「瓢箪から駒」は、思いもよらないとんでもないことが起きたときに使われることわざです。中国の書物に書かれた、仙人の話が由来になっています。似た意味のことわざは「棚から牡丹餅」や「噓から出たまこと」などです。
この記事では、「瓢箪から駒」の意味や使い方を例文で解説します。類語や英語表現についても紹介しましょう。
「瓢箪から駒」の意味や由来とは?
「瓢箪から駒」の意味は「思いもよらないこと」
「瓢箪から駒」の読み方は「ひょうたんからこま」です。意味は、思いもよらないことやとんでもないことが起きること。瓢箪とは、ウリ科の植物で真ん中がくびれた形をしています。軽くて丈夫なため、昔から乾燥させて水や酒を持ち運ぶ容器として使われていました。
ここでの「駒」は「馬」のことをさしています。小さな瓢箪から大きな駒(馬)が出てくるというようすから、思いもよらないとんでもないことという意味につながっています。
「瓢箪から駒」の由来は仙人の術
「瓢箪から駒」の由来は、中国の古い書物「東遊記(とうゆうき)」の中に記載されている「張果(ちょうか)」という仙人についての話からきています。
「張果」は、白い馬に乗って数万里の距離を移動していました。休息をするときにはその馬を畳んで小さな箱の中へ入れてしまいます。そして移動を再開するときには、また箱から出して馬を元に戻すのです。
その馬を出し入れするようすから「思いもよらないこと」や「驚くようなとんでもないこと」という言葉につながっています。小さな箱は瓢箪になり馬は駒となって、現在の「瓢箪から駒」という言葉になりました。
「瓢箪から駒」の使い方と例文
思いもよらないとんでもないことが起きたときに使う
「瓢箪から駒」は、思いもよらないことやとんでもないことが実際に起きたときによく使う言葉です。
たとえば、友人に誘われて初めて宝くじを購入したら、その宝くじが高額当せんしたとき。思いもよらないことが起きたと誰でも驚くでしょう。「初めて買った宝くじが当せんするなんて、まるで瓢箪から駒のようだ」と表現することで、思いもよらないとんでもないことが起きたというニュアンスが端的に伝わります。
そんなことがあるわけないと否定する際に使う
とんでもないと驚くような話に対して、そんなことがあるわけがないと否定をするときなど、実際にはまだ何も起きていないシーンでも「瓢箪から駒」という言葉は使えます。
たとえば、初めて購入した宝くじが高額当せんしたらどうしょうとドキドキして仕事が手に付かないでいる同僚に対し、そんなことがあるわけないと思ったときです。「そんな瓢箪から駒みたいなことが起きるわけがないのだから、ちゃんと仕事してよ」と表現することで、驚くようなとんでもないことだから起きるわけがないというニュアンスが伝わります。
冗談のつもりが本当になったとき
冗談や嘘のつもりで言っていた事柄が、意図せずたまたま現実に起きたときにも「瓢箪から駒」という言葉を使うことがあります。
たとえば、宝くじをいつもよりたくさん買ったから間違いなく当たると周囲に冗談を言っていたら、本当に高額当選したときです。「冗談で金持ちになると言っていたら本当に高額当選するなんて、まるで瓢箪から駒のようだ」と表現することで、思ってもみなかったことが実際に起きたという驚きが伝わります。
「瓢箪から駒」を使った例文
- 初めて書いた小説を出版社のコンテストに応募してみたら、優秀賞をいただいた。まるで瓢箪から駒のようだ。
- そんな瓢箪から駒みたいなこと、起きるわけがないでしょう。
- 彼氏もいないのに冗談で来年結婚するって言ってた彼女、本当に結婚が決まったらしいよ。まるで瓢箪から駒だね。
「瓢箪から駒」の類語・似た意味のことわざは?
似た意味のことわざは「棚から牡丹餅」
「棚から牡丹餅(たなからぼたもち)」とは、思いがけない幸運に遭遇することです。棚の下で寝ていたら、牡丹餅が落ちてきて口に入るというようすから、大きな労力は使わずして幸運を手に入れるというニュアンスがあります。
昔は砂糖が高価なものだったため、甘いお菓子である牡丹餅も高級品でした。そのため、幸運が舞い込んできたというたとえとして牡丹餅が使われています。思いがけないことが起きるという「瓢箪から駒」に対し、「棚から牡丹餅」は思いがけない幸運が起きることを表します。
「噓から出たまこと」も類語として使える
「嘘から出たまこと」とは、嘘のつもりで発言したことが、結果的に本当になることです。嘘や冗談として言ったことを本当のことにしようと努力することで、実現させるという意味合いもあります。どちらの場合も「嘘から出たまこと」という表現が使えます。
- 明日はテストがあると冗談で言っていたら、本当に抜き打ちテストが行われて、嘘から出たまことになってしまった。
- 子どもの頃から歌手になると半分冗談で言っていたけど、嘘から出たまことで本当にデビューが決まったよ。
「嘘から出たまこと」には、最初に嘘や冗談を言うという前提がありますが、「瓢箪から駒」も冗談のつもりが本当になったときに使うことがあり、似た意味のことわざと言えます。
「灰吹きから蛇が出る」に言い換えも
「灰吹きから蛇が出る(はいふきからじゃがでる)」とは、思いもしない場所から思いもしないものが出てくるということわざです。また、ちょっとしたことが大変なことになる、というニュアンスもあります。
「灰吹き」とは、昔のタバコ盆につける竹でできた筒状のもので、吸い終わったタバコの灰や吸い殻を落とすために使われます。普段は灰や吸い殻をいれておく灰吹きから、蛇が出てくることは思いもよらないことでしょう。思いもよらないことが起きるという意味からも「瓢箪から駒」の類語と言えます。
「瓢箪から駒」の英語表現は?
「瓢箪から駒」は英語で「Mows may come to earnest」
「瓢箪から駒」の英語表現には「Mows may come to earnest」という英語のことわざがよく使われます。
「mow」は「草を刈る」という意味の単語ですが、「冗談を言う」という意味も持っています。また「earnest」は「まじめ」や「本当」という意味です。そのまま訳すと「冗談で言ったことが本当になる」というニュアンスのフレーズ。日常的に使う言い回しではなく、手紙やメールなどの文書にことわざとして用いることが多いようです。
「something unexpected has happend」という英語訳も
「瓢箪から駒」は「something unexpected has happend」というフレーズでも英語表現ができます。
「something unexpected」は「思ってもみないこと」という意味のフレーズで、「happend」は「発生する」という意味の言葉。訳すと「思ってもみないことが起きた」という意味であり、日常的にも使われている表現です。
まとめ
「瓢箪から駒(ひょうたんからこま)」は、思いもよらないことやとんでもないことが起きることという意味。中国の書物「東遊記(とうゆうき)」に載っている仙人が由来のことわざです。
思いもよらない驚くことが起きたときに「瓢箪から駒だ」と表現します。また、そんなことがあるわけがないと否定をするときや、冗談や嘘のつもりが意図せず本当になったときにも使います。