「さらす」とは「する」を卑しめた表現として使われている言葉です。漢字表記の「晒す」や「曝す」には、「日に当てて干す」「水に浸す」などの意味があります。それぞれどのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、「さらす」の5つの意味、類語や英語表現の例文も紹介します。
「さらす」の意味とは?
「さらす」の意味①「する」を卑しめた言葉
「さらす」とは、「ある状態になる」や「行う」という意味のある「する」を卑しめた言葉です。相手をけなすとき、主に関西地方でよく使われます。
「何をさらす!」や「消えさらせ」のように使い、女性よりは男性が使うことが多い表現です。
「さらす」の意味②「日光や風にあてて干す」「白くする」
「さらす(晒す/曝す)」は、「日光や風にあてて干す」や「日に当てたり漂白剤などを使ったりして白くする」などの意味があります。これらの意味は「さらす」の「日に当てる」という意味から派生しています。
「さらす」の意味③「水に浸す」
「さらす(晒す/曝す)」には「灰汁(あく)や臭みを抜くために水に浸す」という意味もあります。太陽の代わりに水を使い、ものを水につけることを指します。
「さらす」の意味④「広く人目につくようになること」
「さらす(晒す/曝す)」には「広く人目につくようになること」という意味もあります。この意味は、主に、恥や醜態など、人目に見られては不都合なことと結びついて使われます。
「さらす」の意味⑤「難しい事態に身が置かれる」
「さらす(晒す/曝す)」には「避けては通れない大変なことや難しい事態に身が置かれる」という意味もあります。危険や脅威など、大変だと思われる状態になることを指しています。
「晒す」と「曝す」の違いと使い分け方
「晒す」と「曝す」に厳密な違いはない
「晒す」と「曝す」の漢字の意味の違いから使い分けられることがありますが、厳密にはこの二つの漢字が使い分けるためのルールはありません。つまり、「日に当てて乾かす」という意味で「晒す」という漢字も使えます。
どちらの漢字を使うのか迷った場合は、ひらがなで「さらす」と表記してもいいでしょう。どちらの漢字も常用漢字ではないことから、ひらがなの「さらす」も読み手にとって親切な表記と言えます。
「晒す」と「曝す」の一般的な使い分け方
「晒す」には「日に当てる」という意味があり、そこから派生して「白くする」という意味が生まれました。そのほか「水に浸す(水に浸してあくを抜く)」という意味でも使われます。
一方、「曝」の「日に当てて乾かす」という意味から「風雨にさらす」という意味が生まれました。「恥や人目に見られては不都合なことが世間の目に触れる」の意味でも使われています。
「さらす」の使い方と例文
「水にさらす」は料理の「あく抜き」で使われる
「水にさらす」とは料理で野菜を水に浸して、灰汁(あく)や匂い、辛みなど取るときに使われる表現です。
水にさらすことで灰汁が抜ける野菜には、切ったナスや茹でたホウレンソウなどあります。また、匂いや辛みが抜ける野菜には切った玉ねぎなどがあります。
- ナスを切ったら水にさらす
- ゴボウはあく抜きをするために水にさらす
「姿をさらす」は「存在を表す」という意味
「姿をさらす」は「その人の存在を表す」という意味で、人の容姿や格好が世間で見られるようになることです。ある人の姿が、不特定多数の多くの人に見られている状態のときに使われます。
- 恥をさらすような真似はするな
- 醜態をさらす結果になり、申し訳なかった
- 遺跡の発掘調査で、彫像品の姿がさらされた
「身をさらす」とは「危険などに立ち向かうこと」
「身をさらす」とは「危険などに立ち向かうこと」という意味の言い回しです。「さらす」の「難しい事態に身を置く」という意味を言い換えた表現で、「身をさらす」とは「難しい状態に身を置き立ち向かっていること」を表しています。
- 身をさらして、走ってくる車から子供を助けた
- 危険に身をさらしながら、戦禍をくぐり抜けてきた
「さらす」はネット用語で「情報の無断開示すること」
「さらす」はインターネット用語で、「ネット上で個人情報などが無断で開示されること」という意味で使われています。対象者を攻撃する目的で行われる行為です。
- ネットに個人情報がさらされて大迷惑だ
- 昔の写真をネットにさらすなんてできない
「さらされる」は危険な目にあうかもしれないとき
「さらす(晒す)」を受け身にした「さらされる(晒される)」は、「危険な目にあうかもしれない」という意味合いが含まれた表現です。本人にとって好ましくない状況で使われることが多いでしょう。
温暖化の影響で、小さな島が沈没の危機にさらされている
「さらす」の類語や言い換え表現
「さらす」の類語は「する」「行う」
「する」は「動作や行為などを行う」という意味で、一方、「行う」は「する」を改めた表現になります。「する」と「行う」のどちらも「さらす」より丁寧な表現になります。
「する」と「行う」の違いは、「仕事をする」という一文では、単に仕事を行うという意味ですが、「仕事を行う」では「する」という行為をきちんと伝えられる表現になります。
「晒す」「曝す」の類語は「乾かす」「注目する」「暴露する」
「さらす」を漢字表記した「晒す」「曝す」には、複数の類語があります。
まず、「乾かす」は「日光に当てて干すこと」を意味していて、「晒す」よりも水分を取り除くことに重点が置かれた言葉です。「漂泊する」は「日光に当てたり漂白剤を使ったりして白くする」という意味で使われます。
「注目する」は「注意して見ること」という意味で、「晒す」よりも「見ること」に重点が置かれた類語です。「暴露する」には「風雨にさらすこと」という意味もありますが、「秘密などを明るみにする」という意味もあり、ネット上で使われる「晒す」の類語になります。
「さらす」の英語表現
「さらす」の英語訳には「do」を使う
「さらす」は卑しめた言葉ですがその意味は「する」なので、英語で「do」です。例えば、“What are you doing?”は「何をしていますか」のように丁寧に訳すこともできれば、「何をさらす」と訳すこともできます。
「晒す」「曝す」の英語訳は「expose」「bleach」など
「晒す」や「曝す」は、意味合いによってさまざまな英語表現が使えます。
- 風(日)にさらす: expose to the wind(the sun)
- 白くする/漂泊する:bleach
- 恥をさらす:to be shamed/disgrace oneself in public
- 危険に身をさらす:put oneself in danger
- The laundry is exposed to the wind.
「洗濯物が風邪に晒される」 - He lost the game and was ashamed.
「彼は試合に負けて恥を曝した」
まとめ
「さらす」とは「する」という意味の卑しい言葉で、主に関西地方で使われています。また、「晒す」や「曝す」と書き「さらす」は、「日に当てて干す」や「人目につくようになること」「難しい事態に身が置かれる」などのさまざまな意味があります。