「畜生」の意味や由来は?性格に対する使い方や「畜生道」と類語も

「畜生」は人の性格を罵る悪口や、悔しい気持ちを表す言葉です。しかし、「畜生」には「人間以外の動物」という意味もあります。他にも仏教用語で用いられ、言葉の由来はサンスクリット語だという面もあります。「畜生」の意味や使い方を確認しましょう。類語や英語表現もあわせて紹介します。

「畜生」の意味と由来

「畜生」は人間として許せない性格・行為を罵る言葉

「畜生」の意味のうち、日常会話でよく使われるのは人を憎んで使う罵り言葉です。人間として許せない性格やひどい行動に対して使われます。

感動詞(感動や呼びかけ、かけ声)として、悔しい気持ちや失望、怒りを表す意味もあります。

「畜生」には「人間以外の動物」という意味も

「畜生」のもう1つの意味は「人間以外の動物」です。鳥や虫、獣などが含まれます。

先ほど説明した「人を罵る」使い方は、この意味から派生したと考える人もいます。動物のように粗野な生き方への批判から「人間として許せない」という意味になったという考えです。

「畜生」の由来はサンスクリット語

「畜生」の由来はサンスクリット語の「तिर्यग्योनि(tiryagyoni)」です。「人間に飼われる生物」という意味があるため、「家で飼う動物」を表す「畜」を使って「畜生」と訳したと考えられています。

また「तिर्यग्योनि」の音がなまって「畜」を使ったという説もあります。この説では「तिर्यग्योनि」の意味は「横に動く生物」です。

「畜生」の読み方は「ちくしょう」

「畜生」の読み方は「ちくしょう」です。悔しいときや怒ったときに「ちきしょう」と言う人もいますが、これは「ちくしょう」が変化したものです。この使い方に限れば、誤用とはされません。

「畜生」の仏教用語としての意味

「畜生」は悪行を重ねた人が生まれ変わる動物

仏教用語でも「畜生」は人間以外の動物を意味します。ただ動物を表すのではなく、「悪行を重ねた人、不平不満が多い人が生まれ変わったもの」というニュアンスが含まれることもあります。

ちなみに、仏教用語の場合は「傍生(ぼうしょう)」「横生(おうしょう)」とも呼びます。

「畜生道」は畜生に生まれ変わった世界

仏教用語「畜生道」とは、人間が畜生に生まれ変わった世界です。「動物の世界」と聞くと、絵本のようなほのぼのしたものをイメージする人もいるかもしれません。

しかし、「畜生道」は悪行への報いとして行く世界です。そのため、常に本能のみで行動し天敵に捕食される恐怖に苦しみながら、安らぐ時間がないと考えられています。

「畜生」の使い方

「畜生」は人を罵る際に使われる

「畜生」は人を罵る際に使用される言葉です。不道徳的な行いや卑怯な性格が「畜生」だと言われやすいようです。

特定の人をさして罵る場合は「こん畜生」「あん畜生」が使用されます。「この畜生」「あの畜生」の音が変わったと考えられています。2つの使い分けは「対象が目の前にいるかどうか」です。目の前にいる場合は「こん畜生」、いない場合は「あん畜生」が使われることが一般的です。

「畜生」は悔しいときに使うことも

「畜生」は、自分の悔しさや怒りの感情が強いときに、とっさに口に出すことがあります。この場合の「畜生」はかけ声のようなもので、他人を罵る意図がなくても使用されています。

「畜生」の例文

  • 彼は優秀だが、性格は畜生にも劣る最低な男だ
  • 畜生、また失敗した
  • 釣った魚を猫に持っていかれたのが悔しくて、大声で「畜生!」と叫んでしまった

「畜生」の類語

「畜生」の類語は「けだもの」

「畜生」の類語は「けだもの」です。「けだもの」の意味は「全身に毛が生えた四足で哺乳類の動物」ですが、「人間らしい優しさや義理人情のない人を罵る言葉」としても用いられます。漢字表記は「獣」です。

「獣」は「けもの」とも読みます。けだものと同じ言葉として扱われることもありますが、人を罵る言葉としては使われません。

悔しい気持ちを表す類語は「くそ」「おのれ」

悔しいとき、とっさに使う言葉として「くそ」や「おのれ」が類語になります。どちらも感情が高ぶった際に発する言葉です。「くそ」は、自分を奮い立たせるために使う人もいるようです。

「畜生」の英語表現

「畜生」の英語表現は「beast」

「畜生」の英語表現は「beast」です。「動物」や「獣」の他、日本の「けだもの」と同じように人を罵る言葉として使うこともあります。

「けだもの」との違いは、褒め言葉としても用いることです。スポーツなどで驚異的な身体能力を披露する人を称える際に使われています。

悔しさ・憎しみのスラングは「damn it」

悔しさや憎い気持ちで発する「畜生」の英語表現は「damn it」です。スラング言葉ですが、日常的に使う人が多いようです。憎らしい人に対して「damn you」と使うこともあります。

まとめ

「畜生」は、「人として許せない性格や行為」に対して使われる言葉です。日常会話では、悪口や悔しい気持ちを表すときに用いられています。また、仏教用語として使うこともあり「畜生道」は、悪行の報いとして人間が「畜生」に生まれ変わった世界をさします。