「マーチャンダイジング」とは?意味やマーケティングとの違いも

「マーチャンダイジング」とは「ターゲットに向けた商品開発から販売戦略」という意味で、小売業で使われています。では、似た言葉の「マーケティング」とは何が違うのでしょうか。

この記事では、マーチャンダイジングの意味とマーケティングとの違いのほかに、マーチャンダイジングの5つ適正と種類についても紹介します。

「マーチャンダイジング」の意味と語源とは

意味は「商品企画から販売管理までの戦略的活動」

「マーチャンダイジング」とは、ターゲットのニーズに合った商品を届けるための「開発から販売管理までの戦略的な活動」という意味です。簡単に「商品化計画」「商品政策」と呼ばれることもあります。

具体的には、商品を売り込むターゲット(客層)に向けて、現在ある商品の売り上げ動向や商品周辺に関する市場調査などを行います。また、商品やサービスの開発から販売戦略、該当商品の価格設定など、商品をトータルで計画および管理することです。

「マーチャンダイジング」の語源は英語「merchandising」

「マーチャンダイジング」は英語訳すると「merchandising」になります。「merchandising」は「マーチャンダイジング」の語源で、意味も「マーチャンダイジング」と同じです。

「マーチャンダイザー(MD)」に関する資格や経験

マーチャンダイジングを専門的に行う人を「マーチャンダイザー(MD)」と呼びます。アパレル業界のような小売業で使われることが多い用語です。

「マーチャンダイザー」には、商品の企画開発から販売、流通まで幅広く対応できる能力が求められるため、職務経験が問われる職業ともいえます。特別な資格は必要ありませんが、販売士やファッションビジネス能力検定など、自分の知識を深めておくことも大切です。

「マーチャンダイザー」と似た意味で使われる「バイヤー」は、商品の買い付けがメインの職業です。「バイヤー」は、流行やターゲットの好みをふまえて戦略的に買い付けを行います。わかりやすく言うと、「バイヤー」の業務を含んでいるのが「マーチャンダイザー」です。

「マーチャンダイジング」と「マーケティング」の違いとは

「マーチャンダイジング」は主に小売業で使われる

「マーチャンダイジング」は、主に小売業や流通業で使われている言葉です。一方「マーケティング」は業界を問わず使われています。

業界によって意味合いが異なりますが、「マーケティング」の大義は「顧客に向けて価値を創造して伝え届けること」です。そのため、「マーチャンダイジング」と「マーケティング」はほぼ同じ意味で使えるといえます。

「マーケティング」とは商品開発や販売戦略のこと

「マーケティング」とは、ターゲットを選び、そのターゲットに対して適切な商品・サービスを提供して販売戦略を行うことです。アメリカ・マーケティング協会はマーケティングを次のように定義しています。

「生産者から消費者に到る財ならびにサービスの流れを推進するビジネスの諸活動である」

商品やサービスで、「どのくらいの価格か」「どこで販売するか」「どのようなプロモーションを行うか」を組み合わせます。また前提として、顧客や競争相手を見定めて、どのように商品やサービスを送り届けるのかの選定も必要です。このように、商品の開発から販売まで総合的に行うことを「マーケティング」と呼びます。

「マーチャンダイジング」の5つの適正と種類とは

マーチャンダイジングにおける「5つの適正」

アメリカマーケティング協会が定義するマーチャンダイジングの5つの適性を知ることで、ターゲットに届く商品開発および販売ができると言われています。

マーチャンダイジングの5つの適正
  1. 適正な商品
    顧客のニーズに合わせた商品やサービスの提供
  2. 適正な時期
    商品やサービスが売れやすいタイミングを考慮して、仕入れと販売をする
  3. 適正な場所
    顧客をひきつける商品やサービスの提供に相応しい場所の選択。商品の並べ方も含まれる
  4. 適正な数量
    仕入れ量と販売数量の計画と実行。在庫管理も含む
  5. 適正な価格
    適正価格の設定。その商品やサービスに対して、顧客が支払ってもいいと思える価格設定を行う

「ビジュアルマーチャンダイジング(VMD)」

「ビジュアルマーチャンダイジング」とは、商品やサービスの見せ方に関する戦略活動です。商品をどのように陳列するか、どのような店舗で演出・ビジュアルデザインをするのかに着目して、商品を売り込んでいくのかを企画して行います。

英語表記「visual merchandising」を略して「VMD」と表記されることもあります。

「クロスマーチャンダイジング」

「クロスマーチャンダイジング」とは、顧客のニーズに沿ってカテゴリーを超えた商品展開を行うことです。例えば、酒類のコーナーにつまみとなる食品を陳列するなど、顧客がつい「これも」と思ってしまうように購買欲求をそそる陳列方法が「クロスマーチャンダイジング」です。

「ライフスタイルマーチャンダイジング」

「ライフスタイルマーチャンダイジング」とは、顧客のライフスタイルから見た商品開発や販売方法を決めていく手法です。ターゲットが主婦だとしたら、家事で求められる便利グッズなどの横展開をして新商品を企画します。

「ライフスタイルマーチャンダイジング」により、消費者のニーズに合わせた商品やサービスの多角的な展開が行えるでしょう。

まとめ

「マーチャンダイジング」とは小売業で使われている言葉で、「顧客のニーズに合わせた商品開発から販売までを行うこと」です。「マーチャンダイジング」を取り入れて商品やサービスのマーケティングを行った企業の成功事例も多く聞かれます。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。