「妾(めかけ・わらわ)」とは?一人称や現代の意味と類語の違いも

「妾(めかけ)」とは「正妻以外で、愛して養う女性」という意味です。かつては「ふたりめの妻」として認められる時代もありました。読み方が「わらわ」の場合は、女性の一人称になります。

この記事では、妾が「いつまで合法だったのか」、「妾腹」「妾宅」などの熟語もあわせて解説しましょう。

「妾」の意味とは?いつまで使われていた?

妾とは「正妻以外の愛する女性」という意味

「妾(めかけ)」の意味は、正妻がいる男性の「正妻以外の、金銭を援助する愛する女性」です。現代の日本は一夫一妻制のため、妾がいる男性は批判されやすいでしょう。離婚の原因にもなります。

ただし、国によっては妾が合法のこともあります。海外の人と話す際は、いきなり否定しないよう注意が必要です。

1882年まで「ふたりめの妻」として合法だった

1882年まで「妾」は正式に認められた「ふたりめ(以降)の妻」でした。配偶者としての権利が守られていて、夫に家来や使用人がいた場合は「第二夫人」として丁寧に扱われました。子どもが家督を相続することも珍しくありません。

かつての日本(特に武家社会)は、男児が跡を継がないと家が断絶してしまうという理由で、「妾」が重要視されたと考えられます。倫理的にも、跡継ぎのために妾と結婚することは正しいとされていました。

「わらわ・しょう」という読み方は「女性の一人称」

「妾」の読み方が「わらわ」「しょう」の場合は、「女性の一人称」として自分をへりくだり表現する謙譲語です。武家の女性が、目上の人と話すときに使っていたとされています。

現在の日常会話では一般的ではありませんが、小説やドラマ、アニメなどの作品では「わらわ」という読み方がよく使われています。

「妾」の使い方とは?

「妾の子」「妾腹」とは現代の婚外子を表す

「妾」という漢字を使った熟語もいくつかあります。例えば「妾腹(しょうふく)」や「妾の子」とは、「妾の子として生まれたこと」という意味です。現代でいうと「非摘出子」「婚外子」のニュアンスが近いでしょう。

他にも、妾を住まわせる住宅は「妾宅(しょうたく)」、妾の男性版は「男妾(だんしょう)」のように表現します。

「妾養子」とは妾を養子縁組すること

かつて認められていた「第二の妻」のような「妾」は存在しませんが、現代では「妾養子(めかけようし)」と呼ばれる関係があるようです。

既婚男性が妻の了解を得たうえで、妾(愛人)を養子縁組することを指して使われます。妾は相続権をもたないため、金銭面や生活を工面するためだと考えれますが、あまり一般的なことではなく見聞きすることは少ないでしょう。

「高貴な女性の一人称」として使われることも

フィクション作品では「高貴な女性の一人称」として、「妾(わらわ)」が使用されることがあります。具体的には、女王や姫、貴族などの女性キャラクターです。

多くの場合、キャラクターたちは「わらわ」を身分が低い相手との会話でも使用しています。「高貴な女性が使う一人称」という点が浸透し、謙譲語表現だと知らない人が多いのかもしれません。厳密には誤用ということを覚えておきましょう。

「妾馬(めかうま)」とは落語の演目

「妾馬」は落語の演目です。読み方は「めかうま」になります。八五郎(主人公)の妹が大名の妾になる話で、馬は最後のオチに登場します。

妾馬を、前半だけ演じる場合によく使われる演目名が「八五郎出世」です。前半には登場しない馬がタイトルにいると分かりづらいため、タイトルを変えることがあります。

「妾」の類語と違いとは?

「妾」の類語は「側室」「愛人」

「妾」の類語は「側室」です。側室とは「身分が高い人の妾」を意味します。

「愛人」も妾の類語です。意味は「配偶者以外の愛する人」で、不倫相手に使われます。本来は「人を愛すること」「愛する人」という意味なのですが、現在ではその意味で使われることはありません。

「側室」との違いは「夫の身分」

妾と側室の違いは「夫の身分」です。妾と違って、側室は夫が将軍や貴族などの「身分が高い人」に限定されます。

「愛人」との違いは「性別」

妾と愛人の違いは「性別」です。妾は女性に使われる言葉で、男性の場合は「男妾」と呼びます。「愛人」は男女問わず使用する言葉です。

他にも「合法かどうか」という違いもあります。現代の日本では認められていませんが、かつての妾は合法でした。対して、愛人は法律で認められず、妻や他人に隠す人を意味する言葉です。

「妾」の英語表現とは?

「妾」の英語表現は「concubine」

「妾」の英語表現は「concubine」です。発音の目安は「コンキュバイン」になります。一夫多妻制の場合の、ふたりめ以降の妻を意味する言葉です。

一人称「妾」のニュアンスは英語で訳せない

一人称「妾」を、ニュアンスも含めて表現できる英語はありません。ごく一部の例外を除き、英語の一人称は敬意や身分で変わらないためです。「妾」を英語に訳す場合、一般的な「I(私は)」「me(私を、私に)」などを使いましょう。

ちなみに、僅かな例外のひとつが「国王・女王」です。国王・女王が公式な場で目下の人相手に使う一人称は「We(本来は「私たち」)」が一般的だった時代がありました。現在では「古風な表現」として扱われています。

まとめ

「妾」は、読み方によって一人称としても使用します。「妾(めかけ)」と読む場合は、正妻以外の女性という意味です。「妾(わらわ)」と読む一人称は、ドラマや小説などで使われるため、馴染み深いという人もいます。読み方や時代背景によって意味が異なるため、間違って使わないよう注意しましょう。