「今後とも」の意味や言い換え表現は?「引き続き」との使い分けも

「今後ともよろしくお願いいたします」はビジネスメールの結びでも頻繁に使用しますが、この「今後とも~」が使えるケースと失礼に当たるケースがあります。「今後とも」の意味と使い方、活用例について例文を交えて解説します。また「今後とも」と言われた際の返信例や類語、言い換え表現と英語訳も紹介しましょう。

「今後とも」の意味とは

「今後とも」とは「これからも」という意味

「今後とも」とは端的に言うと「これからも」という意味です。「今後」には「今からのち、以後」という意味が、「とも」には「同じであること、一緒、同時」などの意味があります。そこから、「以後も同じように」「これからも変わらずに」というニュアンスの表現となります。

「今後共」と書くことも

「今後とも」は漢字では「今後共」と書きます。意味に違いはなく、どちらを使用しても誤りではありません。ただし、見た目やその読みやすさを考慮して「今後とも」と漢字とひらがなを交えた表記がされることが多いようです。

「今後とも」の使い方とは

「今後とも」は初めて会った人にも使える

「今後とも」は「これまでと同様に」「これまでと変わらず」という意味ではありますが、ビジネスシーンでは主にこれから先の関係性に言及する意味合いで用いられます。そのため、初めて会った相手でも「今後ともよろしくお願いいたします」と使う例は少なくありません。

一方で、この後取引の予定がなく、継続的な付き合いが想定されていない場合に「今後とも~」と使うのは不自然です。一旦区切りとなるシーンでは「この度は誠にありがとうございました」と結ぶのが適切でしょう。

「今後とも」は謝罪の文面では使わない

「今後とも」が使えないケースには謝罪文面も挙げられます。トラブルやミスを謝罪するメールで「今後ともよろしくお願いいたします」や「今後とも変わらぬご愛顧を~」などと使うと、「迷惑をかけておきながら…」と厚かましい印象を与えてしまいます。

お詫びのメールでは締めの文言でも再度、謝罪の言葉を使用するのが通例です。たとえば「この度は大変申し訳ございませんでした」「重ねてお詫び申し上げます」などのフレーズが適切です。

「今後とも」を社内で使うことは少ない

「今後とも」は親しい間柄で使っても誤りではありませんが、社内でのやりとりで用いられることはまずないでしょう。フォーマルなシーンでも用いられる表現であることから、よそよそしいと受け取られる懸念もあります。そのため、社内で何かやり取りをする場合には単に「よろしくお願いします」という語を使うとこが多いです。

「今後ともよろしく」への返信は「こちらこそ」

「今後ともよろしくお願いいたします」への返信・返答は、「こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします」「こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願いいたします」などと返すのが適切です。

メールの文末では形式的に「今後ともよろしくお願いいたします」と記載することも多いですが、別れ際の挨拶で相手の「今後ともよろしく~」に返す言葉としては「こちらこそ」の語をつけたやり取りが自然です。

「今後とも」のビジネスメールでの使用例

「今後ともよろしくお願いします」が定型フレーズ

「今後とも」の使用で最も多いのが「今後ともよろしくお願いします」というフレーズでしょう。「今後ともよろしくお願いします」はビジネスメールの締め言葉としても頻繁に用いられるように、定型句として定着しています。

「今後ともよろしくお願いします」とは「これからも変わらず、よろしくお願いします」と、継続的な付き合いを依頼するニュアンスになります。今の関係をこれからも継続したい、という気持ちを表すため、これまでの関係性に対する好意的な感情、感謝を込めた表現ともいうことができます。

「今後ともどうぞよろしくお願いいたします」

「今後ともよろしくお願いします」は目上、目下を問わずに使用できる表現ですが、「お願いします」を「お願いいたします」に換えるとより丁寧な印象になります。さらに、丁寧に頼む気持ちを表す「どうぞ」の語を付け加え、「今後ともどうぞよろしくお願いいたします」とすることも多いです。

「今後とも何卒よろしくお願いいたします」

「何卒(なにとぞ)」とは、「どうぞ」をさらに丁寧にした語です。意味としては「何とかよろしく頼みます」のように強く懇願する、強く依頼するニュアンスになります。

また、「今後ともどうぞよろしくお願いいたします」よりも、「今後とも何卒よろしくお願いいたします」の方が改まった印象、フォーマルな印象を与えます。

「今後とも」に「ご協力」「お力添え」を添える

「今後とも」は「よろしくお願いします」に限らずビジネスメールでは様々な言い回しと共に用いられます。たとえば、「今後ともご協力の程~」「今後ともお力添えの程~」と協力や援助を頼むことも多いです。

いずれも、これからのことだけでなく、これまでの協力や援助に対する感謝の意も込めた表現となります。

例文
  • 今後ともご協力の程お願い申し上げます
  • 今後ともよろしくお力添えの程、お願いいたします

「今後とも変わらぬ~」のフレーズで使うことも

「今後とも」を使った言い回しでは、「今後とも変わらぬ○○を賜りますよう、お願い申し上げます」も挙げられます。たとえば「今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます」という言い回しは誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。

他にも○○の部分には「ご愛顧(ごあいこ)」や「ご厚誼(ごこうぎ)」などのワードが入ります。それぞれ「これからも今まで同様、ひいきにしてください」「これからも真心をこめた親しいお付き合いをしてください」というニュアンスになります。

例文
  • 今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます
  • 今後とも変わらぬご厚誼の程よろしくお願い申し上げます

「今後とも」の類語・言い換え表現

「今後とも」は「引き続き」に言い換えられる

「今後とも」は「引き続き」に言い換えることができます。「引き続き」とは「続けざまに、途切れることなく」という意味です。たとえば「引き続き、どうぞよろしくお願いいたします」といった言い換えができます。

「今後とも」と「引き続き」は取引の状況によって使い分けるのがポイントです。「引き続き」は現在進行中のプロジェクトや取引を指して「引き続き(この取引を)よろしくお願いします」というニュアンスで使用します。

一方、「今後ともよろしく~」とは一旦取引が終了した段階で、この先の新たな取引に向けた挨拶としても用いられる表現です。もちろん取引途中でも「今後ともよろしく~」と使うこともあり、両方のニュアンスで使える「今後とも」の方が無難な印象です。

「今後も」は微妙にニュアンスが異なる

「今後も」とは「これから先も」を意味し、先の事柄に言及する際の表現ですが、「今後とも」とは微妙にニュアンスが異なります。

「今後とも」には、これまでに対する感謝のニュアンスがあり、「これまでと変わらずこれからも」という意味を含むのが特徴です。一方の「今後も」は「これから」に重きを置いた表現であるため、感謝のニュアンスは伴わずに用いられるのが通例です。

「今後とも」の英語訳とは

「今後ともよろしくお願いします」の英語訳

「今後ともよろしくお願いします」を英語訳する場合は、「一緒に働けるのを楽しみにしています」と意訳する例が挙げられます。

また、ややカジュアルな表現ですが、「Let’s keep in touch.(連絡を続ける、接触を保つ)」なども「今後ともよろしく」のニュアンスにとることができます。

例文
  • I look forward to working with you.
    今後ともよろしくお願いします
  • I look forward to continue working with you.
    一緒に働き続けるのを楽しみにしています

日頃の感謝を伝える英語フレーズ

日頃の感謝と継続した付き合いを依頼するフレーズとして、日本のビジネスシーンでは「今後ともご協力の程お願いします」「今後とも変わらぬご愛顧の程~」などがよく使われます。同じように、英語で日頃の感謝を告げる際に用いられる定型フレーズがあります。

例文
  • Thank you for your support.
    ご支援ありがとうございます
  • I appreciate your continued support.
    日頃のご協力(継続的な協力)に感謝します

まとめ

「今後とも」とは「これからも変わらず」「以後も同じように」という意味で、ビジネスメールの締めの言葉「今後ともよろしくお願いします」の形で頻繁に使用します。他にも様々な言い回しで用いられますが、いずれもこれまでの感謝を込めた上で「これから先も~」と言い表したい場合に使用されるのが特徴です。

なお、「今後とも」は「引き続き」に言い換えられますが、「引き続き」は現在進行中の取引やプロジェクトに対して使う点が異なります。