「虚仮」の意味とは?使い方や「虚仮」のつく慣用句と類語も解説

「虚仮(こけ)」とは「真実ではないこと」や「思慮が浅く愚かであること」を意味します。普段は無意識に口にしている言葉ですが、実際は仏教用語の一つであり、また聖徳太子の言葉にも使われている言葉でもあります。

ここでは「虚仮」の使い方をはじめ「虚仮」を使った熟語表現や慣用句、類語や英語表現などをわかりやすく解説します。

「虚仮」の意味とは?

「虚仮」の意味1「真実ではないこと」

「虚仮(こけ)」とは仏教用語の一つで「真実ではないこと」や「外見と中身が一致しないこと」を意味します。

事実ではないことや偽りの姿などを表し、心の中や行動において嘘があることを指す言葉です。また、外面は良いものの、中身が伴っていない「実の伴わないさま」も「虚仮」と呼んでいます。

もともと「虚」は「偽り(いつわり)」、「仮」は「実在しないものや実体のないこと」を表します。これら二つの言葉が組み合わさり出来た言葉が「虚仮」です。

「虚仮」の意味2「思慮が浅く愚かなこと」

「虚仮」のもう一つ意味は「思慮が浅く愚かなこと」です。考えが甘く、慎重に物事を考えず行動するような知恵の乏しいさまを「虚仮」といいます。

「虚仮」は「愚かであること」という意味がありますが、コミカルでひょうきんであるというポジティブで楽しいニュアンスはあまり含まれていません。むしろ、思考や言動などが馬鹿馬鹿しく、知的ではない様子が「虚仮」の意味するところです。と

「虚仮」は聖徳太子が残した言葉のなかにも

「虚仮」は有名な宗教的思想家「聖徳太子」が残した言葉にも使われています。飛鳥時代に作られた染色工芸品の一つ「天寿国曼荼羅」に「世間虚仮唯仏是真」という言葉が刻まれており、これが聖徳太子によって残された言葉だとされています。

「世間虚仮唯仏是真(せけんこけゆいぶつぜしん)」とは「この世に存在する万物は仮の姿で、真実は仏教だけである」という意味があります。

政治家としても貢献した聖徳太子は、地位や名誉、権力や金を得ることが、果たして心の平安と幸せをもたらすだろうかと問い、最終的には仏だけが心の拠り所になるということを悟っています。

「虚仮」の使い方と例文

「虚仮にする」は日常的に使われる言い回し

「虚仮にする(こけにする)」はごく一般的な生活で使われる表現で、主に「馬鹿にする」「あなどる」などの意味で使われます。受け身での言い回し「虚仮にされる」は会話や口語的な環境で用いられる表現として馴染みがあるでしょう。

もともと「虚仮」には「愚かであること」「馬鹿馬鹿しい」と言った意味があるため、「虚仮にする」で「相手を馬鹿にする」となります。

「虚仮降ろす」は「酷く馬鹿にする」

「虚仮降ろす」は「虚仮にする」に輪をかけて酷く相手を侮る表現です。「虚仮降ろす」の「降ろす」には「悪く言う」「けなす」ことを表すため、「虚仮降ろす」で無茶苦茶に馬鹿にする、酷く相手をけなすといった意味で使われます。

「虚仮降ろされた」という言い回しからは「立ち直れないほど馬鹿にされた」といったニュアンスが伝わります。

「虚仮」を使った例文

  • あの人の話は虚仮ばかりだ。
  • 会議で発言の最中に、同僚に虚仮降ろされた。
  • 虚仮にされた仕返しに、虚仮にしてやった。

「虚仮」を使った熟語表現は?

「虚仮いそぎ」は「無茶な行いを貶すこと」

「虚仮いそぎ」とは「無茶な行いを貶すこと」を意味します。向こう見ずで考えの伴わない行動を馬鹿にしたり、むやみな行為を批判することを「虚仮いそぎ」と言います。また「虚仮威し(こけおどし)」も「虚仮いそぎ」と同じ意味で使われます。

「虚仮威し」は「見せかけだけで心が伴わない」

「虚仮威し(こけおどし)」は「見せかけだけで心が伴わない」ことを意味します。外見ばかりが良く中身がない様子や、態度や言動などの表立った部分だけが強く、実際の心の内が貧相で空っぽなことを表します。

「虚仮虚仮」は「愚かに見えること」

「虚仮虚仮(こけこけ)」とは「愚かに見えること」を意味します。傍から見ていかにも馬鹿馬鹿しく、取るに足らないさまを「虚仮虚仮」といいます。主な使い方は「虚仮虚仮とする」「虚仮虚仮とした〇〇」などになります。

「世間虚仮」は「偽りで埋もれた世の中」

「世間虚仮(せけんこけ)」は聖徳太子が残した言葉の一部分で「偽りで埋もれた世の中」を意味します。世間とは空しく仮のものであるということを表す言葉で、俗世界にある偽りの様子と、仏の教えのみにある真実を明確に示した四字熟語となります。

「虚仮」のつく慣用句は?

「虚仮の後思案」は「後に考えが浮かぶこと」

「虚仮の後思案(こけのあとじあん)」とは「後に考えが浮かぶこと」を意味します。愚かで浅はかな人は、物事に対する考えがすぐに浮かんできません。つまり、愚かな人は必要な時に知恵が湧かず、後になってから思い浮かぶということを小馬鹿にした慣用句です。

「虚仮の一念」は「愚か者が大成すること」

「虚仮の一念(こけのいちねん)」とは「愚かな人が大成すること」を表す言葉で、愚か者が一心に一つのことを達成しようとするさまを意味します。「虚仮の一念」は「愚かな者でも一念発起すれば目標を成就させることができる、という意味の慣用句の一つです。

やや相手を小馬鹿にしたニュアンスで使われますが、愚かで浅はかな人でも努力次第でゴールに到達できる、といったポジティブな感情が含まれています。

「虚仮」の類語とは?

「虚飾」は「外見だけで実質を伴わないこと」

「虚飾(きょしょく)」とは「外見や見た目だけで実質が伴わないこと」を意味します。自分自身の能力を過信したり、他人に与える自分の魅力が尊大であると買い被ることを「虚飾」といいます。

つまり「外見と中身が相違する偽の姿」というのが「虚飾」の意味するところです。「偽りや仮の姿」という意味がある点で「虚仮」と似ています。

「たわい無い」は「思慮分別がない」

「たわい無い(他愛無い)」は「思慮分別がない」という意味があり、物事に対してとりとめがなく、思慮がないことを表します。そもとも「たわい」とは「思慮分別」を意味するため、否定の「無い」をつけて「思慮分別がない」となります。

「たわい無い」様子というのは、思慮が浅く考えが浅いことが原因となり、物事の良し悪しを見極めることができないことを意味します。そのため「愚かなこと」や「とりとめのないこと」を表す際にに使われます。「たわい無い」も思慮が浅く愚かであることを表すため「虚仮」の類語となります。

「虚仮」を英語で表すと?

「虚仮」の英語1「lie」「fake」「fiction」

「虚仮」が持つ「真実ではない」という意味を表す単語は「lie(ライ)=嘘の」「fake(フェイク)=偽の」「fiction(フィクション)=事実に基づかない」などです。中でもフィクションは小説や映画などの分野で使われ「事実に沿わない創造の」というニュアンスで使われます。

例文

世の中は虚仮で溢れている
There is full of fake in this world.

「虚仮」の英語2「fool」

「虚仮」の「愚かで思慮分別がない」という意味では「fool」を使うのが一般的です。「fool」は「馬鹿な」「愚かな」という意味があり、動詞や名詞としても機能する単語です。

例文

上司に虚仮にされた
My boss fooled me around.

まとめ

「虚仮(こけ)」はもともと仏教用語の一つで「真実ではないこと」や「思慮が浅く愚かなこと」を意味します。飛鳥時代には聖徳太子が「世間虚仮」という言葉を使っており、真実は仏の教えのみにあるということを述べています。

「虚仮にする」は日常的によく使われる言い回しです。また「虚仮」が堅苦しい場面では「たわい無い」などの類語を代替えの語句として使いましょう。