「ご報告いたします」と業務の進捗を知らせることは多いものですが、「ご報告させていただく」「ご報告まで」と形を変えて使う場合には目上への配慮が必要な場合があります。「ご報告」の意味、敬語の種類、その使い方を例文で解説します。また特に気をつけたい「ご報告まで」や類語、英語訳も併せて紹介しましょう。
「ご報告」の意味とは
「ご報告」の意味は「知らせること」
「ご報告」の「報告」とは「知らせること」を意味します。特に、すでに終了した事柄の結果を知らせること、また任務や業務の経過を知らせることを指す表現です。
「ご報告」の「ご」は丁寧語の意味
「ご報告」は「報告」に接頭辞「ご」をつけた表現です。この場合の「ご」には丁寧に言い表す意味が込められています。報告する相手に対して敬意を示す意味で、丁寧に表現したい場合に「ご報告」と使います。
「ご報告」は謙譲語や尊敬語として使える
「ご報告」の「ご」は丁寧の意味を持ちますが、謙譲語「いたす」とともに「ご報告いたします」のフレーズで、謙譲表現として使うことも可能です。
また、相手の報告に対して「ご報告ありがとうございます」と使うと、尊敬語としてのニュアンスにとることができます。後に続く表現を変えることで、自分の行為にも目上の行為にも使うことが可能です。
「ご報告」の使い方と例文
「ご報告します」「ご報告いたします」
「ご報告」の最たる使用例が「ご報告いたします」です。自分が報告する場合の表現で、たとえば「この度、結婚の運びとなりましたことをご報告いたします」などと使うことができます。
「○○についてご報告します」と使用することもありますが、「ご報告”します”」よりも「ご報告”いたします”」の方が丁寧です。
「ご報告申し上げます」はより丁寧な印象に
より丁寧な表現では、「ご報告申し上げます」が挙げられます。「言う」の謙譲語「申し上げる」と使った言い回しで、「ご報告いたします」同様に、謙譲表現として使うことができます。
「ご報告させていただきます」と使うことも
「ご報告させていただきます」とは、報告する際の冒頭でよく使われる表現です。会議での報告や報告メールで目にすることが多いでしょう。
「させていただく」は、事前に相手の許可を得て何かを行う場面で用いるのが正しい使い方です。「ご報告させていただきます」は、許可と報告が同時になっているため厳密には正しくありませんが、一般的に使われているため失礼に当たることはないでしょう。
- 先月の実績についてご報告させていただきます
- A社の件については山田よりご報告させていただきます
「ご報告ありがとうございます」と相手に返す
自分が報告するのではなく、相手から報告を受けた場合にはまず「ご報告ありがとうございます」と返すのが通例です。「ご報告いただきありがとうございます」の言い回しで感謝を伝えることもあります。部下など目下からの報告には「ご報告ありがとう」のフレーズでもよく用いられます。
進捗の件、ご報告いただきありがとうございました。
「ご報告いただく」は依頼する際にも使う
「ご報告いただく」の表現は、相手に報告をお願いする際にも使用できます。たとえば「ご報告いただきますようお願いいたします」とは相手に依頼する際の表現です。
また、取引先からの報告予定を上司に伝える場合は「○○様には週明けにご報告いただく予定です」のように使います。
「ご報告」のメールでの使い方と注意点
メールの件名に「ご報告」と記載する
ビジネスにおけるメールでは、その件名で用件が判断できるようにするのがひとつのマナーです。そのため、「○○についてご報告させていただきます」とメールの冒頭で切り出すだけでなく、メールの件名に「ご報告」と記載することも多いでしょう。
件名:**に関するご報告
本文:○○部長
お疲れ様です。
先日の**についてご報告いたします。
(以下、報告内容)
上司や目上の人に「ご報告まで」を使うのは失礼
「ご報告まで」は主にメールの締めの言葉として用いられます。「ご報告まで」とは「ご報告とさせていただきます」を省略した表現です。「取り急ぎご報告まで」として、急ぎで伝えたい事柄を第一報としてメールで送る例がよく見受けられます。
ただし、この「ご報告まで」は先述のように文章の一部を省略した表現であるため、目上の人には不適切です。取り急ぎの報告であっても、ビジネスシーンでの使用は避けたい表現です。
メールの締めに使える「ご報告」の表現
「ご報告まで」を使わずに、「急ぎでとりあえず報告します」というユアンスを出したい場合には、「取り急ぎのご報告にて失礼いたします」という表現が使用できます。
また、「ひとまずの報告とし、詳細は後で…」というニュアンスでは「まずはご報告申し上げます」のフレーズを使ってもよいでしょう。加えて「詳細は追って連絡します」と続けることも多いです。
- まずは取り急ぎのご報告とさせていただき、詳細は追ってご連絡いたします。
- まずは結果のみのご報告にて失礼いたします。詳細につきましては、恐れ入りますが今しばらくお待ちください。
「ご報告」の類語や言い換えとは
「ご連絡」は必要な情報を知らせること
「ご報告」の類語には「ご連絡」が挙げられます。「連絡」とは「情報を知らせること」という意味で、この「連絡」に接頭辞「ご」をつけたのが「ご連絡」です。
「ご報告」と「ご連絡」はどちらも似た意味の表現ですが、厳密に言うと伝える内容に違いがあります。「連絡」はその時々で発生した事柄や情報を伝える、というニュアンスがですが、「報告」は自分が置かれた状況や進捗具合、結果などを知らせる場合に使用されます。
「連絡」があらゆる情報に使われるのに対し、「報告」は依頼されたことや命令されたことに対して使うのが特徴です。
「お知らせします」に言い換えられる場合も
「ご報告」は「お知らせします」に言い換えられる場合もあります。たとえば「この度、結婚の運びとなりましたことをご報告いたします」は結婚する本人が使うフレーズですが、第三者が報告する場合は「総務部○○さんがご結婚されましたことをお知らせします」と言い換えることができます。
相手や敬語の有無によっても変わりますが、業務に関する報告では「A社の件についてご報告します」を「A社の件について共有します」といった言い換えも可能です。
「ご報告」の英語訳
「ご報告」の英語訳は「report」「inform」
「ご報告」を英語で表現する場合には「report」や「inform」などの単語を使用します。
また、「ご報告ありがとうございます」は「Thank you for the progress report.」と英訳できます。よりフランクな言い回しで「Thanks for letting me know.(ご報告ありがとう=知らせてくれてありがとう)」とすることも可能です。
「ご報告」の英語例文
- I’d like to report on the new project.
新しいプロジェクトについてご報告いたします - Let me inform you of the ongoing project.
プロジェクトの進捗についてご報告させてください
まとめ
「ご報告」は「知らせること」を意味する「報告」に丁寧の接頭辞「ご」をつけた言葉です。主に、業務の進捗や結果について知らせる際に用いられ、自分が報告する際は「ご報告いたします」、相手からの報告を受けた場合には「ご報告ありがとうございます」などと表現します。目上の人へのメールで「ご報告まで」と締めるのは失礼になるため気をつけましょう。
プロジェクトの進捗状況についてご報告申し上げます。