「依拠」の意味と読み方とは?準拠との違いと類語・英語も紹介

「依拠」は「あることに基づいたり、よりどころにすること」を意味する言葉です。難しい論文や書籍などで登場する言葉ですが、似た言葉「準拠」とは意味や使い方においてどのように異なるでしょうか?

ここでは「依拠」の意味と読み方の他、準拠との違い、使い方とその例文、類語などをわかりやすく紹介します。

「依拠」の意味とは?

「依拠」の意味1「ある事柄に基づくこと」

「依拠」は「ある事柄や物事に基づくこと」を意味する言葉です。ある存在を基準にしたり、またベースとすることを表しています。

「依拠」の「依」は「頼りにする」や「従う」、「拠」には「よりどころ」や「足場」といった意味があります。この二つが組み合わさってできた言葉が「依拠」です。

「依拠」の意味2「よりどころとすること」

「依拠」には「よりどころとすること」という意味があります。あるものを根拠や土台とすることを表す言葉で、ベースとなるものを基軸として何かをするような状況で使われます。また、この意味から転じて、状況によって「依存」に近い意味で用いられることもあります。

「依拠性」は著作権の法律用語の一つ

「依拠性」とは、もともとある他人の著作物を利用して、新しいものを創ることを意味します。完全に初めから作り上げたオリジナル作品ではなく、既存の商品やアイデアなどをよりどころとして、ものやサービスなどを創ることを指します。つまり「著作権侵害」に関する言葉です。

現代の言葉で「パクリ」と呼ばれることもありますが、とくに利害性のあるものに関しては、「依拠性」を問うための裁判が行われることもあります。裁判では「依拠性が認められる」「依拠性は見られない」などというように使われます。

「依拠」と「準拠」の違いは「従う要素の強さ」

「依拠」と似た言葉に「準拠」がありますが、意味や使い方の上で少し異なります。「準拠」とは「あるものごとに従う」という意味があり、「規範に外れることなく」や「規則に従って」というようなニュアンスで使われます。比較例文で意味の違いを確認してみます。

比較例文
  • 安全基準に依拠して、工場内でのルールを作る
    (意味:安全基準を土台にするが、少し変わるかもしれない)
  • 安全基準に準拠して、工場内でのルールを作る。
    (意味:安全基準に従い、安全基準に沿ってルールを作る)

このように「依拠「と「準拠」では、同じような文脈でも意味が異なるため、正しい状況を判断してから言葉を選ぶようにしてください。

「依拠」の使い方と例文

「依拠」は論文や発表などでよく使われる

「依拠」は日頃の生活でカジュアルに使われる言葉ではなく、形式ばった場面や状況で使われることがほとんどです。たとえば、大学の論文や研究レポートなど、あるものを基準として物事をする際、工程や手順を説明する段階で「依拠」または「依拠する」という言葉を使うことがあります。

大学で医学を学ぶ生徒なら、医学書のある項目に依拠して論文を書き上げることもあるでしょう。また、企業で営業とした働く人なら、販売哲学に依拠したセールストークを繰り広げることもあります。

例文

会社の経営方針は、先代の考えに依拠したものである。

「依拠」は何かに頼ってしまう状況でも用いる

「依拠」は使い方が容易な言葉ではないかもしれませんが、意外と身近な場面で使うこともあります。もし、自分の考えや価値観に対して偏った傾向があるならば、何かに依拠しているということも考えられます。

たとえば、最近読んだ本に人生の価値観を見出しそれに頼ってしまうことがあれば、それは本の主旨に依拠している証でしょう。また、友達がダイエットの成功話をした時、それが依拠となって栄養学を真剣に勉強するようになった、というようなこともあります。

もちろん「依拠」と「依存」は意味の上で異なりますが、何かに頼ってしまう状況を表す時にも使うことがあります。

例文

哲学のみに依拠して行動するのは、非常に危険である。

「依拠」は先例や過去のデータと比較する時にも使う

「依拠」はビジネス環境でも使われる言葉です。たとえば、資料作成やプロジェクト会議などで先例や過去のデータなどと比較して話を進めるときに「これは先例に依拠する」「過去のデータを依拠した提案書」などと言ったりします。

「依拠」には「あるものを土台とすること」という意味があるため、「前例」「過去のデータ」「フィードバック」などの情報をよりどころとして、何かをするときにも使うことができます。

例文

今回は顧客のフィードバックに依拠した改善策を立てる予定だ。

「依拠」の類語とは?

「依存」は「他人や他の物事に頼って生活を送ること」

「依存」とは「他人や他の物事に頼って生活を送ること」を意味します。「依存する」の他に「依存心」や「依存物」というように使われ、自分自身やオリジナルではなく、他をよりどころとして頼ることを「依存」といいます。

「依拠」には「あるものに基づくさま」という意味がありますが、「依存」は「他に頼りきる」といったニュアンスがあるため使い方が異なります。

「足場」は「物事を行う時に基盤となる場所や土台」

「足場」は「足場を固める」というように、「物事を行う時に基盤となる場所や土台」を意味します。建築現場の足場からも想像できるように、物事のベースとなるものでぐらつかない安定した場所を表します。

たとえば、計画を立てる際に「まずは足場を固めよう」と言って、主要となる項目を挙げていくことがあります。つまり、大きな物事の軸や基礎となる箇所を「足場」といいます。「依拠」には「物事のよりどころになるもの」という意味がありますが、「足場」の場合そういったニュアンスは薄くなります。

「基軸」は「物事の中心や基となるところ」

「基軸」は「物事の中心や基となるところ」を意味する言葉です。たとえば、思想や概念などの根本となる部分や、また企業や組織においては精神やモットーなど、最も基礎となる箇所を「基軸」と呼んでいます。

「基軸」には「依拠」が持つ「依存」といったニュアンスがあまりないと言えます。むしろ「基軸」は物事のセンター部分や、大黒柱になる重要な箇所を指す時に使われるのがほとんどとなります。

「依拠」を英語で表すと?

「依拠」の英語1「be based on」

「be based on」は「〇〇を基礎とする」「〇〇をベースとして」といった意味で使われる定型フレーズです。「依拠」を「あるものに基づいくこと」という意味で使う時に活用できます。

例文

This project was based on the previous data.
このプロジェクトは前回のデータに依拠して作られたものです。

「依拠」の英語2「rely on」

「rely on」は「他人や他の物事に頼る」という意味があります。「rely on」はある物事を参考にするときや基礎として用いる時にも用いられるフレーズです。

例文

I somewhat rely on the concept of his thought .
私は彼自信が持つ概念に依拠してるところがある。

まとめ

「依拠」の読み方は「いきょ」で「あることに基づくこと」や「あるものごとのよりどころとなるもの」という意味があります。似た言葉に「準拠」がありますが、意味が異なるため使い分けが必要です。「依拠」は使いやすい言葉ではなりかもしれませんが、意味をしっかりおさえておけば、プレゼンや企業説明会などで活用できるでしょう。