「エルダー」は「シニア」の類語としてよく用いられます。ビジネス用語としては、新人を教育する役割の社員やその制度のことを意味しています。他にも植物の「エルダーベリー」「エルダーフラワー」も有名です。「エルダー」の分野ごとの意味や「メンター制度」との違いを解説しましょう。
「エルダー」の意味とは
「エルダー」の意味とは「高齢者」
日本で使うカタカナ語の「エルダー」の主な意味は「高齢者」です。具体的な年齢は定まっていませんが、50歳以上のことを示すことが多いようです。「エルダー層」や「エルダー世代」として、50歳以上の年代を表現することもあります。
ビジネス用語では「教育係の先輩」
ビジネス用語としての「エルダー」とは、新人とペアになって指導する教育係のことです。職場によって差はありますが、一般的に新人と数年しか勤務年数に差がない若い先輩がエルダーになります。
エルダーを活用する教育制度が「エルダー制度」です。
英語「Elder」の場合は「古参」「長老」
「エルダー」とは、英語「Elder」が元になったカタカナ語です。英語圏での「Elder」は日本よりも広い意味があり、基本的な意味は「古参」「年長者」を表します。キリスト教の職制にも使われていて、日本語では「長老」と訳されています。
他に、イギリスでは「年上の方の」という意味でも使用します。兄弟や父子、同姓の人など年長の方を表す際に使うのが「Elder」です。アメリカの場合は「older」の方が浸透しています。
花の「エルダーフラワー(エルダーベリー)」
「エルダー」をつく言葉では「エルダーフラワー」「エルダーベリー」も有名です。火を起こす際に使う植物だったことから、古英語「エルド(炎)」から名付けられました。スイカズラ科のエルダーという木の果実と花のことで、エルダーフラワーシロップやジャム、お菓子に加工されます。
ヨーロッパでは「万能の薬箱」、日本では「接骨木(せっこつぼく。折れた骨を繋ぐという意味)」とも呼ばれています。
「エルダー制度」とは
「エルダー制度」とは先輩と新人ペアの教育制度
「エルダー制度」とは、新人教育にエルダーを活用する制度です。エルダー(若い先輩社員)と新人が1対1のペアになり、業務の中で指導していきます。
ちなみに、職場によっては高齢者の延長雇用制度のことを「エルダー制度」としています。
「エルダー制度」のメリット
エルダー制度は新人とエルダー双方にメリットがあるとされています。新人にとってのメリットは業務を早く理解できることです。エルダーは数年前に同じ業務を経験しているため、実用的なアドバイスが期待できます。また、身近に相談しやすい相手ができることで、職場に早く馴染めるとも考えられます。
エルダーにとってのメリットは、若手のうちに指導や管理業務の経験を積めることです。他にも、指導の中で仕事を振り返り、自分のスキルアップに繋げられる可能性もあります。
「エルダー制度」のデメリット
「エルダー制度」のデメリットは、エルダーの負担が増えることです。多くの職場では、エルダーは新人の指導に専念せず、本来の業務を並行しているためです。
他にも「2人の相性が悪くてモチベーションが下がる」「新人がエルダーに甘えて成長しない」などの悪影響が出てしまうこともあり得ます。
「メンター制度」との違いはサポートの範囲
同じように先輩と新人がペアになる教育制度が「メンター制度」です。2つの違いは明確ではありませんが、メンタルケアのサポート範囲だとすることが多いようです。エルダー制度は業務に関する相談のみ受け、メンター制度ではプライベートも含めて新人の相談を受けてメンタルケアをするとされています。
ただし、職場によって違いがあるため名称だけで判断しないほうがよいでしょう。
看護や医療分野では「プリセプター制度」と呼ぶ
医療・看護の現場では、新人と先輩をペアにする教育制度を「プリセプター制度」と呼ぶことがあります。介護業界でも「プリセプター制度」を取り入れる施設があるようです。
「プリセプター制度」では、先輩(プリセプター)を指導する人を「エルダー(病院によってはメンター)」と呼んでいます。「エルダー」は直接、新人指導することはありません。「エルダー制度」のエルダーとは役割が違うため混同しないよう注意しましょう。
「エルダー」の類語とは
「エルダー」の類語は「シニア」
「エルダー」の類語は「シニア」です。日本では「高齢者」という意味で用いられるのが一般的です。英語「senior」が元になったカタカナ語になります。
エルダーとシニアに明確な違いは定まっていません。しかし一般的には、エルダーの方が若々しくて活動的だと区別されることが多いようです。
ビジネス用語の類語は「メンター」
ビジネスの現場で教育者をさして「エルダー」を用いる場合、同じ意味の類語は「メンター」になります。優れた指導者や恩師を意味する英語「mentor」が元になったカタカナ語です。
「エルダー」と「メンター」は全く同じ意味で使われることもあります。使い分ける場合は「エルダーは業務に関する相談だけ」「メンターはプライベートの相談も受ける」とされることが多いようです。
まとめ
「エルダー」には「高齢者」「教育係の先輩」のような意味があります。「新人教育のエルダー制度」や「顧客の年齢を表すエルダー層」など分野によって使い方に特徴があるため、使う際には注意が必要です。