「御意」はビジネスでは使えない?意味や例文と「了解」との違いも

「御意」は身分の高い人の考えを表し、相手への返事に使われる言葉です。鎌倉時代から江戸時代をモチーフにしたアニメ作品でよく使用されています。

ただし、現在は日常・ビジネスどちらの場面でもあまり使用されない表現です。ここでは、「御意」の意味や使い方を説明しましょう。また「了解」との違いや言い換えに使える類語も紹介します。

「御意」の意味

「御意」の意味とは「身分が高い人の考え」

「御意(ぎょい)」の意味とは「身分が高い人・目上の人の考え」です。「意見」の尊敬語だと言えるでしょう。

「身分が高い人からの命令」という意味も持ちますが、現在ではほぼ使われていません。

「御意」という返事は「御意のとおり」の略

返事として使う場合の「御意」は、「御意のとおり」の略語です。「御意のとおり」とは、相手の意見を肯定する返事です。現在よく使う返事では「ごもっともです」「おっしゃるとおりです」が近いでしょう。

他にも「意見や指示に従うことを伝える返事」の意味もあります。こちらは「あなたのお考えのとおりにいたします」という返事になります。

「御意」は鎌倉~江戸時代の武士が使っていた

「御意」は鎌倉~江戸時代の武士が使っていた返事です。主君など身分の高い人の考えや、命令に対する返事として使われていました。武士言葉のため、町人や農民は使っていなかったようです。

「御意」の英語表現は「your will」「yes, (敬称)」

「御意」の英語表現は「your will」です。他にも「your wish」「your pleasure」などが使われます。

返事として使う場合は「yes, (敬称)」のように、返事自体ではなく後ろにつける敬称で、尊敬の意を表すようです。「yes, my master」や「yes, my lord」のように使用します。

「御意」の使い方と例文

「御意」はアニメやドラマで使われる

現在、「御意」がよく使われるのはドラマ・アニメや小説のような作品の中です。特に鎌倉~江戸時代をモチーフにした作品でよく使用されます。違う時代でも、古風であらたまった印象の返事として採用されることがあります。

現代日本を舞台にした作品では、ユーモアのある返事として使われることが多いようです。

「はい」「わかりました」と返事として使う例

「御意」はアニメ作品のファンやオタク同士、または親しい間柄のやり取りで、「はい」「わかりました」という返事として使うことがあります。

ただし、「御意」は一般的な返事として使われる表現ではないため、ビジネスシーンでは特に避けた方が無難でしょう。アニメの台詞を真似て、ふざけていると誤解される可能性があるためです。

「御意」を使った例文

  • 古風な作品の例
    将軍の御意に従い、盛大な宴が開かれた。
    主君の命に、Aは「御意にございます」と返した。
  • 親しい先輩・後輩のくだけた会話の例
    「この前はありがとう。お礼におごるから、金曜は空けておけよ」
    「御意!ゴチになります!」

「御意」の類語や言い換え

「御意」の類語は「了解」「思し召し」

「御意」の類語は「了解」「思し召し」になります。類語としての「思し召し(おぼしめし)」は相手を敬い、考えや気持ちを丁寧に言う言葉です。

また「了解」は返事として使う場合の類語です。相手の考えを理解した上で、受け入れて認める際に使用します。

「御意」と「了解」の違いは敬意の有無

「御意」と「了解」の違いは、他の敬語を伴わず目上の人に使えるかという点です。「御意」には「目上の意見や指示に従います」という意味合いがありますが、「了解」には目上への敬意という意味合いはありません。

「御意」の類語として目上の人に使う場合は、「了解しました」や「了解いたしました」のように丁寧な言い回しにするとよいでしょう。

「承知しました」はビジネスで使える類語

「御意」の言い換えとして、ビジネスシーンでも使いやすいフレーズは「承知しました」です。もっと丁寧にしたい場合は「承知いたしました」になります。意味は「相手の考えを理解する」「引き受ける」です。

目上の人にも使える敬語ですが「引き受ける」という意味があることに注意しましょう。「承知しました」と言われたら、相手は「理解しただけでなく、仕事を引き受けてくれた」と受け取る可能性があります。

「把握しました」は「理解しました」の意味

「了解しました」と同じ意味合いで「把握しました」という表現を使う人もいるようです。しかし「把握しました」には、本来「理解する」の意味しかありません。

「御意」のように、目上の人に対して敬意を表し「意見を肯定する」「指示に従う」という意味は表現できないことを覚えておきましょう。

まとめ

「御意」は身分の高い人に使う敬語ですが、現在は一般的には使われません。ドラマやアニメの影響が強く、真面目な場面で使うと「台詞を真似してふざけている」と誤解される可能性があります。「承知いたしました」などの表現に言い換えるとよいでしょう。