「依拠」の意味と使い方!類語との違いや著作権についても解説

話し言葉では使うことの少ない「依拠」という言葉。難しい文章を読むと出てくることが多いですが、意味をご存知でしょうか。「依拠」は著作権でも重要なキーワードです。文章を読むためだけでなく、書くためにも知っておいて損はない言葉です。今回は依拠の意味や類語との違い、著作権での使い方まで紹介します。

依拠の意味と読み方は?

依拠とは「あるものに基づくこと」

依拠とは「あるものに基づくこと」や「よりどころとすること」という意味です。「頼りにする」という意味の「依」と、「足場とする」という意味の「拠」を合わせた言葉です。

依拠の読み方は「いきょ」

依拠の読み方は「いきょ」です。話し言葉よりは、書き言葉として多く使われます。物語の中で使われるなど特殊な場面では「よりどころ」と読むこともあります。

依拠の例文と使い方

「依拠」は動詞で使うことが多い

「依拠」は名詞でもありますが、「依拠する」という動詞として使われることが多いです。「する」の部分を活用して使っている例文を3つ紹介します。

・この法律は、昔の事例に依拠して作られました。
昔の事例を基にして法律を作ったことを伝えている例文です。

・どの法則に依拠するべきか迷っている。
たくさんの法則があるなかで、どれを基にしようか迷っている状況を表しています。

・私の作品は他人の作品に依拠しないで作った。
私の作品を作るときに、他人の作品を基にして作っていないことを伝えています。

著作権では「依拠性」と使う

「依拠」に性質を表す「性」がついた表現で、主に著作権の法律用語として使われています。例文を2つ紹介します。

・著作権が侵害されたとするためには依拠性が必要だ。
著作権が侵害されたと認めてもらうためには、基にして作られたとわかる性質が必要ということです。

・この作品には依拠性が認められないため、著作権を侵害しているとは言えない。
基にして作られたとわかる性質がない作品だったので、著作権を侵害していると言えないことを表しています。

「依拠」の類語は?

依拠の類語①「準拠」

準拠は依拠の類語で、依拠と同じく「よりどころとすること」を意味します。依拠と準拠の違いは、依拠よりも準拠の方が、よりどころとしたものに従っていることです。

例えば「前例に依拠した法律」は、前例を参考にして作った法律を表しますが、「前例に準拠した法律」であれば前例のやり方などに従って作った法律になります。準拠の方が前例に忠実とも言えます。

依拠の類語②「依存」

依存は依拠の類語です。依存は、頼っていることや寄りかかることを意味しており、頼っているものや寄りかかっているものがなくなると成り立たなくなる状況を表しています。

例えば「仕事をスマートフォンに依存している」というのは、スマートフォンがないと仕事が成り立たなくなる状況です。「前例に依拠した法律」は前例がなくなっても成り立ちます。

著作権の用語である依拠性とは?

著作権用語の依拠性とは「基づいて真似をしたか」

著作権侵害は、依拠性がないと認められないと解釈されています。例えば、自分の絵を真似されたので、著作権を侵害されたと裁判で訴えたとします。たまたま似ていただけでは著作権の侵害にならず、あなたの絵を見て利用して描いている必要があります。

依拠性があるかは総合的に判断

依拠性があるかを裁判で判断するときには、総合的に判断します。例えば、相手がたまたま似ているだけで真似をしていないと言っていたとしても、1mmのずれもない全く同じ絵であれば、基づいて真似をしたと考える方が妥当です。

逆に、少し似ているけれど、自分の絵が誰にも見られない環境にあった場合には真似をすることができません。さまざまな事情を考慮して判断をします。

依拠を英語表現・英語例文

依拠は英語で「dependence」

名詞の依拠を直訳すると「dependence」となります。「dependence」には、依拠の類語である依存という意味もあります。

「依拠する」という動詞として使う場合は、基づくという意味を変換し、「基礎とする」を意味する「base」や「信頼する」を意味する「rely」を利用するとよいでしょう。

「依拠する」の英語例文

・法律に依拠して作る。
「Make it based on law.」

・判例に依拠して作られました。
「It was made on the basis of judicial precedents.」

・私達はこれを基準として依拠します。
「We rely on this as a standard.」

まとめ

「依拠」は法律などの専門的な文章に使われることが多い単語です。日常でよく利用される言葉ではないので、しっかりと意味を把握していない方も多いかもしれません。しかし、社会人になれば法律と関わる機会も出てきます。文章を書くときの著作権もその1つです。今後「依拠」という言葉を目にする機会があるかもしれませんので、早目に覚えておきましょう。