「吹聴」の意味と正しい読み方とは?使い方の注意点や類語・例文も

「吹聴」とは言いふらすことを表す言葉です。一般的な会話ではあまり使われませんが、ニュースや公的な場所など改まった表現として使うことがあります。また「吹聴」を「ふうちょう」と読むのは誤りです。この記事では、「吹聴」の正しい読み方や使い方の注意点、類語などを例文を使いながら紹介します。

「吹聴」の意味と読み方とは?

「吹聴」とは「言いふらすこと」の意味

「吹聴」とは「言いふらすこと」を意味します。周囲に物事や状況などの情報を言い広めたり、しゃべり散らすことを表します。主にうわさ話や自慢話などを人に触れ回ったり、色々な場所に行ってあれこれと話し立てることを意味します。

「吹聴」の「吹」には「ほらを吹く」「出まかせを言う」「大げさなことを言う」という意味があり、また「聴」には「きき耳を立てて聞く」という意味があります。この二つの言葉をかけ合わせて想像すると「コソコソと嫌らしくほらを吹く」といったニュアンスが伝わってきます。

読み方は「ふうちょう」ではなく「ふいちょう」

「吹聴」の正しい読み方は「ふいちょう」です。「吹く(ふく)」や「吹奏楽(すいそうがく)」などの読み方と混同し、「ふうちょう」や「すいちょう」と読み間違えてしまうことが多々あるようです。正しくは「ふいちょう」となりますので気をつけましょう。

「吹聴」の使い方と例文

「吹聴」はネガティブな意味合いで使われる

「吹聴」はネガティブなニュアンスを多く含む言葉で、相手を非難しようとする意図が隠れていることもあります。また、その行為自体に呆れたり唖然となったりと、どちらに転んでもポジティブな意味で使われることはあまりない言葉です。

他人の隠し事や秘密などを第三者にペラペラと喋るという行為は、周囲から見ても卑しく見苦しいことでしょう。「吹聴」がネガティブな表現であることに留意し、相手によからぬ誤解を与えないように気をつけましょう。

「吹聴して回る」はよく使う言い回し

「吹聴」という言葉でよく使われる言い回しは「吹聴して回る」です。噂や自慢話をあちこちで言い散らすという意味で使われますが、この場合も、吹聴している人に対し、非難や皮肉めいた感情を持って放たれることが多いです。

もともと「回る」は「色々な場所に立ち寄る」ことを表すため、「吹聴して回る」で「色々な人に会いに行って触れ回る」という意味で使われます。

「吹聴」に予定や計画を知らせる意味はない

「吹聴」を「一般的な予定や計画などを多くの人に知らせる」という意味で使うのは適切ではありません。

「吹聴」は「言いふらすこと」を意味しますが、ここには「自らの自慢話やありもしない噂話をあちこちで言う」といったニュアンスが含まれます。「吹聴」の「吹」は「ほらを吹くこと」を表す言葉であり、物事を大げさに触れ回る意味があります。

たとえば「今週の予定を朝会で吹聴する」「事業計画を吹聴して意見をまとめる」といった使い方は誤りとなります。

「吹聴」を使った例文

  • 職場の至る所で自慢話を吹聴するのも、ほどほどにした方がいい
  • 根拠のないうわさを吹聴したところで、君の株が上がるわけがない
  • 元彼が私の知られたくない過去を吹聴して回っているらしい

「吹聴」の類語とは?

「暴露」とは「悪事や隠し事を明るみにすること」

「暴露(ばくろ)」とは「悪事や隠し事などをあばき、世間に明るみにすること」を意味します。そもそも「暴露」には「むき出しにする」「表にさらす」という意味があり、転じて一般的には「秘密や悪さなど、人には知られたくないことを公にする」という意味で使われます。

「世の中に秘密をばらして、明るみにすること」が「暴露」の意味するところですが、多くの人に直接話を広めるというよりは、暴露によって「勝手に話が広まる」といった解釈のほうが正しいでしょう。

「流布」とは「世に知れ渡ること」

「流布(るふ)」とは「世に知れ渡ること」を意味します。広く世間に行き渡ることを表す言葉で、うわさ話や自慢話のみならず、人気の歌や人の考えや評判など、あらゆる「話」が広まることを指します。

「流布」の場合、誰かが故意に言いふらしているのではなく、話の出所がどこかわからないような状況で広まることがほとんどです。「吹聴」と類語の関係ではありますが、違う点として「流布」にはネガティブなニュアンスがないこと、また話の出所がはっきりしないことが挙げられます。

「喧伝」とは「盛んに言い立てること」

「喧伝(けんでん)」とは「世間に盛んに言い立てること」を表します。ワイワイとやかましくはやし立てたり、精力的に言いふらし話題にすることを「喧伝」と呼んでいます。

「喧伝」で真っ先に思い浮かぶのは「政治演説」や「選挙演説」でしょう。その他、大声でかつピッチのよい口調で商品を宣伝する様子なども、代表的な「喧伝」の例です。

「吹聴」の「言いふらす」とは少し意味合いが異なりますが、その様子をさらに大袈裟にすれば「喧伝」に近い意味になると言えます。「世間に対して声高に、ほぼ強行的に話題として祭り上げること」を「喧伝」といいますが、悪い意味はありません。

「宣布」とは「公式に広く知らせること」

「宣布(せんぷ)」とは「公式に世間に広く知らせること」また「世の中に行き渡らせること」を意味します。主に政府や自治体などの組織が、公式のアナウンスとして世間一般に広く告げることを表します。使い方としては「新法を宣布する」「信教を宣布する」などのような使い方です。

「宣布」は正式な媒体を使って世間に広め、行き渡らせるというニュアンスがあるため、「吹聴」の「うわさ」や「自慢橋」といった内容に対しては使われません。

「吹聴」の英語表現とは?

「吹聴」の英語1「gossip」

「gossip」の意味は「うわさ話」や「陰口」といった意味を持ち、カタカナ語として浸透している言葉です。主に他人のうわさ話をしたり、陰口を叩いたりすることを指しますが、取るに足らない無駄話をするという意味でも使われます。

「吹聴」が持つ「言い広める」というニュアンスはやや薄いですが、あることないことをペラペラと話す様子は「吹聴」と似た要素があると言えます。

彼の吹聴ぶりには、ほとほと呆れる
I am sick and tired of him gossiping all times.

「吹聴」の英語2「spread rumors」

「spread rumors」は「噂を広める」という意味です。根拠のないうわさ話や、でっちあげの話などを周囲に触れ回り、世にまき散らすというニュアンスで使われます。

彼女は噂話を吹聴し回っている
She spread rumors all over the place.

「吹聴して回る人」は英語で「scandalmonger」

英語で吹聴する人のことを「scandalmonger(スキャンダルモンガ)」と言います。「scandal」とは名誉をけがすような「破廉恥」や「醜聞」のことで、「monger」は「つまらないことをする人」「〇〇屋」という意味があります。

つまり「scandalmonger」は「他人の嫌がる話題やうわさ話などをする人」という非難めいたニュアンスで使われます。一般的には、ゴシップ好きや情報屋といったニュアンスが強いため、小ばかにしたようなイメージで解釈される言葉となります。

まとめ

「吹聴」とは「言いふらすこと」を意味し、正しい読み方は「ふいちょう」です。「吹」という漢字の読み方から「ふうちょう」や「すいちょう」などと呼んでしまいがちですが、これらは誤りとなりますので気をつけましょう。他人のうわさ話や自慢話はほどほどに、職場やプライベートでも良好な人間関係を築きたいものです。