「行う」と「行なう」の意味と違いとは?使い分け方や類語も解説

「おこなう」は「行う」と「行なう」の両方の送り仮名が見られますが、間違っているんじゃないかと思ったときはありませんか。実は、どちらの送り仮名も認められているのですが、現代では推奨されている送り仮名があります。

この記事では、「行う」と「行なう」の意味や違いのほかに、使い分け方や類語なども紹介します。

「行う」と「行なう」の意味と違いとは?

「行う/行なう」の意味は「する」

「行う/行なう」の意味は、「あることをする」です。行為や動作をするという意味で、さまざまなシーンで使われます。

他にも、「修行をする」「処理する」「指図する」などの意味もあります。

「行う/行なう」の例文
  • 演習/調査/実験/指導(など)を行う
  • 部下は上司の指示通りに行った
  • 先週行われた試験の結果が出た

「行う」と「行なう」はどちらも間違いではない

「おこなう」を漢字で書いたとき、「行う」と「行なう」という異なる送り仮名を使った書き方がありますが、どちらも間違いではありません。

「おこなう」の漢字表記は小学校で習いますが、学校では「行う」が正しいと習います。しかし、1959年に国が目安とするべき言葉の使い方を内閣告示による「送り仮名の付け方」では、「行なう」が正しい送り仮名としています。改訂された現行の「送り仮名の付け方」にも「行なう」は許容されることになっています。

推奨され主流なのは「行う」

「行う」と「行なう」の両方とも間違いではないのですが、主流として使われているのは「行う」です。なぜなら最新の「送り仮名のつけ方」では「行なう」ではなく、「行う」を正しい送り仮名として定めたからです。

そのため「行う」が使われるようになり、現代での主流の送り仮名になりました。

「行う」と「行なう」の理解に年代よって違いがある

「行う」が主流であり推奨されているものの、以前は「行なう」の方が正しい送り画型としていた時代があったことから、「行う」と「行なう」のどちらが正しいのかという論争については、どの年代に教育を受けたかによって違いがあるようです。

「送り仮名のつけ方」の改定前である1973年以前に教育を受けた人は「行なう」が正しいと主張しますし、それ以降の人は「行う」が正しいと主張する人が目立ちます。

現代では「行う」が推奨されているとはいえ、「行なう」も許容するというのが政府の見解ですから、「行う」と「行なう」の両方ともただし送り仮名です。ただし、年配の人に「行なう」を正しい、それ以外の人は「行う」が正しいとする傾向があります。

「行う」と「行なう」の使い分け方とは?

公用文・新聞や雑誌・履歴書・論文では「行う」を使う

現代ではどのような書面でも「行う」を使います。法令などの公用文、新聞や雑誌などのマスメディアではもちろんのこと、履歴書などのビジネスで使われる書類や論文など、携帯に拘わらず「行う」を使います。

「行った」の読み方がわかりにくい時に「行なう」を使う

「行」という漢字の訓読みには「行く(いく)」と「行う(おこなう)」がありますが、「行った」では「いった」と読むのか、それとも「おこなった」と読むのかはっきりしないことがあります。

例えば、下記のような例文では「いった」または「おこなった」のどちらで読んでも意味は通じます。

「Aさんが行った」の2通りの読み方
  • Aさんがいった
  • Aさんがおこなった

どちらの読み方が正しいのかは文脈からしか判断できないため、あえて「行なう」の送り仮名を使い「行なった」と書くこともできます。読者に誤読させないための工夫です。

「行う」の類語や言い換え表現とは?

「する」は「行う」を簡単に言い換えた類語

「する」とはある動作や行いを行うという意味の言葉で、「行う」を簡単に言い換えた言葉です。「運転を行う」は「運転をする」、「作業を行う」は「作業をする」のように言い換えられます。

「する」と「行う」の違いは、「する」が何かを行うときに一般的に使われている言葉なのに対して、「行う」の方が改まった印象を与える言葉です。

「実行する」とは「実際に行うこと」

「実行(じっこう)する」とは「実際に行うこと」という意味の「実行」の動詞形です。「行う」と「実行する」はどちらも「何かをする」という意味ですが、「行う」よりも「実行する」の方が、行おうとする意思が強く感じられる言葉です。

「実行する」の例文

長年練り上げた計画を実行する

「遂行する」とは「業務や任務を行うこと」

「遂行(すいこう)する」とは「業務や任務を最後まで行うこと」という意味です。「行う」との違いは、「遂行する」は主に業務や任務などビジネスなどで行われる仕事を行うときにい、また「最後まで終わらされる」という意味合いが含まれていることです。

「遂行する」の例文

「このプロジェクトを遂行してほしい」と上司は言いながら資料を手渡してきた

「行う」の英語表現

「行う」は英語で「do」「carry out」「conduct」

「行う」は英語で「do」「conduct」「carry out」などの表現が使えます。「do」は「する」という意味で、「do the work」(意味:作業を行う)のように「do」の後に実行する事柄を続けて使います。

「carry out」はよく「実行する」と訳されるイディオムで、仕事や計画などを「実際に行う」という意味合いで使われます。

「conduct」も「行う」という意味ですが、「案内する」という意味もある言葉で、ビジネスなどでリーダーシップを取りながら何かを行うときによく使われます。

「行う」の英語例文

  • “She does the work quickly.”
    「彼女は迅速に作業を行う」
  • “Our team carried out a new business.”
    「私たちのチームは新しい事業を行った」
  • “He conducted a meeting.”
    「彼がミーティングを行った」

まとめ

「行う」と「行なう」のどちらも間違いではないですが、「行う」の方が主流です。年代によって正しいと思っている送り仮名に違いがありますが、1973年以降、行政の指導により「行う」が正しいとされています。ビジネスや学校などでも、「行う」を使うようにしたほうがいいでしょう。

 

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。