「朱に交われば赤くなる」の意味と成り立ちは?類語も併せて紹介

社会人になると仕事を通じて先輩や上司から様々なことわざを聞くようになりますが「朱に交われば赤くなる」もおそらくその中の一つだと思います。しかし、何となく意味はわかっていても正しい使い方や成り立ちがあやふやな場合もあるでしょう。

ここでは「朱に交われば赤くなる」の意味を中心に、語源や成り立ち、類語と反対語、英語表現を、例文を含めて紹介しています。どうやら、中国の古い教えと深いつながりがありそうです。



「朱に交われば赤くなる」の意味と成り立ちとは?

さっそく「朱に交われば赤くなる」の意味と成り立ちから説明していきましょう。

意味は「人は環境や他人に支配される」

「朱に交われば赤くなる」は「人は環境や他人によって多大な影響を受ける」「人は関わる人物や置かれた環境に支配されてしまう」などの意味があることわざです。自分自身が気付いていなくても、他人の意見や主張に影響されやすく、環境や状況に染まりやすいということを表現しています。

これは状況の良し悪しに関係なく、どのようなシチュエーションでも言えることで、悪い人と関われば悪くなり、良い人と関われば良くなるという意味です。平たい意味では「良い友を選ぶことの大切さ」「最適な環境に身を置くことの重要さ」を示しているとも考えられます。

  • 良い友達を選ぼう。朱に交われば赤くなるというように。

成り立ちは「中国の古いことわざ」

「朱に交われば赤くなる」の成り立ちは、中国の傳玄「太子少傳箴」にありました。「墨に近づけば必ず黒くなり、朱に近づけば必ず赤くなる(近墨必緇、近朱必赤)」は、黒や朱は他の色を飲み込んでしまう強い色であることを人になぞえています。これらの強い色に近づいていっただけであっさり染められてしまう、つまり「人は他人や環境に支配されてしまうもの」という様子をたとえた言葉です。

とくに「朱色」は黄色がかった強い赤色であり、この色が他の色に変わることは稀であると言われています。どんな良識のある素晴らしい人でも黒や朱色には負けてしまうという意味なのです。

「朱に交われば赤くなる」と「類は友を呼ぶ」との違い

「朱に交われば赤くなる」に似たことわざに「類は友を呼ぶ」がありますが、「類は友を呼ぶ」は「気の合う人同士が自然と集まり仲間となる様子」を指しています。ニュアンス的には似ていますが、意味の違いを理解して使い方に気を付けるようにして下さい。

「朱に交われば赤くなる」の類語と反対語は?例文付き

続いて「朱に交われば赤くなる」の類語と反対語を紹介します。

類語「麻に連るる蓬」の意味と例文

「朱に交われば赤くなる」の類語にあたるのは「麻に連るる蓬(よもぎ)」「血にまじれば赤くなる」などがあります。ほかにも「人は善悪の友による」「藪の中の荊(うばら)」なども類語です。言い換えをする時は状況や文脈を確認して適切な一つを選ぶようにしましょう。

  • 厳しい営業職に転じてから精神的にかなり強くなった。血に混じれば赤くなるだ。
  • 藪の中の荊のように、交友関係が変り彼女はすっかり別人になってしまった。

四字熟語では「近墨必緇」「近朱必赤」が近い意味

「朱に交われば赤くなる」の語源である中国の古いことわざから「近墨必緇(きんぼくひっし)」「近朱必赤(きんしゅひっせき)」となります。それぞれの意味は前者が「墨に近づけば必ず黒くなる」、後者は「朱に交われば赤くなる」です。類語というよりは、同語と解釈したほうが良いかもしれません。

対義語は「泥中の蓮」

「朱に交われば赤くなる」の対義語にあたるのは「泥中の蓮(でいちゅうのはす)」です。沼や池に生息する蓮は、たとえ泥にまみれた汚れた水の中でも美しく大きな花を咲かせます。蓮は環境に左右されない強い花であることから、周囲に染まらず清く美しく生きる様子のたとえとして使われています。

  • 苦しく厳しい生活になっても、泥中の蓮のように強く清く生きていこう。

英語と中国語で表現すると?

最後に「朱に交われば赤くなる」を英語と中国語で表現してみましょう。

英語では「pitch」を使う

英語で「朱に交われば赤くなる」を表現するときは定型文「He who touches pitch will be defiled」を使いましょう。「pitch」とはコールタールを蒸留した時に残る黒い炭のような粘質物で、防水や塗装などに使われる真っ黒の物質です。直訳すると「真っ黒のタールに触れば誰でも汚れる」です。

ちなみに、英語では真っ暗闇を「pitch-black」と呼び、混じりけの無い黒を「pitch」を付けて強調します.

  • Just don’t go near that area if you believe people who touch pitch will be defiled.
    「朱に交われば赤くなる」を信じるなら、そのエリアに近づくな。

中国語では「近朱者赤」

中国語では四字熟語で紹介した「近朱者赤(jìn zhū zhě chì)」となります。中国では「近朱者赤,近墨者黑(朱に近づけば赤くなり、また墨に近づけばおなじように黒くなる)」ということわざとして現在も使われています。

まとめ

「朱に交われば赤くなる」は中国の古いことわざから成り立ったことわざで、「人は交流する人や環境によって支配される」また「良い友達を持つことは大切である」という意味を説いた言葉です。良きも悪きも「自分が接する人や身を置く環境は重要」であるというたとえでもあります。

日常生活でも「朱に交われば赤くなる」という教えをモットーとしていれば、故意に自分を悪い方向へ導く要素も減ってくることでしょう。「良い朱」に交わるように心がけて、トラブルの少ない人生を送りたいものです。

ABOUTこの記事をかいた人

某私立大経営学部卒、大手旅行会社、商社を経て、豪州へ移住。米国PCメーカーのカスタマー部に勤務後、カンガルーやエミューのいるNSW州の片田舎で生活を開始。田舎暮らしをきっかけにフリーランス(ライター・翻訳)に転身し現在に至る。趣味はゴルフ、料理、ローカルとのゴシップ、キャンプ。