「餅は餅屋(もちはもちや)」とは「専門家が1番であること」を意味することわざです。ビジネスシーンでも使える「餅は餅屋」の、類語を知りたい方もいるでしょう。
この記事では「餅は餅屋」の由来や使い方の例文、類語・反対語も解説します。加えて「餅は餅屋」の英語表現や、似ている四字熟語についても解説しましょう。
「餅は餅屋」の意味と由来とは?
「餅は餅屋」の意味は「専門家が1番であること」
「餅は餅屋(もちはもちや)」とは「何をするにしても、専門家に任せることが1番であること」を意味することわざです。餅は「臼(うす)」と「杵(きね)」があれば誰でも作れますが、やはり餅屋がついた餅には敵いません。
このことから「専門家に任せるのが1番」という意味で「餅は餅屋」が使われるようになりました。「餅屋は餅屋」とも表しますが、一般的には「餅は餅屋」の形で使われます。
「餅は餅屋」の由来は「いろはかるた」
「餅は餅屋」は江戸時代後期に広まったとされる「いろはかるた」に由来していると言われています。「いろはかるた」には江戸・京都・大阪の3種類があり、「餅は餅屋」は京都いろはかるたの1つとして取り上げられました。
「餅は餅屋」の使い方と例文
「餅は餅屋」は専門家に任せる状況で使う
「餅は餅屋」はその道の専門家に任せる状況で使いましょう。また、どれほど上手でもやはり専門家には敵わないという意味でも使われます。たとえば、自分では修理できなかったパソコンが、業者の手によりすぐに直ったとします。
上記のように、少しばかりの知識があってもやはり素人でしかなく、専門家に任せるのが1番だと感じる状況で「餅は餅屋」を使いましょう。
ビジネスでは専門分野のアピールに使える
ビジネスシーンでは自社の専門分野をアピールする状況で、「餅は餅屋」が使えます。たとえば「餅は餅屋と言うでしょう?車の修理は我が社にお任せください」のように使うことで、自分たちが自動車の修理に精通していることを相手にアピールできるのです。
「餅は餅屋に聞け」「餅は餅屋に任せろ」
「餅は餅屋」は「餅は餅屋に聞け」や「餅は餅屋に任せろ」のように使いましょう。「餅は餅屋に聞け」は「その道の専門家に聞きなさい」ということを意味します。また、「餅は餅屋に任せろ」は「その道の専門家に任せなさい」を意味しており、どちらも素人では手に負えない状況で使われます。
「餅は餅屋」を使った例文
- 餅は餅屋に聞けと言うから、わたしは法律の専門家である君に頼ったんだ
- 自分で対応したほうが安いだろうが、餅は餅屋に任せるべきだ
- やはり餅は餅屋。素人とは比べ物にならないほど速い作業だ
「餅は餅屋」の類語・類義語と例文
「餅は餅屋」は「蛇の道は蛇」に言い換えられる
「餅は餅屋」の言い換えに使える類語には「蛇の道は蛇(じゃのみちはへび)」が当てはまります。「蛇の道は蛇」とは「専門家であればその道についてよく知っていること」や「同類の行動は同類がよく知っていること」を意味することわざです。
「餅は餅屋」と同じ「専門家が1番知っていること」を意味しますが、「蛇の道は蛇」は「悪人は悪事に精通している」のような悪い意味でも使用されます。「蛇の道は蛇」へ言い換える場合は、相手に悪い印象を与える場合があることを覚えておきましょう。
「餅は餅屋」の類語には「海の事は漁師に問え」も
「海の事は漁師に問え(うみのことはりょうしにとえ)」も「餅は餅屋」の類語(類義語)に当てはまります。「海の事は漁師に問え」とは「専門家に相談するのが最善の策であること」を意味することわざです。
「餅は餅屋」と「海の事は漁師に問え」は「専門家に任せることが1番であること」という意味が共通しているため、言い換えてみましょう。
「餅は餅屋」と似ている四字熟語はない
「餅は餅屋」と似た意味をもつことわざは多くあるものの、似ている四字熟語はありません。「他力本願(たりきほんがん)」や「白紙委任(はくしいにん)」が四字熟語として当てはめられることもありますが、「他力本願」は「他人に頼って物事を成し遂げようとすること」を意味しており、マイナスな意味を含みます。
また、「白紙委任」は「相手に依頼をするとき、条件をつけずに全てを任せること」を意味しており「専門家に任せる」という意味とは異なります。「相手に任せること」を意味する四字熟語はあるものの、言葉に込められた意味合いや背景が異なるため、言い換えには適していません。
- 他力本願…他人に頼って物事を成し遂げようとすること
- 白紙委任…相手に依頼をするとき、条件をつけずに全てを任せること
「餅は餅屋」の類語を使った例文
- そんなことまで知っているとは、やはり蛇の道は蛇だなと感心した
- 蛇の道は蛇と言うのだから、彼に聞けば犯人の手口が分かるかもしれない
- 素人が素人に質問してどうする。海の事は漁師に問えと言うだろう
「餅は餅屋」の反対語と例文
「餅は餅屋」の反対語は「左官の垣根」
「餅は餅屋」の反対語には「左官の垣根(さかんのかきね)」が当てはまります。「左官の垣根」とは「専門外のことをやっても、上手くはいかないこと」を意味することわざです。建物の壁や床をぬる職人「左官」であっても、垣根は専門外であるため上手く作れないことから「左官の垣根」と言われるようになりました。
「餅は餅屋」が専門家に任せて上手くいく状況で使われるのとは反対に、「左官の垣根」は専門外の仕事を任せて上手くいかない状況で使われます。
「餅は餅屋」の反対語を使った例文
- 左官の垣根と言うだろう?自分でやろうとせずに修理屋を呼ぶべきだ
- 素人でもできるだろうと手を出したら見事に失敗した。左官の垣根だ
「餅は餅屋」の英語表現と例文
「餅は餅屋」は英語で「The experts know best」
「餅は餅屋」の英語表現には「The experts know best」が適しています。「The experts know best」とは「専門家が最もよく知っている」を意味する表現です。「The experts」が「専門家」を、「Know best」が「最もよく知る」を意味しており、「餅は餅屋」を直接的な表現で伝えたい状況に適しています。
ことわざでは「Every man to his trade」と表す
「餅は餅屋」は「Every man to his trade」とも表します。「Every man to his trade」とは「物事にはそれぞれ専門家がいること」を意味することわざです。それぞれが自分の専門分野に専念すべきで、わからない分野には手を出さないほうが良いことを表します。
「餅は餅屋」の英語表現を使った例文
- I found the experts know best.
専門家が最もよく知っていることが分かった
- Let’s remember, “Every man to his trade”
物事にはそれぞれ専門家がいることを覚えておきましょう
まとめ
「餅は餅屋」とは「何をするにしても、専門家に任せることが1番であること」を意味することわざです。専門家に任せたり、素人では敵わないと感じたりする状況で「餅は餅屋に任せろ」のように使われます。
類語には「蛇の道は蛇」や「海の事は漁師に問え」が当てはまります。ただし「蛇の道は蛇」には悪い意味も込められているため、言い換えるときは注意しましょう。