「蛍雪の功」の意味とは?故事成語の由来や使い方の例文と類義語も

「蛍雪の功」という言葉を知っていますか?学問を通して成し遂げた功績や称えたり、勉学に励むことの大切さを伝える時に使われる故事成語の一つです。

「蛍雪の功」はフォーマルな席や年配の方との会話によく登場する言葉ですが、社会人としては、ぜひとも意味や使い方を正しく理解しておきたいものです。ここでは「蛍雪の功」の意味と由来をはじめ、使い方の例文や類語などを紹介します。

「蛍雪の功」の意味と由来とは?

「蛍雪の功」の意味は「苦労し勉学に励むこと」

「蛍雪の功」とは、苦労して勉学や励むことを意味します。時間や努力を重ねて勝ち得た成果や功績への称賛、また苦労して学ぶことの大切さを表す言葉です。

自分が求めるゴールに到達するには、まずその分野の学問を十分に習得しなければなりません。どのような学問でも一定の期間、猛勉強する必要があります。「蛍雪の功」とは、そのような努力の糧を積むことを意味しています。

また「蛍雪の功」の「蛍雪」は並みならぬ苦労を重ねて学問に励むこと、「功」は成し遂げた成果や結果、仕事においては努力の際に勝ち得た功績や業績などを意味します。この二つの言葉を組み合わせた表現が「蛍雪の功」です。

「蛍雪の功」は故事成語の一つ

「蛍雪の功」は故事成語の一つです。故事成語とは中国から由来した「教訓」や「昔からの言い伝え」などを意味するため、特別な席でのスピーチや業績発表などで好んで用いられます。

また「蛍雪の功」と同じ由来を持つ故事成語に「蛍窓雪案(けいそうせつあん)」「車胤聚蛍(しゃいんしゅうけい)」「孫康映雪(そんこうえいせつ)」があります。どれも苦労をして学問に没頭することを意味する四字熟語です。

「蛍雪の功」の由来は史書「晋書(車胤伝)」

「蛍雪の功」の由来は、中国の有名古書の一つ「史書」の「晋書(車胤伝)」です。「晋書」とは、中国の晋の時代を記録・説明した書物で、「蛍雪の功」はこの中に登場する二人の青年が由来となり、使われるようになった言葉となります。

晋の時代に、「車胤(しゃいん)」と「孫康(そんこう)」という二人の青年が暮らしていました。二人は互いに中国で高位職の一つ「官吏」を目指していましたが、家が非常に貧しく夜に部屋を明るくして勉強をするための灯火の油さえ、購入することができなかったのです。

でも、二人は決してあきらめませんでした。「車胤」は夏の夜に美しく光を放つ蛍を数十匹捕まえて明かりを作り、「孫康」は冬の夜に降り積もる雪の明かりを使って猛勉強しました。

その後、結果が実り高級官吏の座を勝ち得たのです。まさに、苦労と努力が形となって表れた瞬間です。

「蛍の光」にも同じ由来の歌詞がある

「蛍の光」は小中高の卒業式でよく歌われますが、このなかの歌詞「蛍の光、窓の雪」も「蛍雪の功」と同様に故事に基づく言い回しの一つです。

卒業式のほか、店の営業時間が近づいた時や行事の終わりを告げる「合図」として使われていますが、これも努力の結果としての「終わり」を表しているとも言えます。

「蛍雪の功」の使い方と例文

「蛍雪の功」は座右の銘として使われる

「蛍雪の功」は、日常的な会話や一般の生活の中であまり使われる表現ではないかもしれません。故事成語であることから、講演会や業績発表などの改まった席、個人として掲げる「座右の銘」として選ばれることがあります。

「蛍雪の功」は並みならぬ努力と辛抱の結果、優れた成果を得ることを意味します。つまり、「必死に努力をしなければ、求める結果は得られない」ということを教える言葉でもあるのです。

「蛍雪の功」が伝える真意とは、貧しいということを理由に夢を諦めない「努力」と厳しい境遇を乗り越える「苦労」があってこそ、本当の成果が得られるという「人生における教訓」とも言えます。社会人として辛い壁にぶつかったり、学問の習得でつまづいた時に、自分を励ます「座右の銘」として掲げることもできます。

「蛍雪の功」で仕事の努力を称える

「蛍雪の功」とは、「学問への苦労と努力」に対してだけ使われる表現ではありません「蛍雪の功」は「仕事」や「研究」などで努力や苦労を重ね、多大な業績と結果を得る場合にも使われます。

たとえば、仕事で高い成果を出して会社に多大な利益をもたらしたり、長年の研究過程において優秀な成果を生んだりした際に、その功績や努力の候を称する意図をもって「蛍雪の功」という故事成語を用いることがあります。

「蛍雪の功」を使った例文

  • 蛍雪の功なって、科学の分野で世界的に名誉ある賞をいただきました
  • アクシデントもありましたが、蛍雪の功で予定通り工事を完了することができました
  • 蛍雪の功ながら、バイトと大学の掛け持ちを続けて無事に大学を卒業しました

「蛍雪の功」の類語(類義語)とは?

「努力の結晶」とは「努力の成果が形となる」

「努力の結晶」とは、「努力の成果が形となる」という意味の類語です。「結晶」とは、原子やイオンなどが立体的に配列されているものという他に「事柄やものごとが積み重ねなり、形となって現れる」ことも意味しています。

つまり「努力の結晶」で、日々の努力や勉学の積み重ねが成果という形となって生まれることを表します。

例文
  • 営業で月の売り上げトップをマークした。日々の努力の結晶が形となったわけだ
  • この成果は彼が5年間研究を続けてきた、努力の結晶といえる

「苦学力行」とは「学費を稼ぎながら学問に励む」

「苦学力行{くがくりっこう)」とは、学費を稼ぎながら懸命に学問に励むという意味です。

両親や家族に頼らず、自分が仕事をしながら学費を稼いで学業と両立をすることを表します。厳しい状況の中でも学問をあきらめず、目標に向かってひたすらに励むという意味で、言い換えの類義語に使えます。

例文
  • 苦学力行を経て、今では超一流会社の開発部でリーダーとして働いている
  • 学生時代は遊ぶことをせず、ひたすら苦学力行に努めた

「蛍雪の功」を英語で表すと?

「蛍雪の功」は「The fruits of hard work」

「蛍雪の功」は故事成語であるため、理解しやすい英語に意訳する必要があるでしょう。

たとえば、一般的に使われるフレーズに「the fruits of hard work」があります。「the fruits」は「成果物」や「賜物」、「hard work」は「懸命に働くこと」という意味です。一生懸命に仕事をすることや学問に打ち込むことなど、何かに向かってひたすら励むことに対して使われています。

ほかに、「hard work」を「dilligent study」「continuous effort」などに言い換えたり、文章によっては「the fruits of」を省いて「hard work」や「dilligent study」のように、単独で使った方が自然な表現となる場合もあります。

「蛍雪の功」を使った英語例文

  • 蛍雪の功なって、司法試験に合格した。弁護士になれるぞ!
    I have passed the bar exam after hard work.  I will finally be a lawyer!
  • 貧しさを理由にするのではない。成功は蛍雪の功あってこそなのだから。
    Don’t make an excuse of being poor. You only become a successful person if you make a continuous effort.

まとめ

「蛍雪の功」は中国の古書「史記」に由来し、「努力や苦労をし勤勉に学問に励むこと、またその成果」という意味を持ちます。

「蛍雪の功」は故事成語であるため、座右の銘として心に留める人も多くいます。「懸命に学ぶことを続けなければ、成果は現れないこと」を諭してくれることわざの一つでもあるでしょう。