「暗喩」の意味とは?「隠喩」との違いや例文・メタファーも解説

「暗喩」は物事をたとえて言う時に「…のようだ」という言葉を使わず、「それだ」と直接的に表す比喩表現の一つです。一見すると「隠喩」や「直喩」と似ていますが、違いを把握していますか?

ここでは「暗喩」の意味と読み方の他、使い方と例文、類語などを紹介します。「隠喩」「直喩」「メタファー」についても参考にしてみてください。

「暗喩」の意味とは?

「暗喩」の意味は「たとえの形式を用いない比喩」

「暗喩」とは「たとえの形式を用いる比喩」のことです。もともと比喩は、ある物事や状況などを聞き手にわかりやすく説明するために、似たようなものを「たとえ」として選び、文章に用いることを指します。

「暗喩」は、いくつかある比喩の中でもたとえをとらず、直接「そうだ」と表すものをいいます。たとえば「あの人は神様だ」は「あの人は神様のように心が広く温かい人だ」ということを、断定的に表そうとしています。また「彼の態度は鬼だ」なら「彼は態度は横柄で醜い」といったことを、たとえの語句を使わずストレートに示しています。これが「暗喩」の簡単な例です。

「暗喩」の読み方は「あんゆ」

「暗喩」の読み方は「あんゆ」です。「暗」には「くらい」「やみ」「隠れて見えない」、また「喩」には「たとえる」「たとえ」「教え諭す」などの意味があります。

「暗喩」の対義語となるのが「直喩」

「暗喩」は「たとえの形式を用いる比喩」ですが、「たとえの形式を用いる比喩」を「直喩といいます。つまり「暗喩」の対義語が「直喩」です。

たとえば「あの人は太陽のような人だ」という文章からは「あの人は太陽のように明るく元気な人だ」ということを伝えようとしていることがわかります。この使い方は「暗喩」ではなく「直喩」という比喩表現になります。

「暗喩」と「隠喩」は同じ意味

「隠喩(いんゆ)」は「暗喩」と同じ意味を持つ言葉です。どちらも「…のようだ」にあたる語句を使わず、物事や状況をたとえる表現を指します。「暗喩」や「隠喩」は、たとえをストレートに表現するため、一層印象深く聞き手に伝えることができます。

「暗喩」の使い方と例文

「暗喩」を使うと断定的に伝わる

比喩表現には、たとえを使わない「暗喩」と「まるで」や「…の如く」のような語句を使う「直喩」があります。この二つの表現を比較して明確に異なるのは、暗喩が「それだ」と言い切りの形式を用いている点です。

たとえば、「暗喩」の対義語となる「直喩」を用いた表現では、「…ような」にあたいする語句を使うため、やわらかい印象になります。しかし、たとえを用いない「暗喩」では「それだ」と言い切るため、物事や状況が断定的に相手に響きます。

このように、同じ内容を伝えようとしていても、「暗喩」を使った場合と「直喩」を使った場合では、聞き手に届いた時の印象が異なります。

比較例文

「暗喩」を用いた場合:今日の私の心は曇り空だ

「直喩」を用いた場合:今日の私の心は曇り空のようだ 

「暗喩」はたとえを強調したい時に使う

「暗喩」は「直喩」とは異なり、同じ比喩表現でありながら直球な印象を与えるのが特徴です。そのため、状況や物事を述べる際に聞き手に与えるインパクトを予想しておく必要があります。

「暗喩」は非常に断定的なニュアンスで聞き手に響くため、オーバーな表現として聞き手に解釈されることもあります。「暗喩」は、文章で使うたとえを特に強調したい時だけ用いるようにしましょう。

「暗喩」を用いた比喩表現

  • 彼女に振られてから、僕の心は嵐だ。
  • 空に広がる雲は、無限大の綿菓子である。

「暗喩」以外の比喩表現は?

「明喩」は「直喩」と同じ意味をもつ類語

「明喩(めいゆ)」も「直喩」と同じ意味を持つ言葉です。つまり「暗喩」や「隠喩」の対義語となる比喩表現で、「…のような」「…の如く」「…みたいに」などの語句を使います。そのため、たとえの語句を用いない「暗喩」に比べて、聞き手に与える印象が少しやわらかくなります。

「提喩」は「包摂関係の二語を置き換える」

「提喩(ていゆ)」とは包摂関係となる二つの言葉の置き換えを意図する比喩となります。包摂関係とは「上位語」と「下位語」の関係を意味します。「提喩」には上位語・下位語が同じカテゴリーにあるのが特徴です。たとえば「お茶」を上位語とする場合、下位語は「コーヒー」や「クリームソーダ」などになります。

「お茶でも飲もうと思い、喫茶店でクリームソーダを頼んだ」という文章では、「お茶」は「飲み物」を表し、日本茶やほうじ茶など「お茶」の種類を指しているのではありません。こういった使い方をするのが「提喩」です。

「換喩」は「包摂関係ではない二語の置き換えが目的」

「換喩(かんゆ)」とは「包摂関係ではない二つの言葉の置き換えを目的とする」比喩表現です。「提喩」とは異なり、二つの言葉の間に関係はなく、同じカテゴリーにない言葉が使われます。

たとえば、「ノーベル賞が外でサッカーをしている」という文章では「ノーベル賞」と「サッカー」は上位語・下位語の関係にありません。ここでの「ノーベル賞」は「頭が良く勤勉な子供」を表そうとしています。このような使い方を「換喩」といいます。

「暗喩」を英語でいうと?

「暗喩」は英語で「metaphor」

「暗喩」を表す英語は「metaphor」です。「metaphor」は言語分野の修辞学で使われる専門用語の一つですが、日本ではカタカナ語の「メタファー」や「メタフォー」として広く知られています。

また「暗喩」と反対の意味を持つ「直喩」は英語で「simile(シマリ)」、「換喩」は「metonymy(メトニミー)」、「提喩」は「synecdoche(シネクドキ)」となります、

「like」「as if」を使った英語訳も

実際に「暗喩」を使った文章でも、直喩で使うべき「like(のような)」や「as if(まるで…のよう)」、また「so to speak(言わば)」などの表現を使うこともあります。

厳密的に英語で訳してみると、「暗喩」を使った場合「彼は神様だ」は「He is a God」となります。もちろん、話し手は心の中では「神様のような人」と言いたいのですが、あえて強調するために直喩で用いる「like」などを省いています。一方、直喩の場合は「He is like a God」となり、直訳すると「彼は神様のような人だ」となります。こちらは直喩の本位的な使い方です。

専門分野での話は除き、一般的な英語圏における解釈は「比喩表現」という括り一つです。そのため、たとえ「暗喩」を意図する文章でも聞き手にわかりやすいように、たとえの語句を使うことがあるのです。’

「暗喩」を用いた英語の比喩表現の例

  • He is the sun. (He is like the sun)
    彼は太陽だ。
  • There is the flower printed carpet all over the hill.
    丘には花の絨毯が一面に広がる。

まとめ

「暗喩(あんゆ)」は「たとえの形式を用いない比喩」を意味し、「…のような」などの語を使わずに直接「それだ」と言い切る使い方をします。対義語は「直喩」で「たとえを用いる比喩」を指します。また「隠喩」は「暗喩」と同じ意味を持ち、英語では「metaphor(メタファー)」と表記します。

「暗喩」や「直喩」は日常生活でもよく使われますが、「たとえの語を使っているかどうか」によって異なります。この機会にニュアンスの違いや聞き手への伝わり方を確認してみましょう。