「対岸の火事」の意味と使い方は?類語や反対語との違いも解説

「対岸の火事」ということわざを知っていますか?日本に古くからあることわざの一つですが、意味や使い方を習得しておけば、ビジネスシーンでも役立つこともあるでしょう。

ここでは「対岸の火事」の意味と使い方を中心に、「高みの見物」「他山の石」との意味の違い、類語と反対語、英語表現についてまとめています。

「対岸の火事」の意味と使い方は?

さっそく「対岸の火事」の意味と使い方、また「高みの見物」との違いについても併せてみてみましょう。

意味は「周囲の大事だが自分とは無関係なこと」

「対岸の火事」の意味は、「周囲の大事だが自分とは無関係なこと」です。自分の周りでとんでもない事が起こっているにも関わらず、自分には関係がなく何の痛みもないことを例えたことわざです。「対岸」とは川を挟んで向こう側の岸のことですが、その対岸で火事があっても、川を挟んでいるため自分には被害は及んでこないという意味合いがあります。

加えて、「火事」というものは非常に恐ろしいものです。火事は家屋を焼き尽くし、人の命まで奪うことにもなりかねないような「一大事」でもあります。そのような「大きな出来事」でも「川の向こうにあるから大丈夫、心配するに及ばない」つまり「どんな大ごとでも自分には苦痛はない」ということをたとえたことわざなのです。

慣用句「対岸の火事」は自分を戒める形で使うことが多い

日常生活やビジネスシーン、また職場において、たとえ自分が直接的に関係の立場にいても、何かしらのトラブルや厄介な出来事は周囲に起こり得るものです。それを「対岸の火事だから、放っておこう」と捉えるのは人道的にもやや不適切だと考えられます。

「対岸の火事」である状態であっても「自分も注意しないといけない」「事が収まるとよいのだが」というように受け止めるようにすることも大切です。そのような背景から、実際使い方としては「対岸の火事とせず」「対岸の火事と思わず」と自分を戒める形で使うことも多いです。

「対岸の火事」と似たことわざ「高みの見物」との違い

「対岸の火事」と似たことわざに「高みの見物」があります。「高みの見物」は「自分に被害が及ぶことがなく、第三者としてものごとを見物すること」という意味のことわざで、「興味本位で状態を眺め見ること」を指しています。

「高みの見物」は「関係がないからただ見ているだけである」また「事態に巻き込まれたくないという理由で距離を置いて成り行きを観戦する」というニュアンスで使われる言葉です。「対岸の火事」とは類語として捉えられますが、「高みの見物」は下の方でワイワイしているのを、高い場所で見下ろすというニュアンスがベースで使われることがほとんどとなります。

「対岸の火事」と混同されやすいことわざ「他山の石」との違い

また「対岸の火事」と混同されやすいことわざに「他山の石」があります。「他山の石」は「自分と関係のない出来事でも、自分を高める(磨く)助けになる」という意味の言葉です。

「対岸の火事」と「他山の石」は、「自分とは無関係である」という点は共通していますが、「対岸の火事」は「他人のことは自分には関係ない」という意味を、「他山の石」は「どんなことでも自分のためになる」という意味を含んでいる点が異なるので、使い方には注意しましょう。

「対岸の火事」の類語と反対語は?

それでは「対岸の火事」の類語と反対語についてみてみましょう。

類語は「山門から喧嘩見る」

「対岸の火事」の類語にあたるのは、前述した「対岸の火事」の他、「山門から喧嘩見る」「川向こうの火事」などがあります。どちらも自分には関係ない大ごとを指し、被害が及ばない無痛の様子を指す言葉です。

  • 部長と課長が何やら言い争っているけど、山門から喧嘩見るでそっとしておくべきなのか?
  • 川向こうの火事というが、取引先の揉め事はやはり気になってしまうものだ。

反対語は「隣の火事」

「対岸の火事」の反対語は「隣の火事」です。もし、隣で火事が起きたら、最も被害をこうむるのは自分でしょう。キケンのない対岸の火事のように黙って見過ごすわけにはいきません。

  • 同僚の失敗は「隣の火事」だ。大問題にある前に一緒にミスを修復していこう。

「対岸の火事」を英語表現すると?

最後に「対岸の火事」を英語で表現してみましょう。国際環境でコミュニケーションをすると気に、会話のスパイスとしてぜひ取り入れてみて下さい。

英語では「It’s nothing to do with me」

「対岸の火事」は日本独特の比喩的な表現を用いたことわざですが、英語の場合は「私には関係ない」とストレートに表現にします。適切な表現は「It’s nothing to do with me」「It’s not relate to me」「It’s someone else’s problem」などが良いでしょう。

「対岸の火事」は直訳すると「It’s a fire on the other shore」となりますが、英語環境ではほとんど使われないため、意味が通じないこともあるため気を付けるようにして下さい。

「対岸の火事」の英語例文

「対岸の火事」の英語例文をご紹介しましょう。

  • My boss said not to worry and it’s nothing to do with us  when other department had a fight.
    他の部署が言い合いをしているときに「対岸の火事だから関係ない」と言った。
  • There was obvious harassment in our team and it’s no longer someone else’s problem..
    我が部署で当て付けの嫌がらせがあった。これは「対岸の火事」ではない。

まとめ

「対岸の火事」は「周囲で一大事が起きているが、自分には関係なく無痛である」という様子を指すことわざです。状況を軽く見ず、むしろ「自分も注意しなくては」という意識をもって使われるべき言葉でしょう。

職場でも「対岸の火事」に匹敵するような事態やものごとは数多くあると思いますが、いつ何どき対岸から「火の粉」が身の上に降りかかってくるかわかりません。センシティブな職場環境では適度に身を引き締めて「対岸の火事だから」と軽視し過ぎないようにしたいものです。