マイナンバーの提出は拒否できる?罰則はある?会社側の対応も解説

マイナンバー制度が始まったことで会社からマイナンバーを求められるようになりました。しかし、個人情報はなるべく提供したくないという声は多く、できればマイナンバーの提出は拒否したいという方もいるようです。

そこで、今回は「マイナンバーの提出は拒否できるのか」「デメリットはあるのか」、また企業側として「マイナンバー提出を拒否された場合どのように対応すべきか」についてまとめました。

会社にマイナンバーの提出を拒否することはできる?

会社からすると従業員にマイナンバーを提出してもらうことによって大きなメリットがあります。しかし、従業員にとっては会社にマイナンバーを提出するメリットは感じないと思う方もいることでしょう。

ここでは、マイナンバーの提出を拒否できるのか否かや拒否することによってどのようなデメリットがあるのかについて説明します。

マイナンバーの提出を拒否しても罰則はない

マイナンバーの提出を拒否しても何か罰則があるわけではありません。従業員は会社にマイナンバーを提出する義務がありますが、強制ではありません。ただ会社の保険や年金などを担当している方の仕事が煩雑になり、面倒になるだけです。

そのため、会社からしつこくマイナンバーを提出するよう言われる可能性はあります。

提出を拒否することによるデメリット・不利益

先述のとおり、マイナンバーの提出は強制ではなく、もし提出を拒否しても会社の負担がただ大きくなるだけなのですが、拒否することによるデメリットはあります。

会社から面倒だと思われる可能性がある

マイナンバーの提出を拒否している理由にもよるとは思いますが、従業員側にもマイナンバーを提出する義務はありますので、会社の負担を考えても提出するのが一般的です。それを頑なに拒否するのは例外的なことであり、会社側からみると面倒な存在と思われても仕方がないのかもかもしれません。

健康保険に加入できない場合がある

会社にマイナンバーを提出しないと会社の健康保険に加入する手続きを取ることができません。

マイナンバー提出を拒否したい理由

個人情報の流出懸念

マイナンバーが流出すると名前や住所などの他に所得や税金の情報が流出することになります。この先、もしマイナンバーと預金口座や健康保険証との紐づけがなされることになったら借金や健康状態といった非常にセンシティブな情報が流出するということになりますので、差別の対象になったり、詐欺の対象になるなどの可能性も否めません。

マイナンバーはなぜ提出する?

マイナンバー制度はどのような目的で作られ、どのようなことに使われるのかを理解しましょう。

マイナンバー制度の目的

マイナンバーとは、国民一人一人に割り当てられた番号のことです。このマイナンバーによって個人の納税や所得といった情報を一元管理することが可能になりました。

所得状況を把握することで税金や社会保障の不正を阻止できたり、社会保障などの申請時に必要書類の簡略化が可能になったということです。

マイナンバーは雇用保険や年金などの手続きを簡単にしてくれる

会社に勤めている場合、「社会保険」「雇用保険」「年末調整」「年金」といった手続きは従業員の代わりに会社が行っていますが、マイナンバーを会社に提出することで手続きが簡単になり、会社側の負担が大幅に減ることになるのです。

そのため、会社は従業員に対してマイナンバーを提出するよう求めてきます。

会社側がマイナンバーに関して負う義務とは?

マイナンバーはその重要性から取り扱いも十分に注意が必要です。そのため、マイナンバーを収集する側である会社にはマイナンバーに関して負うべき義務があるのです。

会社が負う4つの義務

1.説明責任
マイナンバーはどのような目的で利用するのかやどのような管理を行うのなどについて会社は従業員に説明する義務があります。

2.本人確認
マイナンバーとマイナンバーを提出した人が一致しているかを厳重に確認することで情報の漏えいや悪用を防ぎます。

3.安全管理措置
従業員のマイナンバーを預かっている会社は厳重な管理を行い、情報漏えいや毀損などを防止する義務があります。

4.監督責任
業務の都合でマイナンバーの情報を業務委託先に渡すことがあった場合、安全管理を監督する義務があります。

不正利用は刑事罰の対象となる

マイナンバー制度が始まるにあたり「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)」が制定されました。マイナンバーを不正利用した場合、マイナンバー法に基づき刑事罰に処される可能性があります。

マイナンバーを不正利用した場合、一番重い刑事罰は「4年以下の懲役または200万円以下の罰金もしくはその両方」となります。

マイナンバー提出を拒否された際の会社の対応

従業員にマイナンバーの提出を拒否されたとき、会社側が従業員に対してとれる対応があります。

手続き代行の拒否を宣言することができる

給付金に関する申請(傷病手当金申請・出産育児一時金申請・高額療養費支給申請など)や雇用保険に関する申請(育児休業給付金申請・介護休業給付金など)の手続きを会社は拒否することが認められています。

マイナンバー提供拒否確認書を提出してもらう

会社は行政に提出する書面に従業員のマイナンバーを記載する義務がありますので、どうしても従業員にマイナンバーを提出してもらえない場合には従業員から「マイナンバー提供拒否確認書」にサインをもらい、行政に提出します。

この「マイナンバー提供拒否確認書」と従業員へ周知した文書を行政に送付することで、会社としてはやるべきことはやりましたという証明になるのです。

まとめ

マイナンバーはとても大切な個人情報なので、情報が流出するリスクはなるべく負いたくはありません。

しかし、あまり警戒し過ぎるのは会社との信頼関係を壊すことにもなりかねないので、正当な理由がなければ利用目的や管理方法の説明をしっかり確認した上で、マイナンバーを提出するのも1つの方法であるといえるでしょう。