「存外」の意味とは?使い方と色々な類義語との違い(例文つき)

純文学や古典文学、ビジネス文書などを読んでいると、普段あまり使うことのない言葉にたびたび遭遇します。「存外」も、そんな耳慣れない言葉の一つなのではないでしょうか。今回は「存外」の意味や使い方を例文を踏まえて説明します。

「存外」の意味とは?

「存外」は「ぞんがい」と読みます。「存外」には大きく2通りの意味があります。

「存外」の意味は「思っていたのと様子や程度が異なる、無礼」

「存外」とは、「思っていたのと様子や程度が異なる、無礼、非常識な言動」という意味です。

現在よく使われるのは主に「思っていたのと様子や程度が異なる」という意味としてです。「非常識な言動、無礼」の意味で使われることはほとんどなく、古典など古い読み物以外ではめったにお目にかかることはないかもしれません。

「存外」の使い方と例文


「存外」は「意外」「案外」などの代わりに使うことができませす。ただ「意外」や「案内」と比べると耳慣れないということもあって、普段の会話の中で使うと少々大げさな印象や堅い印象を与えることもあるかもしれません。

「存外」は基本的に書き言葉として使われる

「存外」は、基本的には書き言葉として使われる言葉です。

「存外大きい」「存外楽」のように副詞として用いる他、「存外のご無沙汰」「存外に暑い」のように名詞として使うこともあります。また「それは存外な」「大層存外なり」のように形容動詞としても使われます。

「存外」を使った例文

  • 本日の作業は存外に早く終了しました
  • 本システムについては存外な高評価をいただきました
  • サーバの負荷は存外低いようです
  • 存外の出費があり節約を強いられた
  • 彼の存外な優しさに心が洗われた
  • 彼からそんな言葉を聞くなんて存外だった

「存外」の類義語とは?


「存外」のように「予想と違うさま」を表す言葉はたくさんあります。それぞれ同じように使うことができるものの、実は微妙なニュアンスの違いがあります。

類語①「案外」

「存外」と同様の意味を持ちますが、厳密にいうと「存外」が「予想と程度が異なる」ことを意味するニュアンスが強いのに対し、「案外」は「予想が外れた」ことを意味するニュアンスが強い言葉です。例えば、それぞれ以下のように使い分けます。

  • 今日は存外寒い → 寒いとは思っていたが、思っていた以上に寒い
  • 今日は案外寒い → 温かいと思っていたけが、予想に反して寒い

また「案外」も「存外」同様、「無礼な」という意味も持ちます。

類語②「意外」

「意外」はどちらかと言えば「案外」に近く、予想をしていなかった事柄対して使います。

  • 意外にも甘いものが好きなようだ → そうは思わなかったけど甘いものが好きなようだ
  • 意外と小さなことにこだわるタイプ → そうは見えないけど小さいことにこだわるタイプ

類語③「思いのほか」

「思ったより」「予想外に」と、「存外」「案外」と同様の意味を持ちますが、「存外」「案外」よりも予想とのギャップが大きい場合に使います。そのため、場合によっては大げさと捉えられてしまうこともあります。

  • 思いのほか大量の雪が降り通勤に苦労した → 予想を大きく上回るほどの大量の雪が降り通勤に苦労した
  • 思いのほか効果が大きかったので驚いた → 想像をはるかに超えて効果が大きかったので驚いた

類語④「殊の外」

「殊の外」も「思いのほか」同様、予想とかなり違っていた場合に用いる言葉です。また、普通以上に程度が高いことを表す場合もあります。

  • 仕事を続けることは殊の外大変なことだった → 仕事を続けることは想像を絶するほどに大変なことだった
  • 殊の外美しい景色だ → 非常に美しい景色だ

類語⑤「慮外」

「慮外」には「思いがけない」という意味があります。「存外」が「思っていたより」という意味なので、若干ニュアンスに違いがあります。また「存外」「案外」同様「無礼・ぶしつけ」という意味を持ちます。

慮外な歓迎を受け、大変うれしく思う→思いがけない歓迎を受け、大変うれしく思います
慮外ながら進言させていただきます→ぶしつけながら進言させていただきます

類語⑥「予想外」

「予想外」は文字の通り、「予想を外れて」という意味を持ちます。

  • 予想外の大反響
  • そんなことを言われるとは予想外だった

類語⑦「望外」

「望外」は「望んでいた以上」という意味を持つため、良い事柄に対して使用します。「望外な罵倒」のようにマイナスの出来事に対しては使用しません。

  • 望外な利益 → 見込んでいた以上の利益
  • 望外な出世 → 期待した以上の出世

まとめ

「存外」は「意外」や「案外」などと同じ意味があり、主にものごとの程度に対して使われる言葉だということをお分かりいただけたでしょうか。今後文書を書く際などに「意外」「案外」の代わりに「存外」を使えば、その文書を目にした人から「お?」と一目置かれるかもしれません。また、たくさんの類義語を知っておくことで、同じ言葉の繰り返しにならない洗練された文書を作成することができるようになります。ぜひ普段から「存外」を活用してみてください。