「ありがとう存じます」はお嬢様言葉?意味や使い方と類語も紹介

「ありがとう存じます」は、感謝を伝える謙譲語です。しかし「アニメのお嬢様キャラが使う言葉」や「ありがとうございますの誤用」のように、違和感を持つ人もいるようです。「ありがとう存じます」は誤用なのでしょうか。意味や使い方とあわせて、言い換えに使える類語も紹介します。

「ありがとう存じます」の意味

「ありがとう存じます」の意味は「ありがたく思う」

「ありがとう存じます」の意味は「ありがたく思う」です。感謝を表す「ありがとう」に、「思う」の謙譲語「存じます」を続けた言葉になります。謙譲語とは、自分がへりくだって相手を敬う敬語です。

「ありがとうございます」の誤用ではない

「ありがとう存じます」は「ありがとうございます」の誤用ではありません。誤用だと思われやすい理由の一つとして、「聞きなれないこと」が挙げられます。

「ありがとう」の丁寧な表現は「ありがとうございます」が一般的です。「ありがとう存じます」を使う場面はあまりないため、違和感を感じ誤用と判断する人は多いでしょう。日本語としては正しいため、使っている人に指摘しないよう気をつけましょう。

「ありがとう存じます」とお嬢様言葉の関係

「お嬢様言葉」とは東京の方言から生まれた言葉

「お嬢様言葉」とは、簡単に言うと「お嬢様が使う、丁寧で相手を敬う言葉遣い」です。東京の方言である「山の手言葉」から生まれました。「山の手言葉」は、江戸の上級武士の使っていた言葉に由来する敬語表現が多い方言で、標準語の母体にもなっています。

元が方言とは言え、お嬢様言葉が方言として扱われることはあまりありません。特に、アニメやドラマなどのフィクション作品では、地域に関わらず使用されています。

「ありがとう存じます」はお嬢様言葉とされやすい

「ありがとう存じます」は上品な印象もあって、お嬢様言葉とされることが多い言葉です。謙譲語である「ありがとう存じます」は、お嬢様言葉の条件に当てはまります。

ただし、「ありがとう存じます」に性別や生まれを限定する意味はないため、「お嬢様のように上品な女性」が使う言葉だと言えるでしょう。

「ありがとう存じます」の使い方

「ありがとう存じます」で目上への感謝を伝える

「ありがとう存じます」は、感謝を伝えるお礼の言葉として使用します。「存じます」が謙譲語のため、目上の人に使用しましょう。同僚や後輩に使うと、誤用やジョークだと受け取れることが考えられます。

また、目上の人であっても距離感が近い人に使うのは不向きな言葉です。親しい上司や学校の先生などに「ありがとう存じます」を使うと、仰々しいと思われるかもしれません。

「ありがとう存じます」はメールや手紙のほうが適している

文法上は口頭で使って問題ないのですが、「ありがとう存じます」は書き言葉として使用するほうが向いている言葉です。丁寧でかしこまった言葉のため、メールや手紙で使ったほうが馴染むと考えられています。

「ありがとう存じました」は過去の出来事への感謝

過去の出来事に対して感謝する場合は「ありがとう存じました」になります。たとえば、「熱心なご指導、ありがとう存じました」のように、後半の「存じます」を過去形にして使います。

「ありがとう存じます」はビジネスでは違和感も

「ありがとう存じます」は「ありがとうございます」より丁寧なため、ビジネスシーンに向いていると思う人がいるかもしれません。しかし、相手が誤用だと感じる可能性もあるため、ビジネスで「ありがとう存じます」は避けたほうが無難だと言えるでしょう。

「ありがとう存じます」の類語

「ありがとう存じます」の類語は「ありがたく存じます」

「ありがとう存じます」の類語は「ありがたく存じます」です。意味は同じですが、「『ありがたく存じます』は誤用だと思われにくい」という違いがあります。かしこまった敬語のため多用はできませんが、ビジネスでも使用しやすい言葉です。

「ありがとう」と「ありがたく」は、どちらも「ありがたし」を語形変化させたもので、意味に違いはありません。語形変化とは、文法機能や他の言葉とのつながりで、言葉の形が変化することを意味します。

「ありがたく存じ上げます」はより丁寧な表現

「ありがとう存じます」よりも丁寧な類語は「ありがたく存じ上げます」です。「ありがとう存じます」と同じく、ビジネスシーンには向いていません。

ただし、理由に違いがあります。「ありがたく存じ上げます」をあまり使わないのは、他の言葉との混同を避けるためです。ビジネスシーンでは「知っています」の謙譲語として「存じ上げます」をよく使うため、混同してしまうと考えられます。

「ありがとうございます」は使いやすい類語

「ありがとう存じます」の無難な言い換えは「ありがとうございます」です。誤用だと思われることもなく、口頭でも文章でも違和感なく使用できます。もっと丁寧にしたいという場合には「誠にありがとうございます」や「ありがたく存じます」が良いでしょう。

「ありがとう」以外の言葉を使った敬語表現に言い換える方法もあります。「感謝いたします」や「御礼申し上げます」でも、目上の人に感謝を伝えられます。

まとめ

「ありがとう存じます」は、文法上は正しい日本語です。しかし、誤用だと思われやすいため、使いどころを見極める必要があります。不安な場合は「ありがとうございます」などに言い換えましょう。