「招聘」の意味とは?ビジネスでの使い方や類語「招待」との違いも

「招聘」は「礼儀をわきまえて、丁寧に相手を招くこと」を意味する言葉です。似たような言葉に「招待」や「招請」がありますが、意味や使い方においてどのように異なるのでしょうか?

ここでは「招聘」の意味と読み方のほか、ビジネスやその他の分野での使い方と例文、類語などをわかりやすく紹介します。

「招聘」の意味と読み方とは?

「招聘」の意味は「礼儀を尽くして丁寧に人を招くこと」

「招聘」とは「礼儀を尽くして丁寧に人を招くこと」を意味します。「招聘」の「招」は「まねく」「呼び寄せる」、また「聘」には「礼を厚くして人を招く」また「他国や別の場所を訪れる」と意味があります。

主に目上や年配の人、また特別な位置にいる第三者などに対して使う言葉ですが、「改まって襟を正し、丁寧な気持ちで招く」というニュアンスで用いられます。

そして「招聘」を使うシーンでは、手厚い待遇やもてなしを用意されていたり、企業の場合は昇進やボーナスなどの良い話を差し出したりと、相手にとって何らかの利益になる場合がほとんどとなります。

「招聘」は最大限の敬意を示すことが重要

「招聘」は一般的に人を招くのではなく、心から最大限の敬意を示し、相手に失礼のないように丁寧に招く、というのが基本的な概念です。そのため、「招聘」はカジュアルな招待状やインビテーションカードなどで招くこととは異なり「どうぞ、いらしてください」といったニュアンスで使われます。

「招聘」は常用漢字外で読み方は「しょうへい」

「招聘」の正しい読み方は「しょうへい」です。「招聘」の「聘」は常用漢字ではないため、新聞や手紙などでは「招へい」と記されている場合もあります。

「聘」を使う言葉に「聘問(へいもん)」や「聘物(へいもつ)」などの熟語表現がありますが、いずれも「礼儀を正して訪れること」「礼を尽くして差し出す贈り物」という意味があります。

「招聘」の使い方と例文

「招聘」は特別待遇で呼び寄せるときに使う

「招聘」を使う場面はあまり多くありませんが、海外から優秀者を呼び寄せたり、特別な待遇で来てもらう時に使われることがあります。たとえば、海外から現役で活躍するスポーツ選手を日本のチームに招くときや、海外の大学や企業から優秀な研究者を呼び寄せる時などに「招聘」という言葉を使ったりします。

また「招聘」には相手に敬意を表す気持ちが含まれているため、ビジネスシーンでも「特別な人を招く」時に改まった姿勢で使われることもあります。たとえば、地元復興に必要な有志に声をかけたり、有力者に力を貸してもらうよう呼び掛ける時などが例です。

例文
  • あるプロ野球チームが、連敗から脱出するために海外の選手を招聘したようだ
  • 新しい事業を立ち上げるために、海外から研究者を招聘する予定だ

「招聘」は目上に対しては使わない

「招聘」は、基本的に目上の人が、自分より下の立場にいる人に対して使う言葉です。「招聘」には「相手に失礼にならないように、礼儀を尽くして招き入れる」という意味がありますが、相手の身分や地位が自分より高い場合に使うのは不適切になります。

たとえば、職場では「上司から部下へ」、組織の場合は「幹部からメンバーへ」のような使い方をします。

誤用例

本社の役員に、地方支店に足を運んでもらうよう招聘した

「招聘状」はビザ取得に必要な推薦状のこと

「招聘状」とは、海外に移住するために必要な「ビザ申請で必要となる推薦状」を指します。海外で生活するためには、入国する側の企業や人が大使館や総領事館などへ提出する書類の一つで、ビザの申請する人を証明する大切な書類です。言ってみれば入国許可証のような役割があります。

ビザ申請が必要のない国もありますが、入国に関して厳しい制限を設けている国は「招聘状」が必要となります。取得の目的はさまざまですが、長期留学の他、海外移住や海外出張、また海外転勤などがあります。

「招聘状」のフォーマットと必要項目

「招聘状」には決まったフォーマットはありません。しかし、一般的に必要とされる記載項目は「招聘する人や企業の詳細」「招聘される人の国籍や名前などの個人情報」「招聘する理由や目的、その経緯」「招聘される人との関係」などが挙げられます。

「招聘」の類語とは?

「招待」は「立場に関係なく人を招くこと」

「招待(しょうたい)」は立場や地位、年齢などに関係なく「人を招く」時に用いられる表現です。一般的には結婚式や祝賀会、企業発足や事務所開設のようなイベントに対して使われ、参加を呼びかけるカードや手紙を「招待状」といいます。

また、「招待」はイベントだけではなく、キャンペーンやディスカウントなど特別な誘いにも使われることがあります。現代ではSNS機能を活用し、顧客を特定のサイトに招く行為も「招待」の一つといえるでしょう。

このように「招待」が軸とする意味は「人を集める」ことです。そのため、限定された環境で用いる「招聘」に比べて、「招待」の方がより広い環境で使われています。

「招請」は「お願いして来てもらうこと」

「招請(しょうせい)」とは「相手に頼んで来てもらうこと」を意味する言葉です。「招請」の「請」は依頼をしたり、お願いをするときに使われる言葉で物事を頼むという意味があります。

「招聘」には「礼儀を正して招く」という意味がありますが、相手に頼んで何かをしてもらうという意味はありません。そのため、純粋に「ぜひ来てください」とお願いする場合は「招聘」ではなく「招請」を使います。

「招聘」を英語で言うと?

「招聘」は英語で「invitation」

「招聘」を英語で表すと「invitation」です。「invitation」は、招待するという意味の「invite」の名詞形で、立場や年齢的な上下の関係なく日常的に使われます。

また、かしこまった状況で特別に丁寧な言い回しを使いたい場合は「formal invitation(形式的な招待状)」というフレーズを使ってもよいでしょう。

「招聘状」は英語で「invitation letter」と言い、外国企業とビジネスを行っている企業や国内の海外事業部では、状況によって作成の必要が出てくることがあります。

「招聘」を使った英語例文

  • We sent the formal invitation to one of soccer players who has been active this year.
    今年活躍したサッカー選手に招聘状を送らせてもらった。
  • I have been invited to special meeting by my boss.
    部長から特別会議に招聘された。

まとめ

「招聘」の読み方は「しょうへい」で、意味は「礼儀を尽くして丁寧に相手を招く」です。主に目上の人が目下の人に使う言葉で「招聘する」や「招聘される」のように使います。似た言葉に「招待」や「招請」がありますが、意味や使い方がやや異なります。使う状況や相手を見極めて上手に使い分けしていきましょう。

また「招聘状」はビザ申請で必要な書類で、招聘する側と招聘される側の関係や呼び寄せる理由などを記すものです。