「ノルマ」は「労働者に課られた遂行すべき作業量」を意味する言葉です。似た言葉に「目標」という言葉がありますが、「ノルマ」とはどのように意味が異なるのでしょうか?
ここでは「ノルマ」の意味の他、「ノルマ」は何語なのか、「ノルマ」と「目標」との違い、使い方と例文、また言い換えができる類語などについて紹介します。
「ノルマ」の意味や語源・由来とは?
「ノルマ」の意味は「遂行すべき標準作業量」
「ノルマ」とは「遂行すべき標準的な作業量」という意味があります。決められた一定時間、または期間内に労働者に課せられる標準的な仕事量を表し、会社や組織が個人やグループなどに割り当てる目標のようなものを指します。
「ノルマ」の語源・由来はロシア語「norma」
「ノルマ」の語源になった言葉はロシア語です。ロシア語の「ノルマ」をラテン文字に転写すると「norma」となります。
そもそも、第二次世界大戦中に日本人が「norma」という言葉を見つけ、日本に戻った後に使い始めたのがきっかけだと言われています。その後、日本で「ノルマ」という言葉が広く使われるようになり、現代の生活に定着したと言われています。
由来となるロシア語の「ノルマ」も、日本で使われている意味と同じく「一定時間、または期間に各自に課せられる、やらなければならない標準的な仕事量」という意味があります。
「ノルマを課す」ことでプレッシャーも
「ノルマ」は、言ってみれば「一定期間において各自に課せられる作業量」のことです。やるべき仕事の量を直接的に指す言葉であるため、ノルマを課すことに対して義務感やプレッシャーなどを感じることもあるでしょう。
会社や組織によって「ノルマ」への設定基準や目的は異なりますが、一定の期間において目標とする数字を掲げることで、逆にやる気を高めモチベーションを維持することもできます。
「ノルマ」と「目標」の違いとは?
「目標」は自分の意思で掲げる水準
「目標」とは「物事を達成するために、自分自身の意思で掲げる水準」を意味します。行動や計画などを進める際、そのゴールを達成するために定めるバロメーターが「目標」です。
「目標」は「目標を定める」「今週の目標」というように使われますが、何かを達成するために決める目印や目当てというニュアンスで使われます。
「ノルマ」は会社が個人に与えるもの
「ノルマ」と「目標」には「誰が」「どのような目的で」決めるかという点において違いがあります。「ノルマ」は、おおむね会社や組織が、個人やグループに対して「与える」ものというニュアンスがあります。一方で、「目標」の場合は、個人の能力レベルや実力を考慮して、自分自身で掲げるものです。
そのため「ノルマ」の場合は、「やらなければならない」という義務感やプレッシャーなどを感じることが多いです。一方「目標」の場合は「それに近づくために努力する」という前向きな気持ちを持って進むことができる言葉です。
また「目標」の場合は、たとえ最終的にゴールに到達できなくても、次の試みで良い結果が出れば良いといったケースもあります。「ノルマ」は言ってみれば「マスト」で取り組まなければならないため、やや強制的な枠組みとも解釈できます。
「ノルマ」の使い方と例文
「ノルマ達成」「ノルマなし」のように使う
「ノルマ」は、会社の営業やセールス部門において、切っても切れない関係にある言葉でしょう。たとえば、「今月の契約ノルマは〇〇件」「今週のノルマ達成に向けた対策」ように、一定の期間で遂行しなければならない仕事の量、またはそれによって得られる収益などに対して使われます。
特に、モノやサービスを売るセクションで働く人は、月ごとに決められた「ノルマ」を達成するために、自分にあった目標や目安を定めて業務をこなしていきます。
しかし「ノルマ」の設定に対しては、経営者によって様々な考え方があるようです。「ノルマなし」で自分の「目標」を設定し、徐々に「ノルマ」に切り替えた方が、目標を達成しやすいという声もあります。
「ノルマ」を使った例文
- 今月はノルマがきつくて、ストレスが半端ない
- ノルマに追われる生活は、もうこりごりだ
- この契約を成立させれば、今週はノルマ達成だ
「ノルマ」の言い換えに使える類語とは?
「ノルマ」の言い換えに使える類語1「クオータ」
「クオータ」は、販売や業務に対して「割り当て」といった意味で使われる言葉です。営業やセールス部門のみならず、あらゆる業務において「一定の期間内にやらなければならない仕事量」を指すため、「ノルマ」とほぼ同じニュアンスで使われます。
一般的には「ノルマ」という言葉のほうが浸透しているため、会社や組織が好んで使うのは「ノルマ」の方でしょう。しかし、利益にフォーカスせず「各自の割り当て」や「個人の役割」という意味で使う場合は「クオータ」という表現をあえて使うこともあります。ちなみに、外資系企業や海外部門では「クオータ」を使うことがほとんどです。
「ノルマ」の言い換えに使える類語2「タスク」
「タスク」とは「果たすべき作業」という意味があります。つまり、会社や組織においては「自分が行うべき業務や仕事」という意味で使われます。
「タスク」は「ノルマ」とややニュアンスが異なり、自分に課された業務という意味で使われます。ここには日常的に行うルーチンワークや、短時間で処理することができる単発の業務も含まれます。「タスク」にも「果たすべき作業」という意味がありますが、「ノルマ」のようにストレスを与えるような言葉ではないでしょう。
また、ビジネスシーンでは「タスク」を使った熟語表現がいくつかあります。よく使うものに「タスク管理」や「マルチタスク」などがありますが、あくまで「業務」というニュアンスで使われることがほとんどです。
「割当」とは「分担すること」
「割当(わりあて)」とは、各々に分けて与えたり、仕事や物事を分担することを意味します。ビジネスシーンでの「割当」は「業務分担」を意味することが多いです。その他、「取り分」や「分配高」という意味で、物事を分け与える時にも使われます。
「ノルマ」を英語で表すと?
「ノルマ」は英語で「quota」
「ノルマ」を英語でいう時は「quata(クオータ)」を使います。類語の項目でも紹介しましたが、「quota」は「ノルマ」とほぼ同じ意味で使われます。また「ノルマ」は英語表記で「norma」となりますが、英語圏ではほとんど通じないため注意しましょう。
「ノルマ」を使った英語例文
- I only need 1 more contract this month according to my quota.
今月の契約ノルマを達成するまで、あと1本のところまできた。 - I’m so fed up with such hard quotas.
きついノルマには、もううんざりだ。
まとめ
「ノルマ」は「遂行すべき標準的な作業量」という意味があり、会社や組織が労働者に与える「一定期間にやらなければならない仕事の量」を表します。また「ノルマ」はの由来はロシア語で、ラテン文字転写で「norma」と表示します。
似た意味の言葉「目標」の意味は「物事を達成するために、自分自身で設定する水準」となりますが、「ノルマ」は会社が各自に与えるもので「目標」は自分自身で掲げるゴールへの目安となります。