「後悔先に立たず」の意味は?類似のことわざ「覆水盆に返らず」も

取り返しのつかないことをしてしまったとき、「後悔先に立たず」のことわざが浮かぶ人も多いかもしれません。しかし、座右の銘やポジティブな意味でも「後悔先に立たず」を使うことができます。

この記事では、ことわざ「後悔先に立たず」の意味と使い方を例文で解説します。あわせて、類似のことわざ「覆水盆に返らず」や反対語、英語表現についても紹介しましょう。

「後悔先に立たず」の意味

意味は「済んだことは取り返しがつかない」

「後悔先に立たず」とは「済んだことは取り返しがつかない」という意味です。この意味をふまえて、事が起こったあとに「いくら後悔してももとに戻ることはない。だから気持ちを切り替えていこう」という文脈で使われます。

また、「あとで悔やむことがないよう、事前にできることをやっておく」という戒めのニュアンスでも「後悔先に立たず」を引用することがあります。

「後悔」とはあとになって悔やむこと

「後悔先に立たず」の「後悔」とは、自分がしてしまったことについて、自分の思慮の足りなさを悔やむことという意味です。してしまったことをいくら「後悔」しても、とどまっている限り先に進むことはできません。

「後悔先に立たず」は、後悔の念に関する人生訓を含んだことわざです。

「先に立たず」はもとに戻れないことを表す

「先に立たず」は「先に立つ」の否定形です。「先に立つ」とは順序がまず第一であるという意味で、「先に立たず」と否定した場合は順序を第一に戻せないという意味になります。

「後悔先に立たず」は座右の銘になることも

「後悔先に立たず」は、起こったことを元に戻すことはできない、済んだことはもう取り返しがつかないという事実を述べています。

そのため、「もとに戻すことはできないから慎重に考えて行動しよう」「済んだことを後悔しても仕方がないから前を向こう」という前向きな意味合いで「座右の銘」に使われることも多いです。

「後悔先に立たず」の使い方と例文

「後悔しないようにきちんとする」ことを表す

あとで後悔することのないように、日頃からきちんとしておこうという意味で「後悔先に立たず」を使うことがあります。生活習慣や人生において

例文
  • 後悔先に立たずだから、子どもの教育は早いうちから始めるのがよい
  • 後悔先に立たずとならないよう受験勉強に集中しよう

「何かをする前には十分考えてから」の意味で使う

「後悔先に立たず」は「何かをする前には十分考えてから」という教訓の意味で使われることもあります。「済んだことは取り返しがつかないのだから、何かをする前には十分に考えてからすべきだ」という考えを示すために使います。

たとえば、リスクのある行動をしようとする人に、「後悔先に立たず、だから慎重に考えるように」とアドバイスをするような使い方です。

恋愛や人生において「後悔してももう遅いこと」

自分の考えが足りないことで失敗してしまったときなどに、後悔してももう遅いと自嘲するときの気持ちを「後悔先に立たず」のことわざで表現する使い方があります。恋愛の失敗などでもそんな気持ちになることがありそうです。

例文
  • 余計なことを言って彼女に嫌われてしまった。しかし後悔先に立たずでもう遅い
  • 体調管理ができず、大切な仕事に遅刻してしまった。後悔先に立たずだ

失敗から気持ちを切り替えるときの使い方

自分の落ち度から失敗してしまったとき、「どうすればよかったのか」と後悔したり悩んだりすることがあるでしょう。済んだことを後悔し続けるより、気持ちを切り替えて次に進もうというニュアンスで「後悔先に立たず」を使うことができます。

例文

くよくよしても仕方がない。後悔先に立たずなのだから、気持ちを切り替えよう。

後悔しないよう行動に移すことを後押しする

「後悔先に立たず」は、事が起こったあとに気持ちを整理するために使うことが多いですが、あることをやろうか、やめておこうかと悶々と悩むときの気持ちを吹っ切るために使うこともあります。

例文
  • 後悔先に立たずだ。やらなかったことを後悔するくらいなら、思い切ってやってみよう
  • 勇気をもって一歩を踏み出そう。「後悔先に立たず」にならないように

「後悔先に立たず」の類語や反対語

「後悔先に立たず」の類似表現は「覆水盆に返らず」

「後悔先に立たず」と意味が類似していることわざは「覆水盆に返らず(ふくすいぼんにかえらず)」です。失敗は取り返しがつかない、一度起こったことはもとに戻せないという意味です。

「覆水盆に返らず」は古代中国の故事に由来します。出て行った妻が出世した夫のもとに戻り、復縁を求めたところ、夫が盆の水をこぼして「この水をもとに戻せたら応じよう」と言ったというものです。失敗は取り返しがつかない、という意味で使われる場合の「後悔先に立たず」と同じ使い方ができます。

「後悔先に立たず」の反対語は「後の祭り」

「後の祭り(あとのまつり)」は、「時機を外して役に立たないこと」という意味のほかに、「後悔しても遅い」という意味があります。祭りの後の山車や祭事用具は用済みとなり、価値がなくなることに由来したことわざです。

「失言したことを謝罪したいが、すでに後の祭りだ」というように、時機を逸したことによって、後悔しても遅い状態になっているときに使われます。

「転ばぬ先の杖」も反対語として使えることわざ

「転ばぬ先の杖(ころばぬさきのつえ)」とは、前もって十分な準備しておけば失敗することがないという意味のたとえです。「転ばぬ先の杖」の精神が、失敗によって「後悔先に立たず」の状況に陥ることを防ぐことができるといえます。

同じ意味のことわざとして、「用心は前にあり」も使えます。

英語のことわざ「It is no use crying over spilt milk.」

「後悔先に立たず」と同じ意味を持つ英語のことわざに「It is no use crying over spilt milk.」があります。直訳すれば、「こぼれたミルクについて泣いても無駄だ」となるため、「覆水盆に返らず」のことわざに訳されることもあります。

その意味するところは、「後悔先に立たず」と同じで、終わったことをいくら悔やんでも取り消しがつかないということです。

まとめ

「後悔先に立たず」は、さまざまな場面で心情を言い表すのに便利に使われていることわざです。もう取り返しがつかないことだ、と自分を納得させるためにつぶやいたり、取り返しがつかない事になる前にしっかり対応しておこう、と自戒の意味で使ったりします。