「壁打ち」の意味やビジネス・SNSでの使い方とは?類語も紹介

「壁打ち」とは本来、テニスやサッカー、バドミントンなどの練習法です。しかし、ビジネスシーンでは「考えを人に話す」、SNSでは「コミュニケーションはとらず発信だけする」という意味で用いられています。各分野での使い方や類語も紹介します。

「壁打ち」の本来の意味とは

「壁打ち」の意味は「1人で壁へ向けてボールを打つこと」

「壁打ち」の読み方は「かべうち」です。本来の意味は「1人で壁へ向けてボールを打つこと」になります。壁打ちする競技はテニスが有名です。他にもサッカーや、バドミントン(ボールではなくシャトル)も壁打ちすることがあります。

「壁打ち」の目的は練習や自主トレーニング

「壁打ち」を行う目的は、練習や自主トレーニングです。相手がいないと練習しづらい競技でも、壁打ちなら1人で練習できます。他にも「すぐに跳ね返ってくることから反応速度が上がる」「同じ場所を狙うことでコントロール力が増す」などの効果が期待されます。

「壁打ち」のビジネスでの使い方

ビジネスでの「壁打ち」は考えを人に話すこと

ビジネスシーンでは「壁打ち」を「自分の考えを、他の人に話すこと」という意味で用いています。「壁打ちしてもいい?」は「話を聞いてもらっていい?」という意味です。

社会人なら常識、と思う人もいるかもしれません。しかし、職種によっては使用することがなく、辞書にも載らない言葉のため、相手に通じない可能性もあります。また、人によって詳細な意味合いも違うため注意しましょう。

「壁打ち」は聞き手に助言を求めないのが一般的

「壁打ち」の聞き手(壁打ち相手とも)には、助言を求めないのが一般的です。「壁打ち」の目的が「自分の思考をまとめること」のためです。相手から相槌以外の返事がないことが、1人で壁に向かって練習する「本来の壁打ち」との共通点と言えるでしょう。

人や職場によっては、助言や返事があることを「壁打ち」と呼びます。この場合は、相手の反応から新しいアイデアが生まれることを期待しています。

「壁打ちに乗る」とは「壁打ちの相手になること」

「壁打ちに乗る」の意味とは「壁打ちの相手になる」です。「相談に乗る」から派生して生まれた表現だと考えられています。現在のところ「文法的に正しい」とは言えないため、かしこまった場面では避けた方が無難な表現です。

「壁打ち」と似た意味「ブレインストーミング」

「壁打ち」と言い換えられるような、ほぼ同じ意味の類語はありません。違いは大きくなりますが、類語と言えるのは「ブレインストーミング」です。「ブレーンストーミング」と表記することもあります。略語は「ブレスト」です。特定の議題に対して、複数人が自由に意見を述べ合うことを意味します。

考えを人に話す点は共通していますが、一方的に喋ることが多い「壁打ち」と違い、ブレインストーミングは参加者全員が平等に発言します。

「壁打ち」のネットやSNSでの使い方

SNSの「壁打ち」はコミュニケーションをとらない

ネットやSNSで使われる「壁打ち」は「コミュニケーションはとらず発信だけする」という意味です。一般的には、他人とコミュニケーションがとれる機能を使わないだけで、誰でも見られる状態で発信しています。

SNSによって「壁打ち」の詳細は変わります。例えば、Twitter(ツイッター)では「フォロー・フォロワーともにいないアカウントでツイートする」という意味です。他にも「相手が勝手にフォローするのは構わないが、自分からはフォローせず話しかけられても返信しない」場合も「壁打ち」と呼ばれます。

「壁打ち」の理由は「ストレス解消」「トラブル回避」

SNSは本来、コミュニケーションのためのサービスです。そこで「壁打ち」をする理由は人によって大きく違います。代表的なものは「ストレス解消」のためです。愚痴や趣味への思いを、他人を気にせずアウトプットしてストレス解消するようです。

次いで「トラブル回避」のためだという意見もありました。「イラストなどの作品を誰かに見てほしいが、コミュニケーションをとってトラブルに巻き込まれるのは避けたい」という思いで、作品を添えて壁打ちします。

「壁アカ(壁垢)」とは壁打ちするためのアカウント

「壁アカ」や「壁垢」とは、壁打ちのためだけのアカウントです。「壁打ちアカウント」の略だと推測されます。「垢」はネットスラングで「アカウント」を意味します。

多くのSNSでは、何か発言するとフレンドやフォロワーの目に入りやすいようになっています。そのため「壁アカ」を別に作り、簡単には見られないようにしています。

SNSにおける「壁打ち」の類語「独り言」

SNS用語の「壁打ち」の類語は「独り言(ひとりごと)」です。聞く相手がいない状態で喋ることを意味します。本来は自分の口で実際に発生することを意味しますが、SNSの文字による発言にも「独り言」は使用可能です。

「壁打ち」のその他の使い方

創作活動の「壁打ち」とは「世間から反応がない状態」

創作活動で使う「壁打ち」は「作品を発表しても、世間から反応がない状態」という意味です。「もう5年も壁打ち状態だ」のような形で使用します。

麻雀の「壁打ち」とは「雀卓のふちに牌を付けて打つこと」

麻雀用語の「壁打ち」は、「雀卓のふちに、自分の牌を付けて打つこと」という意味です。「牌」とは、漢字や模様が描かれた小さな麻雀道具のことです。読み方は「はい」または「ぱい」ですが、「麻雀牌」と続けて言う場合は「まーじゃんぱい」と読みます。

まとめ

「壁打ち」は本来スポーツ分野で使われていましたが、ビジネスやSNSでも広く使われるようになりました。将来的にはどちらも正式な意味になる可能性はありますが、現在のところは「特定分野の専門用語」です。どの場面でも気軽に使える言葉ではないため留意しましょう。