パトロンとは悪い意味?男性と女性の違いや類語「スポンサー」も

パトロンとは主に「支援者」という意味です。英語では、男性と女性で呼び分けることがあります。芸能界の裏事情というイメージや財力・人脈を悪い意味で使っていると思われやすい言葉ですが、本来はそうではありません。類語や他の意味とあわせてご紹介します。

「パトロン」の意味とは

パトロンとは「支援者、後援者」の意味

「パトロン」の主な意味は「支援者」です。特に芸術家が作品制作に集中できるよう、資金などを援助する人を意味します。近年ではクラウドファンディングの出資者や、非営利団体の支援者も「パトロン」と呼ばれることがあります。

「パトロン」に本来悪い意味はない

日本で「パトロン」という言葉は、「異性に資金援助する支援者」「不健全な見返りを求める悪い意味の言葉」というイメージを持っている人が多いようです。

しかし、本来の「パトロン」は芸術の発展を支え、貢献してきた人達を意味します。特に有名なのはヨーロッパのルネサンス(14~16世紀の文化・芸術運動)のパトロンです。当時、芸術家は職業として成り立っていなかったため、王族や貴族がパトロンになることで芸術家たちは生活費の心配をせず活動できました。

「パトロン」には「経営者、雇い主」の意味も

「パトロン」には「経営者」や「雇い主」という意味もあります。ただし、日本ではあまり使用されない意味のため、辞書によってはこの意味を掲載していないものもあります。

そのため、「店長は私のパトロンだ」と言うと誤解される可能性が高いため注意しましょう。

「爆薬の包み紙」や「テキーラの名前」にも使う

「パトロン」は「包み紙」という意味もあります。特に、ダイナマイトなどの爆薬の包み紙を示します。他にもテキーラの商品名など、固有名詞に「パトロン」が使われることもあるようです。

「パトロン」の語源はラテン語「pater(父)」

「パトロン」は英語やフランス語が元になったカタカナ語ですが、大本の語源はラテン語です。父を意味する「pater(パテル)」が、父のような人・雇い主を意味する「patronus(パトロヌス)」になり、そこから「patron(パトロン)」になりました。

「パトロン」の使い方とは

「パトロン」には「見返り」のイメージも

日本でパトロンは、「不健全な見返りを求めて、異性を支援する人」の意味で用いられやすい言葉です。

例えば「相手に恋人・愛人になってもらう代わりに生活費を払う人」がパトロンと呼ばれることがあります。支援の内容は金銭や人脈、芸能界であればテレビ出演など仕事の融通も含まれています。

「パトロネージュ」とは支援そのものを表す

「パトロンが行う支援」を表すカタカナ語は「パトロネージュ」です。英語のスペルはpatronage、フランス語のスペルはpatronageになります。

パトロンと違って、カタカナ表記が統一されていません。「パトロネージ」や「パトロネッジ」のように表記されることがあります。

「パトロン」の類語とは

「パトロン」の類語は「スポンサー」

「パトロン」の類語は「スポンサー」です。「事業などに支援をだす出資者」という意味になります。テレビ番組に出資するスポンサーが有名で、番組の間にスポンサーのCMを流すのが一般的です。

パトロンとの違いは明確になっていませんが、支援対象の種類で使い分けられることが多いようです。パトロンは芸術活動や非営利活動、スポンサーは経済活動に支援する際に使用されます。

「パトロン」を日本語に言い換える

「パトロン」は「支援者」や「後援者」のような日本語表現に言い換えると、見返りのような悪い意味合いやイメージは少なくなるでしょう。個人や団体の活動に賛同して、純粋に支援していることを表す言い換え方です。

「パトロン」と「パパ活」の違い

「パトロン」と似た意味で使われている俗語に「パパ活(ママ活)」があります。「パパ活」の「パパ」とは、若者を資金面で援助する人の名称です。

「パトロン」とは違い「見返りありきの支援」というニュアンスが強く、悪い意味合いで使われることが多いと言えます。「パパ活」の例としては、資金援助の見返りとして食事やカラオケに行く、資金援助はせず食事代やカラオケ代を大人が負担するなどがあります。

悪い意味合いで使われる理由は、一部援助の見返りとして不健全な交際をすることもあるためです。

「パトロン」の海外事情

英語で男性は「patoron」女性は「patroness」

英語の「patron」には、女性形があります。女性形は「patroness」です。「patronを女性に使ってはいけない」という定義はないようですが、状況に応じて使い分けられるように覚えておくとよいでしょう。

英語圏の「パトロン」は意味が広い

英語圏の「patron」は、日本より広い意味で使われています。例えば「プロゴルフの観客」や「図書館利用者」も「patron」です。官僚を任命できる政治的指導者も「patron」で表現します。

他にも商店や旅館、地元企業の「常連客」「お得意様」を「patron」と呼びます。商品やサービスだけを気に入っている人ではなく、お店や地元に愛着を持って支えてくれるような常連客を意味することが多いようです。

まとめ

「パトロン」とは、海外では芸術活動などの支援する健全なイメージで使われています。日本ではまだ悪い意味合いで使われることが多いため、「支援者」や「スポンサー」のような類語に言い換えた方が良い場面もあるでしょう。