「器用貧乏」は、何でもこなせるが何故かどれも一花咲かせることができないという意味で使われる四字熟語です。
ここでは「器用貧乏」について、自分で言う時の使い方や言い換え表現と対義語、英語訳を紹介します。仕事やプライベートで頼まれごとが多い人は「器用貧乏」である可能性が高く、その理由についても述べています。
「器用貧乏」の意味とは?
器用貧乏の意味は「何でもできるが大成しない」
「器用貧乏」とは「何でもできるが、結局どれも大成しない」という意味です。複数のことを問題なくこなせるが、どれもいまいちパッとせず極めることができないことを表しています。
「器用貧乏」の「器用」とは、「色々な物事を要領を得て処理すること」「芸事や工作などを上手にこなすこと」「抜け目なく動くこと」です。また「貧乏」は、金銭的に貧困しているという意味ではなく、広い範囲で物事を処理することができることから、一つひとつのクオリティが乏しくなってしまうことを表しています。
つまり、器用であることが仇となってどれも中途半端になってしまうような性質を「器用貧乏」といいます。
「器用貧乏」は一事に徹底できず成就しにくい
「器用貧乏」は、一事に徹底できなかったり多くの物事に手を出すことで、結局大成できない人のことです。多くのことをやりながら、ある程度納得のいく領域に達した時点でやめてしまうことが理由のひとつでもあります。
「器用貧乏」は色々なことをやりながら、一定のレベルに達すると満足してしまいます。それだけに、一つの物事に執着して極めることができず、結局成就しないことが挙げられます。
「器用貧乏」は多様な仕事をこなせる
「器用貧乏」の「器用」は、物事の処理を適切に要領よくこなすというポジティブな言葉です。「器用」であることを誇りに感じながら、思うように自分の夢や希望などが大成できないのは、何ともどかしい状況でしょう。
たとえば、仕事において「器用な人」は周りから重宝されると同時に、頼られることが多くなりがちです。さまざまな依頼に応えられるがゆえに他人の対応を優先してしまい、自分自身については大成できないというシナリオが生まれてしまいます。仕事で頼りにされることはやりがいにもつながりますが、自分を後回しにしすぎないよう気をつけましょう。
「器用貧乏」の使い方と例文
相手の器用さに対して皮肉を表す
「器用貧乏」は、相手や第三者の器用さを皮肉る意図で使われることが多いです。
たとえば、オールラウンダーである仕事仲間に対して「何でもこなせるけど、一芸には秀でていない器用貧乏だ」と、ちょっとした皮肉や嫌味の感情を込めて言うことがあります。「器用であるのは素晴らしいが、自分のことを後回しにしている」と相手を揶揄するような場合です。
「器用貧乏」を誰かに向かっていう時は、ネガティブな要素を婉曲に伝たい主旨が隠れています。
自分で言う場合は謙遜の意味で使う
自分のことを「器用貧乏である」と自分で言うこともあります。この場合は、自分の器用さを謙遜する意図で使うことが多いです。相手に器用であることを誉められた際に「器用貧乏なもので」と言えば、自身の器用さを謙遜することが可能です。
「器用貧乏」を使った例文
- 昔から器用貧乏であったせいか、今の仕事でもなかなか一番になることができない
- 仕事、家事、育児を全てをそれなりにこなす私は、よく器用貧乏だと小馬鹿にされる
- 私は好奇心が旺盛で何でも自分でやってしまう、器用貧乏の典型的な例である
「器用貧乏」の言い換え表現と対義語
「器用貧乏」の言い換え表現「多芸は無芸」
「多芸は無芸」とは「多くの特技を持つ人は、特技の全くない人と何ら変わりがない」という意味です。ここでの「芸」とは、特技や得意な分野も含まれます。
つまり、多くの特技を持っていても一つのことを極めなければ、結局のところ無芸に等しいという意味です。「多芸は無芸」は、多くの趣味を持つ人や仕事でオールラウンダーに対して「何一つ他を超越したものがない」と皮肉の感情を込めて使われることが多いです。
「器用貧乏」の対義語は「一芸に秀でる」
「一芸に秀でる」とは「一つの技芸が特に優れていて、くっきりと目立つこと」を意味します。一つの芸事やスキルが他人を超越していて、明確に抜きん出ていることを表現する言葉です。
「一芸に秀でる」は、あれもこれもと欲張るのではなく一つの芸を突き止め、しっかりと軸足を置いていなければ到達することはできません。つまり、複数のことである程度結果を出すという「器用貧乏」の対義語として使えます。
「器用貧乏」を英語でいうと?
「器用貧乏」は英語で「versatility never pay off」
「器用貧乏」の意味で最もよく使われる英語表現は「versatility never pay off」です。「versatility」とは「器用さ」「多様性」を表し、「pay off」は「報われる」「良い結果をもたらす」という意味があります。つまり、否定の「never」を付けて「器用な人は報われない=器用貧乏」となります。
「器用な人」を表す英語フレーズ
「器用貧乏」を直接表現する英語フレーズではありませんが、「器用な人」を表す言い回しを挙げてみます。
- Jack of all trades, master of none :スキルが多い人のこと(英語圏では定番フレーズ)
- all-rounders : オールラウンダー
- Renaissance man:ルネッサンスマン、多芸多才な人
まとめ
「器用貧乏」とは「さまざまなことをこなすが大成しにくい」また「何でもそつなくできるが、どれも中途半端になってしまう」ことを表します。「器用貧乏」はほとんどの場合、器用であるがゆえに自分が損をしているというニュアンスで使われますが、自分で言う場合は謙遜し自虐的なニュアンスで用いることが多いです。
何でもハイハイやらない方がいいよ。器用貧乏っていうでしょう。
You should not just accept whatever they ask. You know versatility never pay off.