「円安」の意味とは?円高との違いやメリットと輸出業との関係も

「円安」とは、日本円の価値が相対的に低いことです。ニュースでは「円安により輸出業の株価に影響が~」のように使われます。

関連する仕事や投資をしていない人は「円の価値が変わる理由とは?」「円安のメリットとは?」「円安と円高どっちがいいの?」と疑問が浮かぶかもしれません。円高との違いをあわせて説明しましょう。

「円安」の意味とは

円安とは「円の価値が相対的に低い」という意味

「円安(えんやす)」とは、海外の通貨に対して日本円の価値が相対的に低いという意味です。特に、アメリカドル(米ドル)に対して日本円の価値が低い状態は「円安ドル高」とも言われます。なぜアメリカドルと比較することが多いのかと言うと、海外との取引ではアメリカドルを決済に利用することが多いためだとされています。

「円安」になる具体例

具体的な金額で「円安」の状況を考えてみましょう。例えば「1ドル=100円」で1,000円を両替すると10ドル受け取れます。しかし「円安」で「1ドル=200円」になった場合、1,000円を両替しても5ドルしか受け取れません。

注意が必要なのは「1ドル=〇円」の〇の金額が「円安だと上がる」という点です。ドルの視点で考えて「円が安くなったから、1ドルでたくさん買えるようになった」とイメージすると、分かりやすいかもしれません。

円安の例

【1ドル=100円】10ドル=1,000円
【1ドル=200円】  5ドル=1,000円(円安…円の価値が低くなった)

「円安」の対義語は「円高」

「円安」の対義語は「円高(えんだか)」です。海外の通貨に対して、日本円の価値が相対的に高い状態です。

1ドル=50円の場合、1,000円両替すると20ドル受け取れます。1ドル=100円から比べると円の価値が上がっているため「円高」です。

円高の例

【1ドル=100円】10ドル=1,000円
【1ドル=  50円】20ドル=1,000円(円高…円の価値が高くなった)

「円安」になる理由や要因とは

円の想定的価値は「変動為替相場制」で変動する

円の価値が変わるのは「変動為替相場制(へんどうかわせそうばせい)」のためです。「変動相場制」と省略することもあります。

通貨の交換比率(為替相場)を需要と供給のバランスで変動させる制度のことで、日本以外も多くの国が変動為替相場制で通貨の価値を定めています。

「円安」になる要因は「円を売りたい人が増えている」

変動為替相場制で円安になる主な要因は「円を売りたい人が増えている(需要が下がる)」ことです。例えば、日本で大きな災害が起きた場合、日本円の安定性を不安視して売りたい人が増える可能性があります。

また、日本に問題がなくても円安になることがあります。アメリカ経済に良いニュースが出た際は、信頼性が高まるドルを買うために、円を売る人が増えるということがあり得るのです。

「円安」のメリットやデメリットとは

「円安」のメリットとは「輸出業で有利になること」

「円安」のメリットは、輸出業で有利になることです。日本円での金額が同じままでも海外の通貨では安価で買えるため、日本製品の人気が高まります。輸出業が活性化することで、企業は設備投資したり従業員を増やしたりするため、景気が良くなることが期待できます。

他にもプラスになる可能性があるのが「観光業」でしょう。海外の観光客にとって、手持ちの通貨を多くの日本円に両替できるチャンスだからです。お得に土産や飲食店を満喫しようと外国人観光客が増えることが見込めます。

「円安」のデメリットとは「輸入業で不利になること」

「円安」のデメリットとは「輸入業で不利になること」です。円安になると、今までと同じものを輸入するために、多くの日本円を外貨に両替しなくてはならなくなります。

日常生活にも悪い影響が出やすいのが円安です。食料やエネルギー資源の多くを輸入に頼っていることが要因として挙げられます。輸入にかかるコストが増えた結果、販売価格が値上がりし日々の生活を圧迫する可能性があるのです。

「円安」は輸出業における株価上昇の要因に

「円安」は株価に影響を与えることもあります。メリットのひとつは、業績が上がることが予想される輸出業に関する企業の株価が上がりやすいでしょう。

反対に、デメリットが強い輸入業に関する企業の株価は下がりやすくなります。

「円安」の豆知識

デメリットが大きい円安は「悪い円安」とも

「悪い円安」とは、円安のメリットよりデメリットが大きすぎる際に使用する言葉です。例えば、円安と原油高騰が重なった場合は、値上がりした原油の輸入に多くの日本円が必要になるため、デメリットが強すぎてしまう可能性があります。

「1ドル360円は円が360度のため」は信ぴょう性が低い

第二次世界大戦終戦後、1973年まで「1ドル=360円」で固定されていた時期がありました。現在から見ると大幅な「円安」だと言えます。この金額の理由を「図形の円が360度のため」だとする説がありますが、信ぴょう性は低いようです。

例え事実でなかったとしても「当時の円相場の覚え方」として便利に感じる人もいるでしょう。歴史の勉強などで覚える必要がある人は参考にしてみてください。

まとめ

「円安」にはメリットもデメリットもあるため、どっちがいいということは簡単に判断できません。ただし、デメリットが多すぎる場合は「悪い円安」だとする意見もあるようです。日々の経済ニュースをチェックしてみましょう。