「餅は餅屋」の意味とは?使い方の例や類語・対義語を紹介

まるでプロのように物事に詳しい人がいますが、やはり大切なことはその道の専門家にまかせたほうが安心のようです。そんな教訓を伝えているのが、「餅は餅屋」ということわざです。これから「餅は餅屋」の意味や由来を解説して、その類語や対義語、さらには英語表現も紹介します。

「餅は餅屋」の意味と由来

「餅は餅屋」の意味は「専門家にはかなわない」

「餅は餅屋」の意味は、「専門家にはかなわない」です。「物事には専門家がいて、それぞれの専門家にまかせるのが一番である」ということのたとえを表したことわざです。返して、「素人は上手にできてもしょせん素人なので、専門家にはかなわない」という意味もあります。

「餅屋は餅屋」という言い方も正しい

「餅は餅屋」には「餅屋も餅屋」という言い方もあります。「餅は餅屋」のほうが一般的になっていますが、「餅屋も餅屋」も間違いではありません。

「餅は餅屋」の由来は江戸時代に遡る

餅は、江戸時代では各家庭やご近所が寄り合い餅を搗(つ)くものでしたが、餅屋の搗いた餅がおいしかったことから、このことわざは生まれました。

また、江戸後期に始まったといわれる「いろはかるた」ですが、江戸(東京)、上方(京都)、尾張(愛知県西部)ではそれぞれ内容が違います。「餅は餅屋」は上方の「いろはかるた」に取り上げられたことによって、ことわざとして定着しました。

ちなみに餅屋は、江戸時代は5代将軍徳川綱吉の治世、元禄時代(1688~1704年)にはあったようです。『類字名所狂歌集』(1676年)や俳諧『滑稽太平記』に「餅は餅屋が(の)よし」と記載されています。

「餅は餅屋」の例文

「餅は餅屋」を使った例文

「餅は餅屋」は、自分ではうまくいかなかったけれど、専門家に頼んでうまくいった時によく使われます。

  • 「スマホの使い方が分からなくて、解説書を読んでみてもやっぱりわからない。でもスマホショップで聞いたらすぐに問題は解決したよ。やっぱり餅は餅屋というよね。」
  • 「車が故障して近所のおじさんが車に詳しいからと言うから修理しようとしたんだけれど、もっとおかしくなったみたい。餅は餅屋で、最初から修理屋に頼んでおけばよかった」
  • 「テレビが壊れたので自分で修理をしようと思ったけれど、餅は餅屋というから電気屋さんに頼むことにしたよ」
  • 「子供のころ、ピアノを習っていたから子供にも教えられると思ったけれど、イライラしてちゃんと教えられないの。そこでピアノ教室に通わせるようにしたら、すぐに上達した。なんといっても餅は餅屋で、やっぱり教え方が上手だわ」

「餅は餅屋」の類語

「餅は餅屋」の類語は数多くありますが、ここでは大きく3つの類語をご紹介します。

餅は餅屋の類語①「蛇/じゃの道は蛇(じゃのみちはへび)」

その意味は「何事もその道の専門家がよくわかっている」という意味のたとえですが、そのほかにも「同類の者はお互いに何をするのか推測ができる」という意味もあります。

ちなみに「蛇(じゃ)」は大きなヘビで、「蛇(へび)」は小さなヘビのことです。つまり「蛇の道は蛇」は、大きなヘビが通った道は小さなヘビもすぐわかるという意味です。「小さなヘビ」の代わりに「どんなヘビでも」と解釈されることもあります。

餅は餅屋の類語②「芸は道によって賢し」

「げいはみちによってかしこし」と読み、その意味は「伝統芸能など専門的なことは、その道の人がよくわかっている」という教訓を示しています。「芸」の代わりに「商売」と置き換えて、「商売の道によって賢し」と言い換えることもあります。

餅は餅屋の類語③「海の事は漁師に問え」

「うみのことはりょうしにとえ」と読み、「何事もその道の専門家に相談するのが最善だ」という意味のたとえです。

餅は餅屋のその他の類語

  • 「山の事は樵に聞け」(やまのことはきこりにきけ)
  • 「酒は酒屋に茶は茶屋に」(さけはさかやにちゃはちゃやに)
  • 「馬は馬方」(うまはうまかた):「馬方」とは馬に人や物を運ばせる仕事の人のこと。
  • 「弓矢の道は武士が知る」(ゆみやのみちはぶしがしる)
  • 「病は医者 歌は公家」(やまいはいしゃ うたはくげ)
  • 「田作る道は農に問え」(たつくるみちはのうにとえ)

「餅は餅屋」の対義語

対義語は「左官の垣根」

「さかんのやね」と読むこのことわざは、「専門外の事をやってもうまくいかない」という意味です。「左官」は壁を塗るのが専門の職人ですが、そんな職人に屋根を作らせてもうまくいくわけがありません。

「餅は餅屋」の英語表現

“Every man knows his own business best.”

「誰もが自分の専門の事は一番よくわかっている」という英文で、「餅は餅屋」を意訳した文章です。この場合の「business」はビジネスの意味とよりは、「すべきこと」や「専門の事柄」と考えたほうがいいでしょう。

“The wolf knows what the ill beast thinks.”bu

「オオカミは悪い獣(心)の考えることをわかっている」と訳されることわざです。その意味は「餅は餅屋」と同義で、「その道の専門家がよくそのことをわかっている」という意味になります。

“Set a thief to catch a thief.”

「泥棒に泥棒を捕まえさせろ」という意味で、「餅は餅屋」と同義のことわざです。このことわざは、「毒を以て毒を制す」とも解釈されます。

まとめ

「餅は餅屋」は、何事も専門家に任せるのが一番だという意味のことわざです。それぞれの専門性をリスペクトするという考えは、ニーズが多様化されている現代にも通用します。また語呂もよく覚えやすいことから、今でもよく使われることわざです。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。