アントレプレナーとは?意味や事例と「アントレプレナーシップ」も

「アントレプレナー」は「起業家」を意味する言葉です。現代では起業家を目指す学生も増え、大学でも専門的に学ぶことができるようになりました。

ここでは「アントレプレナー」の意味や「イントレプレナー」との違い、使い方の注意点、「アントレプレナー」の類語などを例を挙げながら紹介します。

「アントレプレナー」の意味と語源とは?

「アントレプレナー」とは「起業家」を意味する

「アントレプレナー」とは「事業を起こす人」や「起業家」を意味する言葉です。

「アントレプレナー」は、もともとある会社を引き継いで経営を行っていく人ではなく、ゼロから事業を起こす人物、起業家を意味します。つまり、会社の創始者や初代の経営者と呼ばれる人を指す言葉です。

企業や組織などがすでに存在している場合、そこには「アントレプレナー」がいるということになります。しかし、企業合併や子会社を設立して経営者やCEOなどに就任しても「アントレプレナー」とは呼ばれません。

「アントレプレナー」の語源は仏語「Entrepreneur」

「アントレプレナー」の語源はフランス語の「Entrepreneur」です。「Entrepreneur」は英語で「アントレプリナー」、フランス語の場合は「アントルプルヌール」と発音します。

「Entrepreneur」という単語は「entre=従業員と顧客の間」、「prehendo=仕事のやりとりをする」、「eur=人」の3つの単語から成り立つ言葉です。「起業家」の他に「請負人」や「仲介者」という意味もあり、同じ語源を持つ単語に「Entreprise=企業」があります。

もともと、貿易が盛んに行われたマルコポーロ時代に「仲買人」という意味の「entreprendre」という言葉が使われ、それが派生したと言われています。その後、経営学者のシュンペーターが「アントレプレナー」を「イノベーションを起こす人」を指す経済用語として紹介し、広く世界で使われるようになりました。

「アントレプレナー」を大学で学ぶ事例も

「アントレプレナー」は国内の私立大学の学部名にも起用されています。「アントレプレナー学部」とは、起業に必要なナレッジやスキル、起業するためのステップなどを専門的に学ぶ学部です。起業家に必要な資質や考え方など、事業を立ち上げるためのノウハウを習得していきます。

世界で成功を収めたアントレプレナーを事例に、実践的なトレーニングやトラブルシューティングを経験できるのも特徴でしょう。現代では起業家を目指す人も増え、ますます「アントレプレナー学部」への注目度も高まっているようです。

「アントレプレナー」の使い方と例文

「アントレプレナー」と「経営者」の使い分け

「アントレプレナー」は「事業を立ち上げる人」のことですが、その後に経営者として企業を運営していくこともあります。言ってみれば「アントレプレナー」は起業家であり、また経営者であることも多いのです。このような事例もあるため、企業の経営者と「アントレプレナー」を混同して使ってしまうことがあります。

たとえば、家族経営の場合は一代目が「アントレプレナー」となりますが、いくら社風や運営方法を変えたとしても、二代目の経営者を「アントレプレナー」とは呼びません

経営者は「企業を経営する人」や「経営の方針や計画を決める経営管理者」を総称する名称であり、「アントレプレナー」は「ゼロから事業を起こす人」です。ビジネスシーンにおける挨拶の場面などで、うっかり言葉を言い間違えないように気を付けましょう。

「アントレプレナー」と「イントレプレナー」の違い

「アントレプレナー」に似た言葉に「イントレプレナー」がありますが、意味が異なるため使い分けが必要です。「イントレプレナー」とは「社内起業家」や「企業内起業家」を意味し、主に社内おいてベンチャー的な事業を始める人のことを指します。

「アントレプレナー」はゼロの状態から事業を立ち上げる人のことですが、「イントレプレナー」は所属する企業内で新たなビジネスをスタートさせるのが特徴です。また、企業からの支援やサポートを受けながら、社内ベンチャーを実践できるのも魅力でしょう。

しかし「イントレプレナー」の場合は、あらゆる制約やルールがある場合が多く、厳しい状況の中で社内イノベーションを起こす役割を担っています。通常、ゼロから始める「アントレプレナー」とは切り離して使われます。

「アントレプレナー」を使った例文

  • 将来は企業に就職せず、アントレプレナーとして生計を立てたい。
  • 一代で事業を立ち上げた父は、尊敬すべきアントレプレナーの一人である。
  • アントレプレナーの心得は、成功者の考え方を真似ることである。

「アントレプレナー」を使った表現とは?

「アントレプレナーシップ」は起業家精神のこと

「アントレプレナーシップ(Entrepreneurship)」とは「起業家精神」を意味する言葉です。主に「事業を始める人が持つ特有の資質」という意味で解釈されますが、実際のところは「新しく事業を始め、リスクに立ち向かっていく姿勢や行動力」を指すことが多いです。

また「アントレプレナーシップ」は事業創造や新商品開発に対して積極的にチャレンジし、強い創意意欲を持って突き進んでいく精神を表します。独創的な発想力はもちろん、人に頼らない独立心なども「アントレプレナーシップ」に含まれる概念でしょう。

現代では、有名国立大学においてアントレプレナーシップ制度を設け、若い起業家を育てる試みが進められています。アントレプレナーシップ制度では、起業家精神のみならず、経営者や幹部候補生に求められる行動力や精神なども学ぶことができます。

「アントレプレナー教育」は起業家に必要な教育

「アントレプレナー教育」とは、起業家に必要な資質や精神などを学ぶための教育またはトレーニングのことを指します。アントレプレナー教育は、起業家を目指す人だけではなく、常に創意的な環境にいる社会人や企業で働くリーダーまたは管理職候補など、幅広いポジションをターゲットに行われています。

「アントレプレナー」に求められるのは創意性だけではなく、リスクを背負うチャレンジ精神やリーダーシップなどが挙げられます。実際は「アントレプレナー教育」を社内の教育プログラムに採用する例もあります。

「アントレプレナー」の類語とは?

「インフォプレナー」は情報起業家

「インフォプレナー(infopreneur)」とは「情報起業家」を意味し、情報を意味する「information」と「Entrepreneur」の頭文字を重ねてできた言葉です。

「アントレプレナー」とはややニュアンスが異なり、ノウハウやツールなどの「情報」を商材として事業を立ち上げる人のことを指します。

「インフォプレナー」のわかりやすい例は「インターネットビジネス」ですが、もともと存在する商品を消費者に販売するアフェリエイターとは異なります。

「シリアルアントレプレナー」は連続起業家

「シリアルアントレプレナー(serial entrepreneur」は、連続企業家を意味します。もともと「serial」には「連続的な」という意味があり、「シリアルアントレプレナー」で「新しい事業を継続的に立ち上げる起業家」を表します。

「シリアルアントレプレナー」の例としては、「企業を立ち上げて波に乗った時点で売却し、それを継続的に繰り返しながら常に新しいチャレンジを続ける」といったパターンです。このような起業家を特に「シリアルアントレプレナー」と呼んでいます。

まとめ

「アントレプレナー」の語源はフランス語の「Entrepreneur」で、「事業を起こす人」や「起業家」という意味があります。社内起業家の意味を持つ「イントレプレナー」とは分けて使われるため気を付けましょう。

現代では大学の学部名にもなるほど、起業家を目指す人は増えています。社内の教育制度や外部の講義などでアントレプレナーシップを学び、専門的な知識を得ていきましょう。