失業保険と扶養にはどのような関係性があるのかについて調べる機会は少なく理解していない方も多くみられます。
そこで、今回は自分が会社を辞めたときに失業保険の給付を受けるのと扶養に入るのとではとってどちらが良いのかの判断材料や扶養に入るタイミング、その手続きなどについて解説していきたいと思います。
失業保険受給中に扶養に入れるタイミング・条件は?
扶養に入れるタイミングは7日間の待機期間中
失業保険が支給されていない待機期間中は扶養に入ることができます。なぜなら、失業保険の手続きを行うと受給されるまでにまず、7日間の待機期間があり、ハローワークはこの7日間で本当に失業しているのかを確認するからです。
ただし、人によっては待期期間終了後から失業保険の支給が開始されます。このような場合は失業保険の受給が終わってから扶養に入ることをおすすめします。
3ヵ月間の給付制限中や受給期間を延長した場合
自己都合で退職した場合、7日間の待機期間後に更に3ヵ月間の給付制限があります。この給付制限期間中も失業保険の給付はありませんので、扶養に入ることができます。
また、出産や病気などですぐに求職活動ができない場合は受給期間の延長が可能ですが、受給期間の延長中も失業保険の給付はありませんので、扶養に入ることができます。
「扶養」に入りながら「失業保険を給付」が受けられる条件
基本的に失業保険の給付を受けている場合は扶養に入ることはできません。なぜかというと、失業保険の給付分は収入とみなされるからです。年間の収入が130万円未満でないと扶養には入れません。
しかも、実際に失業保険として給付された金額が130万円未満だから問題ないという計算ではなく、失業保険は年間をとおしてどの程度の収入が見込めるのかの概算となりますので注意が必要です。
失業保険の一日当たりの給付金額が3,611円以下の場合であれば失業保険の給付を受けつつ扶養に入ることが可能です。
「失業保険の給付」と「扶養に入る」条件とは?
失業保険の正式名称は「雇用保険」といいます。保険料を毎月給料から天引きで支払うことで会社を退職した後に次の仕事が見つかるまでの間、国から手当が給付される制度ですが、基本的に扶養に入った場合は失業保険の給付を受けることはできません。
「扶養に入る条件」は無収入か低所得
扶養に入るとは、同一世帯の家族が生計を維持している状態を扶養している状態とするため、生計を維持していない人のことを指します。
例えば、夫が生計を維持していて妻の収入がない場合などは妻は夫の扶養に入っている状況となります。そのため、高所得者は扶養には入れませんし、扶養に入っている方の所得が高くなれば扶養から外れることになります。
「失業保険の給付」には退職理由は問われない
失業保険を受給するにあたり、基本的に退職理由は問いません。したがって結婚や妊娠が理由であっても失業保険を受給することはできます。
妊娠が原因で退職した場合、体調が悪かったり出産後はすぐに働けないなどの理由ですぐに求職活動は難しいとう場合があります。しかし、すぐに求職活動ができない場合は受給期間を延長することが可能なので、ハローワークに申請しましょう。
ただし、失業保険の受給は退職後に再就職する意思があることが大前提となります。結婚や妊娠に限ったことではありませんが、再就職する意思がないのに失業保険を受給することは不正受給になるので注意をしましょう。
「失業保険の給付」と「扶養に入る」はどっちが得?
勤めていた会社を退職した場合、失業保険の給付を受けることだけが選択肢ではありません。自分にとってどの選択をすることが一番得なのかを考えてみましょう。
退職後の3つの選択肢
失業保険を受給する
基本的に失業保険を受給する場合は扶養には入れません。そのため、健康保険料や国民年金保険を払わなければならないので、給付金より保険料の金額が上回る可能性があり、手続きにかかる手間も考えると失業保険は受給することで損をする場合があります。
また、退職理由によっては失業保険がすぐに受給できないという点も加味しましょう。
扶養に入る
扶養に入ったからといって生計を維持している家族の社会保険料が値上がりすることなく、別途扶養に入ってる家族の社会保険料を払う必要はないので、収入はなくても出費を抑えることができます。
また、扶養に入ると配偶者控除という制度のおいて所得税が安くなります。
家計を助ける程度の収入を得る
失業保険を受給すると保険料の金額が上回り、かといって収入ゼロでは生活が苦しいという場合は失業保険は受給せずに年間の収入が103万円以下になるよう調整しながら扶養に入るのが良いでしょう。
不正受給がばれるとペナルティがある
失業保険の受給を受けつつ扶養に入るなど失業保険を不正に受給してしまうとペナルティを負うことになります。金銭的に大きな負担になってしまうので注意をしましょう。
- 国民健康保険料を遡って納付しなければならない
- 医療費の保険負担分である7割を返金しなければならない
- 国民年金保険料を遡って納付しなければならない
マイナンバーで不正がばれる可能性がある
マイナンバー制度が導入されたことで、失業保険の不正受給が疑われる場合の調査を簡単にかつ正確に行うことができるようになりました。
例えば、マイナンバーで該当の期間に厚生年金に加入しているかどうかを簡単に調べることができます。厚生年金は会社に雇用されていることで加入することができるため、もし厚生年金に加入している事実が判明した場合、不正受給が明らかになったといえます。
失業保険受給終了後扶養に入るための手続き
失業保険の受給が終わって扶養に入る場合の手続きについて説明します。
年金の脱退など必要書類を扶養者の会社に提出
扶養に入るために必要な書類は会社によって異なりますが、「国民健康保険証のコピー」「課税証明書」「離職票」は基本的に必要となります。
また、扶養者が厚生年金などに加入している場合、会社から国民年金第3号被保険者の届け出を提出するよう指示があるはずなので、個人で別途国民年金を脱退する手続きは不要となります。
健康保険の切り替え
退職してから扶養に入るまでの間に国民健康保険に加入していた場合は、扶養に入ると扶養者が加入している健康保険に入ることになるので、国民健康保険を脱退する必要があります。
手続きせずに放置すると二重で健康保険料を払うことになってしまいますので、新しい保険証が届いたらお住いの地域の市区町村で国民健康保険脱退の手続きを行いましょう。
まとめ
失業保険と扶養についてとその関係性について解説しました。会社を退職したら失業保険の受給を受けるものであるという認識の方もいるかもしれませんが、一概に失業保険を受給することが良いとはいえません。
退職後金銭的に苦しくならないよう自分にとって最良の選択をしてください。