「エビデンス」とは「証拠」という意味のカタカナ語ですが、「根拠」や「確証」などにも置き換えられます。では、「エビデンス」とはどのように使い、どのようなシーンで用いられているのでしょうか。
この記事では、「エビデンス」の意味と一般的な使い方のほかに、業界別の「エビデンス」の使い方なども解説します。
「エビデンス」の意味と語源とは?
エビデンスとは簡単に言うと「証拠」
エビデンスとは、わかりやすく言うと「証拠」という意味です。「証拠」から派生して「根拠」や「証明」「確証」の意味もあり、文脈によって使い分けられます。
「証拠」とは、「あることが在るための理由にもとづいて、事実や真実を明らかにすること」です。「事実や真実を明らかにされる過程で使われる材料や証し」とも言い換えることができるでしょう。
裁判では、裁判で取り上げられる案件について、事実が本当であるかどうかや、正しいかどうかを確かめるために使われる資料のことを「証拠」と言います。
「エビデンス」の語源は英語「evidence」
「エビデンス」は英単語の「evidence」という言葉が語源です。「エビデンス」は「evidence」と同じ意味で使われていて、「evidence」にも「証拠」や「根拠」「証明」「確証」などの意味があります。あることを明らかにすること、またはその材料を指して用いられる言葉です。
「evidence」を英文で使うときの注意として、「evidence」は不加算名詞なので、証拠が複数ある時でもevidenceには語尾に「s」をつけるような複数形がないことに注意しましょう。
「エビデンス」の使い方と注意点とは?
「エビデンス」は物事を推し進めたい時に使われる
推進したい事業計画などが立てられるとき、個人の意見が発端となり始まることがありますが、個人の発案だけではその計画を推し進めるときに弱いと思われるときに、「エビデンス」という言葉がよく使われます。「エビデンス」はその計画に確証性を得るための客観的な事実や証拠などを指しています。
- この案件の検討理由として、エビデンスを提出してください
- 前回の市場調査で好感度は58%というエビデンスが出ているので、商品の改良が必要と思われる
「エビデンス」の表現は「うざい」と思われることも
「エビデンス」をビジネスなどで使うと、「うざい」と思われることがあります。エビデンスの意味である「証拠」や「確証」いう言葉は充分一般的な言葉なのだから、わざわざカタカナ語である「エビデンス」を使う必要はないと思われるからです。
必要とされないカタカナ語を使うよりも日本語を使った方がコミュニケーションがうまくいくことがありますから、「エビデンス」を使う場合は、周囲の反応を見ながら使う用意したほうがいいでしょう。
「エビデンス」の各業界での使い方とは?
【看護・医療】エビデンスがあるとは「科学的根拠がある」
看護の現場で医療用語として使われる「エビデンス」とは、「科学的根拠」という意味です。実験や研究の結果のことを指しています。科学的根拠があることを「エビデンスがある」と表現することもあります。
ただし、「エビデンス」にも信頼性のレベルがあり、それを「エビデンスレベル」と言います。たとえば「エビデンスレベルが高い」とは、科学的根拠の信頼性が高いという意味です。エビデンスレベルの高い薬剤や治療法は、エビデンスレベルが低い薬剤よりも効果的だと考えられます。
【ビジネス】エビデンスを取るとは「契約を取ること」
ビジネスシーンで「エビデンスを取る」という言い回しが使われることがありますが、その意味は「契約すること」です。「契約書を交わして、契約を取ること」を指しています。
「エビデンスを取ってくるように」と上司から言われたら、それは「契約書を交わしてくるように」という意味になります。
【IT】プログラムの動作におけるデータという意味
IT業界での「エビデンス」とは、「プログラムなどの動作が正しく動いていることを示すデータ、または不具合が生じたときのデータ」という意味で使われています。主にソフトウェアなどのプログラム開発の分野でよく使われる言葉です。
ソフトがうまく動かない。エビデンスを取ってほしい
【金融・不動産】身分証明書や所得を証明する書類
金融や不動産業界では、「エビデンス」は「証明書類」という意味で使われています。
たとえば、金融関係では「エビデンス」は身分証明書を意味し、運転免許証や健康保険証などを指していることがあります。また、不動産契約で「エビデンス」とは金融資産や確定申告書等の所得を証明する書類を指していることもあります。
どのような「エビデンス」を求められているのかは契約内容で変わりますので、必ずどのような書類を求められているのかを確認しましょう。
「エビデンス」の類語と違いとは?
「ソース」とは「源」を意味する類語
「ソース」とは英語の「source」が語源のカタカナ語で、「源」や「出どころ」という意味です。
「エビデンス」が「根拠」という意味合いで使われるときの類語になります。しかし、「ソース」の主な意味が「源」であり、「エビデンス」は「証拠」という意味合いで使われることが多いという違いがあるほか、「ソース」は「情報源」という意味合いで使われることも多いという点でも違います。
この噂のソースを教えてください
「プル―フ」とは「証拠」や「証明」
「プル―フ」とは英語の「proof」が語源のカタカナ語で、「証拠」や「証明」という意味です。
「エビデンス」の同義語の「プルーフ」ですが、その違いは、「エビデンス」は「なにごとかを証明するために使われるものや資料」を指しているのに対して、「プルーフ」は「決定的な証拠」という意味で使われます。
「プルーフ」は証拠として確実なもので、プルーフによって証明されるものごとは揺るがないという状況で使われます。
プルーフがある以上、彼が犯人であることは確実だ
まとめ
「エビデンス」とは「証拠」という意味で、他にも「根拠」や「証明」などの日本語に置き換えられます。さまざまな置き換え表現があるのですが、「エビデンス」とは「あることを明らかにするためのこと」という意味だと理解しておけば、文脈に応じた表現に置き換えれられるでしょう。
「容疑者はいくつかの決定的な証拠を残した」
「弁護士はその少年が罪を犯していない証拠を提示した」