「群雄割拠」の意味と由来は?ビジネスでの使い方や類語・対義語も

「群雄割拠」は、戦国時代を舞台にした小説やオンラインゲームなどで見聞きする言葉です。一般的にはトップが拠点を築きライバルと対立するような場面で使われますが、正しい意味を理解してれば、自信を持って会話でも活用することができます。

ここでは「群雄割拠」の由来と使い方、類語や英語フレーズなどを含めてわかりやすく紹介します。

「群雄割拠」の意味と由来とは?

「群雄割拠」の意味は「英雄が勢力を張り対立すること」

「群雄割拠(ぐんゆうかっきょ)」とは「英雄たちが拠点を築き、勢力を張って対立すること」という意味です。多くの実力者やトップと呼ばれる人物がそれぞれに拠点を設け、互いにライバルとして勝負することを表します。

「群雄割拠」の「群雄」とは「群=多くの」「雄=英雄」を示し、「多くの英雄」を意味しています。ここでは広い意味で「実力者」や「角界のトップやリーダー」「権力者」のように、特定の分野や業界で偉大な実績を誇る人を含んで使われます。

また「割拠」とは、「権力のある者がそれぞれの拠点を持ち、そこをよりどころとして勢力を張り詰めること」を意味します。この二つの言葉を組み合わせてできたのが「群雄割拠」です。

「群雄割拠」の由来は戦国時代の状況から

「群雄割拠」は戦国時代に生まれた言葉です。戦国時代に実力や権力のある武将同士がそれぞれに拠点を構え、争った状況を表す言葉として生まれました。

そもそも、戦国時代とは1467年の「応仁の乱」が勃発し、織田信長が全国を統一するまでのおよそ100年を指します。この期間、豊臣秀吉や徳川家をはじめ、上杉謙信、明智光秀、石田三成などの多くの戦国武将がそれぞれの拠点を築きライバルを倒そうと奮闘していました。

本拠地を守りながらトップ同士がぶつかり合い、競い合う状況を「群雄割拠」と呼んでいたのが由来とされています。

「群雄割拠」の使い方と例文

「群雄割拠」は戦国時代に関する作品でよく使う

「群雄割拠」という表現を日常生活で使うことはあまりないかもしれませんが、戦国時代を舞台としたオンラインゲームや小説などではよく使われています。「群雄割拠」とは、まさに戦国時代の状況をそのままたとえたような言葉です。

そのため、「群雄割拠の時代」や「群雄割拠の様相」のように、各武将が足場を固めて自身の勢力範囲としながら敵の本拠に攻め込んでいく、という状況において多く使われます。

過酷な戦国時代を描いた小説や舞台なども同様です。「群雄割拠」という四字熟語を使うことで、英雄たちの戦力争いが、途切れることなく続いた戦国時代を一言で表すことができます。

「群雄割拠」はビジネスや選挙戦でも使われる

「群雄割拠」は戦国時代のみならず、ビジネスシーンや選挙戦などでも使うことができます。

たとえば、売り上げや高評価の数字を挙げるためにライバル企業と激しくぶつかりあい、力を尽くして市場を争います。また、企業買収では自社を拠点とし、資金や権力のある企業が不振企業を買い取るという流れです。こちらも「群雄割拠」の状況に極めて近いと言えます。

「選挙戦」でも同じです。選挙事務所を拠点に候補者同士が張り合って当選の席を奪い合います。時にはライバル候補の支持者を奪うこともあります。これらの状況も「群雄割拠」という言葉で表すことができます。

「群雄割拠」を避けるときの使い方

「群雄割拠」とは、トップ同士が勢力を張り激しく対立することを意味します。勢力を拡大させ、相手の領土を占領するという意図があるため、勝負に負けたほうは不幸な結果に陥ってしまうでしょう。平穏無事とまではいかなくとも、争いごとを好まない人にとって「群雄割拠」は恐れ多い出来事でもあります。

そのため、「群雄割拠」は「群雄割拠を避けるために」や「群雄割拠にならないように」というような使い方をすることもあります。悪夢や血を見ないようにという敬遠の意を伴って使われます。

「群雄割拠」を使った例文

  • 戦国武将による群雄割拠が続き、多くの兵士が犠牲となった
  • 選挙事務所の開設とともに、群雄割拠の姿勢が整った
  • 群雄割拠にならぬよう、互いに距離を置くようにすすめた

「群雄割拠」の類語とは?

「竜闘虎争」は「同等の力がある者同士が戦うこと」

「竜闘虎争(りゅうとうこそう)」とは「同じ程度の力がある者同士が、激しく競い戦うこと」を意味します。

もともと、実力において引けを取らない「竜」と「虎」の両者が全力で交戦するという意味があり、転じて「負けずとも劣らずとも言えぬ二人が必死で争うこと」という意味で使われるようになりました。

「竜騰虎闘」は「伯仲する強豪が激しく争うこと」

「竜騰虎闘(りゅうとうことう)」とは「伯仲する強者同士が激しく争うこと」という意味です。力において同等の両者が、全力で勝負に挑むことを表しています。

「竜騰虎闘」の「騰」は「高く跳ね上がる」「湧き上がる」、また「闘」は「争い」を意味します。この四字熟語も、両者が一歩も引かず激しく衝突する状況で使われる表現です。

「竜攘虎搏」は「実力が互角の二人が勝負すること」

「竜攘虎搏(りゅうじょうこはく)」とは「実力が互角である二人が、激しく勝負すること」を意味します。権力や能力を含めたあらゆる力の伯仲した強豪が、まるで「竜」と「虎」が互いに討ち殴るように戦うことを表現する言葉です。

「竜攘虎搏」の「攘」は「打ち払う」、「搏」は「なぐる」ことを表します。こちらも力の上で同格の両社が真っ向から勝負をするという意味になります。

「群雄割拠」を英語で表すと?

「群雄割拠」は忠実に英語のセンテンスでまとめる

「群雄割拠」は四文字で多くの意味や状況を含む熟語表現です。そのため、定型句や一つのフレーズで言い表すことは難しいと言えます。

たとえば、「群雄」の部分一つとっても「実力者」や「権力者」など、ポジションによって表現が変わってきます。そのため、内容にあわせた英語のセンテンスで表現することが大切です。

「群雄」の英単語例
  • 武将:a samurai load
  • 権力者:a load, an authority
  • 地元の君主:a local baron
  • 拠点を持つ:has own base
  • 張り合う:compete against
  • 争う:fight, oppose

「群雄割拠」を使った英語例文

  • The local barons are at each other’s throats over their own land.
    群雄割拠というように、地元の君主たちが土地をめぐって激しく対立している。
  • It can not be avoided for both of candidates getting into huge fight.
    選挙戦では群雄割拠は否めない。

まとめ

「群雄割拠(ぐんゆうかっきょ)」とは「英雄が拠点を築き、他の英雄と勢力を張りあうこと」という意味です。戦国時代に生まれた言葉で「権力者どうしの争い」を四字熟語として表現したのが由来とされています。

ビジネスシーンでは企業の代表同士や部署のリーダー同士、取引先のライバル同士に対して比喩的な意図をもって使える表現です。