「つまるところ、~というわけだ」とは結論を述べる際の表現のひとつですが、この「つまるところ」とはどういった意味で、どう使うのが正しいのでしょう。「つまるところ」の使い方を例文で解説するとともに、「つまり」や「とどのつまり」など類語との違いや「つまるところ」の英語訳についても紹介します。
「つまるところ」の意味とは?
「つまるところ」の意味とは「結局のところ、要するに」
「つまるところ」とは「結局のところ、要するに」という意味を持つ表現です。いろんな事情を経て最終的にある考えに落ち着くこと、試行錯誤の末に最後にたどり着いたことを言い表す際に「つまるところ…」として切り出します。
「つまるところ」の漢字表記は「詰まるところ」
「つまるところ」は漢字では「詰まるところ」あるいは「詰まる所」と書きます。「詰まる」とは、これ以上隙間がなくいっぱいに入っている様、最後のところまで行きつくこと、などの意味を持つ単語です。「つまるところ=これ以上先がない(後がない)」というニュアンスになり、そこから「最終的に、要するに」といった意味で用いられるようになったとされています。
漢字で書いたほうが意味が分かりやすいですが、「詰まる所(詰まるところ)」と書くことは稀で、ひらがなによる表記が一般的です。なお、この語源・成り立ちからも分かるように、「つまるところ」は方言ではなく、全国で広く用いられる表現ということができるでしょう。
「つまるところ」と「つまり」の違いとは?
「つまり」とは「要するに、言い換えると」の意味
「つまり」とは「要するに、結局」という意味です。また「別の語に言い換えると、すなわち」という意味もあります。
「つまり」も「つまるところ」も、結論を述べる際やいくつかの考えをまとめる際に用いられる単語という点では似たもの同士ということになります。
「つまるところ」は書き言葉「つまり」は話し言葉
「つまり」と「つまるところ」は似た意味を持つ単語ですが、一般には「つまり」を話し言葉(口語)、「つまるところ」を書き言葉(文語)として区別することが多いです。「つまるところ」は書き言葉としての使用が多いのが特徴で、論文のような硬い文面でも好んで使用されます。
これに対して「つまり」はフランクな日常会話でも用いられる表現です。ただし、同じ会話でもビジネスシーンのようなかしこまった場面や丁寧な印象を与えたい場面では「つまるところ」を選んで使用することも多いでしょう。話し言葉、書き言葉という使い分けに加えてシーンによって使い分けるのも大きなポイントです。
「つまるところ」の使い方と例文
「つまるところ」は話のまとめや結論に使う
「つまるところ」はそれまでの話題をまとめる際、結論を述べる際に使います。また、これまでの話を簡潔に示したい場合にも「つまるところ」と切り出すことができます。
「つまるところ、初期対応の悪さが原因だったわけですね?」のように文頭で使用することが多いですが、「今回の件はつまるところ~」と文中で使用する例も挙げられます。
「つまるところ」は物事の核心に迫る際にも使える
「つまるところ」のもうひとつの使用例が物事の核心に迫るシーンです。「結局どうしたいの?」と問う場合の「結局」を「つまるところに」と言い換えるとわかりやすいでしょう。
たとえば、物事をはっきりさせたいときに「つまるところどっちなの?」使うことができますが、やや強い口調として受けとられることもあります。
「つまるところ」と敬語表現で目上の人にも使える
「つまるところ」という単語そのものに敬語としての意味はありませんが、後に続く言葉を敬語表現にすることで、目上の人に対しても使うことができます。先述のように「つまるところ」はやや硬い印象を与える表現なので、会議やビジネス文書、論文等での使用もしばしば見受けられます。
「つまるところ」で相手の話をまとめるのは失礼
「つまるところ」は結論を述べたり話をまとめたりする際に便利なワードですが、相手が話した内容を「つまるところ、~ということですね」と勝手にまとめるのはぶしつけな印象を与えることがあります。特に、上司や取引先の相手など目上の人の提案をまとめる場合には、相手の発言を軽視したような印象を与えかねません。
そのため、自分の話をまとめる際に「つまるところ~ということになります」と使うに留める、あるいは配慮を示すために「失礼ですが、つまるところ~ということで間違いないでしょうか」とクッション言葉を挟むのがベターです。
「つまるところ」を使った例文
- 今回のトラブルは、つまるところスケジュール管理の甘さによるものと考えています。
- つまるところ明日の会議に参加するのは何名ですか?
- つまるところ、感染症対策の基本は手洗いということだろう。
「つまるところ」の類語とは
「つまるところ」の類語「要するに」「すなわち」
「つまるところ」と似た意味の単語では「要するに」や「すなわち」が挙げられます。いずれも、これまで述べたことを別の言葉でまとめる際や今まで述べたことを別のワードで説明し直す際に用いられる表現です。
「一言でいうと」も類義的な表現
「つまるところ」と似た表現では「一言でいうと」や「端的に表すと」なども挙げられます。意味としては「つまるところ」とほぼ同じですが、より短い言葉でまとめたり、説明しなおしたりする際に使います。
「とどのつまり」も「つまるところ」の類語のひとつ
「とどのつまり」もまた「結局、つまるところ」という意味の表現です。この場合の「とど」とは魚「ボラ」が成長した姿を指しています。
「ボラ」は成長する度に名前が変わる出世魚で、地域によって成長過程の呼び名は異なるものの、最終的に「とど」と呼ばれる魚です。「とど=これ以上大きくならない」ことから、「最終的に、結局」という意味を持つ「つまり」と組み合わせ、「とどのつまり」というようになったとされています。
「つまるところ」の英語訳とは
英語では「after all」や「in short」を使う
「つまるところ」は英語では「after all」や「in short」などのイディオムを使用して表現します。「after all」には「結局のところ、なんといっても」などの意味があります。一方「in short」は「要するに、手短に言えば」という意味です。
このほか、「結局」という意味を持つ「in the end」も「つまるところ」と和訳される表現です。
「つまるところ」の英語例文
- After all, it is expensive.(つまるところ、価格が高いというわけだ)
- It was difficult for me after all.(つまるところ、私には難しかったようだ)
- In short, we should make a promotion plan immediately.(つまるところ、私たちはすぐさま販促計画を作るべきだ)
まとめ
「つまるところ」とは「結局、要するに」という意味の表現で、話をまとめる際や核心に迫る際に用いられます。書き言葉として紹介されることが多い一方で、ビジネスの改まった場では話し言葉としてもよく用いられます。ただし、目上の人の話をまとめたい場合に「つまるところ…」と切り出す際には、相手の発言を軽視したような印象を与えかねないため配慮が必要です。
多用すると聞きにくさ・読みにくさにつながるため、要所での使用がポイントとなります。