「オミット」の各業界での意味とは?使い方や対義語「コミット」も

「オミット」は英語の「omit」を語源とする言葉で「除外する」という意味があります。ビジネスシーンでは「オミットする」という言い回しで、企画案の選定や予算を決める場面で使われたりしますが、正しい意味を把握していますか?

ここでは「オミット」の意味や業界別の使い方と例文、類語や対義語などを紹介します。

「オミット」の意味と語源とは?

「オミット」とは「除外するという意味

「オミット」とは「除外する」という意味を持つカタカナ語です。たとえば、映画のセリフや小説の文章をある部分だけ省略したり、必要のない箇所を消すという意味で「オミットする」という表現をよく使います。

また「オミット」は「省略する」「割愛する」「削除する」といったニュアンスでも使われますが、いずれにしても「除外する」という基本的な意味から発展したニュアンスで用いられる点は変わりません。

「オミット」の語源は英語「omit」

「オミット」は英語の「omit」をカタカナ語にしたものです。英語の「omit」も日本語とほぼ同じ意味で用いられますが、「除外する」という意味に加えて「含めない」「入れない」「故意に怠る」といった意味も持ちあわせています。

また「omit」はラテン語の「omittere(送り出す)」が元となって出来た言葉だと言われています。

「オミット」のビジネスでの使い方とは?

「オミット」は企画選定や予算決めで使われる

「オミット」はビジネスシーンでもよく使われるカタカナ語の一つです。たとえば、数え切れないほどの企画案から数個のみを選定する際、求める基準に満たしていないものを省いていく作業を「オミットする」と言ったりします。

また、長期のプロジェクト計画において、予算オーバーになったり、規格に合っていないものがある場合、工程から「オミットする」こともあるでしょう。

このように、ビジネスシーンでの「オミット」は「オミットする」という言い回しで「ある理由をもとに除外する、省く」という意味で使われます。

例文

予算オーバーになったので、工程を一部オミットすることになった。

「オミット」は敬語表現では言い換える

取引先や上司などに敬語表現を用いて使う時は、「オミットさせていただく」という表現より、「省略させていただく」「割愛させていただく」といった表現を用いた方が丁寧な場合もあります。

カタカナ語に敬語表現を重ねてしまうと、言葉の運びとしてもしっくりこない場合があるからです。この場合は、TPOに合わせて上手に日本語を活用していきましょう。

「オミット」と混合しやすい表現とは?

「コミット」の意味は「約束」「責任」

「オミット」と似たような響きを持つカタカナ語に「コミット」があります。「コミット」は英語の「commitment(コミットメント)」の略名で「約束」や「責任」といった意味があります。

「コミット」はビジネスシーンでも使用頻度が高い言葉で、「このプロジェクトにコミットする」「結果にコミットする」などのように使われます。どちらも「責任を持つ」といったニュアンスで使われます。

「ペンディング」は「先送り」「保留」

「ペンディング(pending)」は「先送り」や「保留」といった意味があります。もともと「pending」には「宙にぶら下がる」という意味があり、転じて「未解決」、そして現代では「先送り」や「保留」という意味で使われるようになりました。

「ペンディング」もビジネスシーンでは重要語句の一つです。たとえば、「クライアントとの会議がペンディングになった」「ペンディングの案件」などと言ったりします。

「スポイル」は「ダメにすること」

「スポイル」は英語の「spoil」をカタカナ語にしたもので、「ダメにする」「台無しにする」「無駄にする」といった意味があります。

英語の「spoil」には「食べ物が腐る」という意味がありますが、ビジネスシーンでは「ダメにする」「台無しになる」といったニュアンスでも使われます。

「オミット」の各業界での使い方と例文

映像業界の「オミット」とはカットシーンのこと

「オミット」を映画やドラマ撮影などで用いるときは、全体映像からある部分を取り除いた箇所、つまり「カットシーン」を表します。

通常、映画やドラマなどの撮影ではシーンごとに分けて撮影を行いますが、次の映像につなげるために撮影済みのシーンを部分的にカットして調整をしていきます。画面を通して見ることができない箇所、つまり実際には放映されなかった部分を「オミットシーン」と言います。

また「オミットシーン」は本編とは別枠で集められ、のちに「カットシーン」や「未公開映像」として放映されることもあります。

例文

映画でカットされたオミットシーンが、この度公開された。

スポーツ業界の「オミット」とは失格のこと

「オミット」はあらゆるスポーツにおいて、反則や違反をして失格することを意味します。各選手が決められたルールに従わず、プレーを続けるに相応しくないと見なされた場合、フィールドから退かなければならないことがあります。

このように、スポーツ選手がルール違反などをして失格すること、そしてその場から退場することを「オミット」と呼んでいます。

例文

スポーツ選手がルール違反をしたため、次回の試合はオミットされるそうだ。

音楽業界の「オミット」とはコードから音を省くこと

音楽業界での「オミット」は、主にコードの構成音からある音を除くことを意味します。たとえば「Domit6」と楽譜に記載されている場合、「レ・ファ・ラ」で構成されるDコード3音のうち、6度である「ラ」を省略するという意味です。つまり「Domit6」は「レ・ファ」となります。

ちなみに、音符の度数は「ド=1度」「レ=2度」「ミ=3度」」「ファ=4度」のように、音が上がるにつれて、1度ずつ上がっていきます。

例文

Fコードでファをオミットすれば、より高音を強調する響きになる。

IT業界の「オミット」とは不要なものを省くこと

IT業界でも「オミット」は「除外する」「省く」という意味で幅広く使われます。たとえば、コーディングを行う場面やサイトの構成、編集を行う時に「オミットする」や「オミット済み」などの表現です。

また、チャット機能やメッセージツールを使って相手からの依頼に答える時も「依頼の件、オミット済み」とシンプルに用件だけ伝えることもできます。

例文

サイト構成でのコーディングの件、カッコ内の部分をオミットして下さい。

「オミット」の類語や言い換えとは?

「カット」とは「ある部分を削ること」

「カット(cut)」は、もともと「切る」や「切断」の意味がありますが、そこから意味が発展し「一部を削る」「ある部分を省く」というニュアンスでも使われています。たとえば、映像業界での「カット」は、録画した映像を編集する意図で、部分的に削除し整えることを表します。

「オミット」には「削除する」という意味があるため似た意味で使われますが、「カット」は「部分的に」といったニュアンスが強調されるのが特徴です。

「シャットアウト」とは「人や物を締め出すこと」

「シャットアウト(shut down)」には「締め出す」「追い出す」といった意味があります。主に「その場から人を退ける」という意味で使われるため、「オミット」とはややニュアンスが異なります。

しかし、スポーツにおいて「退場させる」という意味で使う場合、状況によっては言い換えができることもあります。

「デリート」とは「文字やファイルなどを消すこと」

「デリート(delete)」は「文字やファイルなどを消去すること」という意味です。携帯やパソコンなどに打ち込んだ文字や、保存してあるファイルや画像などを消す時に「デリート」という表現を使います。「デリートキー」や「デリートファンクション」などのように、「デリート」を使ったIT用語は数多く存在します。

「デリート」は文字やファイルなどに対して使われることが多く、この点は「オミット」とは異なります。

「オミット」の対義語とは?

「アディション」とは「追加すること」

「アディション(addition)」は「追加する」という意味を持つカタカナ語です。日本語で「削除する」の対義語は「追加する」となるため、「アディション」は「オミット」の対義語と言えるでしょう。

「プラス」とは「足すこと」「加えること」

「プラス(plus)」は、算数や日常生活のあらゆる場面で活用されるカタカナ語です。意味は「足すこと」「加えること」となるため、「削除する」を意味する「オミット」とは対義語になります。

日常生活では「プラス効果」や「プラスに考える」などのように、良い意味で使われることが多いです。

まとめ

「オミット」は「除外する」や「省略する」という意味がある言葉で、英語の「omit」を語源としたカタカナ語です。主に「オミットする」という言い回しで使われ、ビジネスはもちろん映像や音楽、ITなど幅広い業界で用いられています。

また、状況によって「オミット」が文脈にしっくりこない場合は、カタカナ語で馴染みのある類語「カット」や「シャットアウト」などを使うとよいでしょう。