります。相手のペースに巻き込まれないためにも、本音を言わないようにして、相手とはほどよく距離を取るように心がけましょう。
まとめ
「したたか」には、「とても強い」「手ごわい」「簡単に屈しない」といった意味があります。ネガティブな意味で使う場合、自分の利益を優先して要領よく立ち回るような相手のことを形容して「ずる賢い」または「あざとい」ことを表します。
また、「強かな女性」に対してはある程度距離を取り、相手のペースに巻き込まれないように注意するとうまく付き合えるようになるでしょう。
いつでも凛として問題に立ち向かう彼女はしたたかな女性だ。