会社の負担金額や、給料の手取りに大きな影響がある社会保険。加入すべきか否かは重要な問題ですが、社会保険の加入条件は法律で決まっています。今回は、パートやアルバイト、派遣社員でも社会保険に加入しなければならないのか、扶養の範囲ならどうなのかなど、社会保険の加入条件を紹介します。
社会保険の加入条件は?
ここでの社会保険とは、会社で加入する義務がある「健康保険」と「厚生年金保険」のことをいいます。「健康保険」と「厚生年金保険」の加入条件について解説します。
社会保険の加入条件は「労働時間や日数が正社員の4分の3以上」
社会保険の加入条件は、労働時間や労働日数が正社員の4分の3以上の人です。多くの会社では、正社員の労働時間は週に40時間になっていますので、週に30時間以上働く人は、パートやアルバイトでも社会保険に加入することになります。
正社員の労働時間が週に35時間などと決めている会社もありますので、社会保険に加入しなければならない労働時間は会社によって多少異なります。入社する前に確認しておきましょう。
5つの条件に該当すると週20時間勤務でも加入になる
社会保険の加入条件は基本的に、労働時間や労働日数が正社員の4分の3以上ですが、以下の5つの条件に当てはまると、正社員の4分の3未満の労働時間でも社会保険に加入しなければなりません。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 賃金が月8万8千円以上であること
- 1年以上使用されることが見込まれること
- 従業員501名以上の勤務先で働いていること
- 学生でないこと
ただし、学生でも定時制や通信制の学校に通っている場合は加入になります。
契約社員や派遣社員でも強制加入
契約社員や派遣社員でも、「労働時間や労働日数が正社員の4分の3以上」もしくは、「週20時間以上勤務するなど5つの条件すべてに当てはまっている場合」には、強制的に社会保険に加入になります。
ただし、契約期間が2ヶ月以内の場合には、「社会保険に加入できない人」に該当する可能性があります。更新の可能性があるのかどうかを、事前にしっかりと確認しましょう。
社会保険に加入できない人とは?
社会保険の加入条件に該当していても、会社で社会保険に加入できない場合があります。会社で加入できない人は、自分で市役所などに出向き、国民年金や国民健康保険の加入手続きをする必要があります。ここでは社会保険に加入できない条件について紹介します。
2ヶ月以内など臨時で雇用される人
日雇いや2ヶ月以内の期間を定めて、臨時で雇用される人は、社会保険に加入できません。臨時で採用される場合に限りますので、契約期間は2ヶ月だけれども更新する可能性がある人は社会保険に加入する必要があります。
4ヶ月以内の季節的業務で雇用される人
季節的業務とは、特定の季節のみ必要になる仕事です。例えば、雪の多い地域での除雪作業で雇用された場合などです。ただし、4ヶ月を超えて雇用される人は社会保険に加入しなければなりません。
6ヶ月以内の臨時的事業の事業所に雇用される人
臨時的事業とは、例えば博覧会のような一定の期間で終わる事業のことをいいます。臨時的事業で採用される場合は、6ヶ月より長く働く場合に社会保険に加入します。4ヶ月や5ヶ月では社会保険に加入できません。
社会保険加入の注意点
社会保険に加入できる年齢は「15歳から75歳」まで
社会保険は就職したときから75歳まで加入できます。法律上、下限の年齢は設定されていませんが、学生は加入できませんので、中学卒業後に就職した15歳が一番下の年齢になります。
社会保険のうち、厚生年金保険は70歳まで、健康保険は75歳まで加入できます。75歳になると、自動的に社会保険から脱退します。
社会保険に加入できない会社はある?
社会保険の加入手続きは、会社などの「事業所」が行う義務があります。しかし、業種や従業員数によっては、従業員を社会保険に加入させる義務がない事業所もあります。ここでは、社員を社会保険に加入させる義務のある事業所とない事業所について解説します。
法人はすべて社会保険に加入できる「強制適用事業所」
社会保険に加入できる事業所のことを「強制適用事業所」と言います。「国、地方公共団体又は法人の事業所であって、常時従業員を使用するもの」は強制適用事業所です。つまり、個人事業主の方に雇用される場合でなければ、基本的には社会保険に加入しなければなりません。
個人事業主の方でも、一定の業種で、常時5人以上の従業員が働いている場合には、社会保険に加入しなければなりません。一定の業種には多くの業種がありますが、基本的にはサービス業・農林漁業以外の業種です。
個人事業の「任意適用事業所」は社会保険に加入できないことがある
「強制適用事業所」に該当しない事業所は、「任意適用事業所」といって社会保険に加入しなくてもよい事業所です。任意適用事業所でも、従業員の同意を得て手続きをすれば社会保険に加入できます。つまり、手続きをしていない事業所に雇われた場合には社会保険に加入できません。
上で紹介した「強制適用事業所」に該当しない事業所は、「常時従業員が5人未満の個人事業所」もしくは「サービス業・農林漁業などの個人事業所」になります。
夫の扶養の範囲であれば社会保険に加入しなくてよい?
加入条件に該当していれば社会保険に加入しなければならない
多くの場合、社会保険における夫の扶養の範囲は年収130万円ですので、年収130万円を超えないように働こうと考える人もいるでしょう。しかし、加入条件に該当していれば、社会保険には加入しなければなりません。
特に注意が必要なのは、週20時間以上などの5つの条件に該当している人です。月8万8千円以上が条件になっていますので、年収106万円でも社会保険に加入することになります。
年収130万円以上の方は加入条件に該当していなくても社会保険に加入
反対に、年収が130万円以上あって夫の扶養の範囲を超えているが、週の勤務時間が20時間に満たない場合もあります。この場合は、夫の扶養にも入れませんし、会社で社会保険に加入できません。
日本では、必ずどこかの社会保険に加入しなければならないので、ご自分で国民健康保険や国民年金に加入する必要があります。
まとめ
社会保険の加入条件は、多くの会社では週30時間以上の勤務になります。従業員が501人以上の大きい会社の場合、週20時間以上でも加入になることがありますので、注意しましょう。加入条件を満たせば、必ず社会保険に加入しなければなりません。
もしあなたが働く立場で、社会保険に加入したくない場合には、働く時間を考える必要があるので、しっかりと条件を確認しておきましょう。