「寸志」の意味と使い方とは?別の言い方やお礼メールの例文も紹介

「寸志」とは「わずかばかりの気持ち」という意味の言葉ですが、気持ちとして贈る品物や金銭を指して使われています。では、「寸志」を渡すときのマナーはどうなっているのでしょうか。

この記事では、「寸志」の意味や、「寸志」を使うシーンと渡し方マナーを解説。また、お礼のマナーやお礼メールの書き方も紹介します。

「寸志」の意味とは?

寸志とは「わずかばかりの気持ち」を意味する

「寸志」とは「わずかばかりの気持ち、心ばかりの気持ち」という意味で、読み方は「すんし」です。「寸」は「少ないこと」、「志」は「こうしようと思う気持ち」を表します。

志すという気持ちを抑えているという意味から成り立ち、へりくだった表現だと解釈されます。

寸志とは「心ばかりの贈り物」という意味も

「寸志」とは「心ばかりの贈り物」という意味もあります。たとえば「お祝いの席に呼ばれたので、寸志を準備した」のように、「心ばかりの気持ち」を形にした贈り物という意味合いです。

「寸志」には「相手を気遣って使われた言葉や行為」という意味もありますが、この意味は現代ではあまり使われません。

「寸志」の使い方とは?

「寸志」は目上から目下の人に使う言葉

「寸志」は、心付けとして目上の人から目下の人に使う言葉です。目下の人に過度なプレッシャーを与えないように気遣い、謙遜して使われます。

目上の人にお礼として渡すものは「寸志」とは言わないため、「御礼」「ご挨拶」などの表現を使いましょう。目下の人が目上の人に対して「寸志」を使えば、失礼に当たります。

「寸志」は仏事や結婚式でのお礼にも

「寸志」は、結婚式や仏事でも使われます。主催者側が手伝ってくれた人や遠方から来てくれた人へのお礼として、「寸志」を渡す場合です。

ただし、「寸志」という言葉を使うと尊大な印象を与えることもあるため、「御礼」という言葉を使うこともあります。

「寸志」の書き方とは?

のし袋や白封筒の表書きに「寸志」を使う

「寸志」を金銭で渡す場合、のし袋の種類は「花結び」または「赤棒」を使うのが一般的です。表書きとして袋の中央に「寸志」と書き入れます。

また「寸志」という文字は、ボールペンや万年筆ではなく筆ペンを使って書くのが礼儀です。社名や自分の名前を書き入れる場合は「寸志」の下方に記します。右から社名、氏名の順で書きましょう。

のし袋が手に入らない場合やビジネスシーンでは、白封筒を使う場合もあります。

のし紙に「寸志」と書く場合も

「寸志」として品物を渡すときは「のし紙」をつけます。「寸志」の書き方は、のし袋の場合と同じで表書きとして「寸志」、下方に自分の名前を記しましょう。

「寸志」へのお礼やメール例文

「寸志」のお礼は直接会ったときに伝える

「寸志」は、相手から直接いただく場合と送られてくる場合があります。その場で感謝を伝えられる場合は、相手の気持ちに対して丁寧にお礼を伝えましょう。

品物が送られてきた場合は、「寸志」を受け取った後、最初に会った際にお礼を伝えるようにしましょう。

例文
  • ご厚志をいただきましてありがとうございます
  • ご厚志を頂戴し、感謝いたしております

社外の人や遠方の人にはお礼状を出す例も

なかなか会えない相手や立場が離れた目上の人、社外の人にはお礼状を書きましょう。

たとえば、寸志をいただいたイベントに出席してもらったことの感謝を伝えてから、寸志のお礼を書きます。続けて、今後の抱負などを書き添えてもいいでしょう。

ビジネスシーンで寸志の報告をする

ビジネスに関するイベントでは、「寸志」をいただいたことをイベント内で参加者に伝えることが通例です。幹事が挨拶の席で、「○○さんからお心付けをいただきました」のように紹介します。なお「寸志」は使わずに、「お心付け」や思いやりを意味する「ご厚志」などを使います。

また、寸志をいただいた人に失礼になるため、金額も公表しないようにしましょう。

お礼メールは寸志を受け取った翌日までに

「寸志」をいただいたお礼に送るメールは、寸志を受け取った翌日までに送ります。

寸志をくださった人へのメール例文
  • この度は、ご厚志を賜りありがとうございました
  • 昨日はお忙しい中、御足労いただきありがとうございました。またご厚志まで頂戴しましたこと、心より感謝しております

寸志に代わる言葉や別の言い方とは?

「寸志」の別の言い方は「心付け」「お礼」

寸志に代わる言葉として「心付け」や「お礼」があります。使い方も「寸志」と同じく、目上から目下の人に使われます。「寸志」では堅苦しいという場合の言い換えとして用いるとよいでしょう。

なお、ビジネスシーンでは「賞与」と言われることもあります。

「ご厚志」とは思いやる気持ちを表す尊敬語

「ご厚志(こうし)」とは「思いやる気持ち」を意味する尊敬表現です。「寸志」と意味合いは同じですが、「寸志」は謙遜表現で目上の人が目下の人に対して使い、「ご厚志」は目下の人が目上の人を敬うという点が異なります。

「ご厚志」の例文

ご厚志いただきありがとうございます

「ご芳志」とは親切な心遣いを意味する尊敬語

「ご芳志(ほうし)」とは「親切な心遣い」を意味する尊敬表現です。「ご厚志」と意味は同じですが、「芳志」のほうが尊敬の度合いが強くなります。

「ご芳志」の例文

ご芳志に感謝いたします

まとめ

「寸志」とは「わずかばかりの気持ち」という意味です。一般的にはわずかばかりの気持ちを表す贈り物や金銭を指しています。自分をへりくだった表現で、目上の人が目下の人に対して使う言葉です。

目下から目上の人に贈り物をする場合は、「寸志」ではなく「御礼」「ご挨拶」などの表現を使いましょう。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。