「取らぬ狸の皮算用」の意味とは?類語や反対語も解説(例文つき)

現代では狸を取ったり皮を使ったりすることはありませんが、昔は狸の皮の売買が行われていたのか「取らぬ狸の皮算用」ということわざがあります。今回はこのことわざの意味と使い方、類語や例文を併せてご紹介します。

「取らぬ狸の皮算用」とは?

意味は「手に入っていない利益をあてにして色々な計画をたてる」

「取らぬ狸の皮算用」の意味は、「手に入っていない利益をあてにして色々な計画をたてる」です。読み方は、「とらぬ たぬきの かわざんよう」です。「取らぬ」を「捕らぬ・獲らぬ」と表現する場合もあります。「算用」とは金銭や数量などを計算する事を意味します。

由来は狸の皮の売買

昔は狸の毛皮が防寒具として利用されていたので、実際に狸の狩りをして、毛皮は高級品として売買されていました。この狸の皮の売買が元となり、このことわざに使われるようになった由来とされています。

「取らぬ狸の皮算用」の教訓

高級品の狸の皮を売れば大きな利益を得ることはわかっていますが、実際には生き物相手の狩りです。本当に思い通りに狩りが成功するかどうかは、実際に狩りに出てみないことにはわかりません。それなのにもう既に狸の皮が手に入って、売買も上手くいき利益を手にしているかのように、買い物や計画などを実行に移してしまうとどうなるでしょうか?狩りに失敗して思い通りの利益を得られないかもしれません。ありもしないものの利益をあてにして計画を立てる事は愚かであるという事が、このことわざの教訓となります。

「取らぬ狸の皮算用」の使い方と例文

「取らぬ狸の皮算用」は夢のような計画を立てる時に使われる

「取らぬ狸の皮算用」の使い方としては、実際には手に入っていない利益をあてにして、色々な計画をたてるという場合に使う事ができます。例えば宝くじの高額当選をあてにして、「宝くじが当たったら、家を建てて車を買い替えて、海外旅行に行って…」などと、夢のような計画をたてる時にも「取らぬ狸の皮算用」を使います。

「取らぬ狸の皮算用」を使った例文

普段よく使う例としては、やはりお金に関する内容で使われる事が多いようです。また実現不可能とわかってはいるが、楽しい妄想として「皮算用」する場合もあります。

  • ボーナスを当てにして腕時計を買ったんだけど、今年はボーナスがカットになってしまった。「取らぬ狸の皮算用」をして大失敗をしてしまった。
  • もしあの子と付き合えたら、遊園地と水族館デートをしたいんだ。チケットの値段も順路もチェック済みだし、デートの時のセリフももう練習してる。「取らぬ狸の皮算用」だけど、緊張して格好悪いところなんか見せられないからね。

「取らぬ狸の皮算用」の類語と反対語

「取らぬ狸の皮算用」の類語は「飛ぶ鳥の献立」

「取らぬ狸の皮算用」の類語としては、同じ意味となる似たことわざとして以下のようなことわざがあります。

  • 飛ぶ鳥の献立=捕まえるどころか、まだ飛んでいる鳥の料理の献立を考える事
  • 穴の狢(むじな)を値段する=まだ捕まえてもおらず、中にいるかどうかもわからない穴の中にいる狢(むじな=アナグマ)に値段をつける事
  • 儲けぬ前の胸算用=儲けを手にする前から、利益を計算する事

「取らぬ狸の皮算用」に似た四字熟語「守株待兎」

「取らぬ狸の皮算用」の皮算用に似た内容の四字熟語としては、「守株待兎(しゅしゅたいと)」という言葉があります。大まかな意味としてはとても似ている四字熟語で、起こってもいない幸運をあてにする愚かさを指しています。

「取らぬ狸の皮算用」の類語「守株待兎」の由来

中国の古い時代、ある農夫が木の切り株にうさぎがぶつかって死ぬのを見ました。それ以来その農夫は、また切り株にぶつかったうさぎが手に入るかもしれないからと、仕事もせずに毎日切り株を見て過ごしていました。そのため畑は荒れ放題になってしまい、国中の笑い者になったという故事が元になったと言われています。

このことから、この四字熟語は古い習慣やしきたりにとらわれて融通が利かない事の例えや、偶然の幸運をあてにする愚かさの例えを意味しています。

「取らぬ狸の皮算用」の反対語は「布に応じて衣も裁て」

「取らぬ狸の皮算用」の反対語としては、ありもしないものや利益をあてにする事の対義語として、きちんとした計画に基づく実行をする事が大切であるという内容や、堅実で確実な経済の観念についてのことわざが使われます。

  • 入るを量りて出ずるを為す=収入をよく計算して、それに応じた支出をするということ。健全な経済の道を説いたもの
  • 布に応じて衣も裁て=布の大きさに応じた衣を作れば良いという意味。手元にあるもので必要な分を賄えば良いという教え

まとめ

「取らぬ狸の皮算用」の意味と使い方、類語や例文を見てきました。来るべき幸運のために準備をしたり、自分を奮い立たせるために夢や希望を掲げることは必要な事です。しかし、手に入る前の利益をあてにした行動や計画は、実際に手に入らなかった時のことを考えると、少々愚かな事であるように思えます。現代の賢いビジネスマンとしては、まずは目の前の課題の結果を確実に出す事が一番の成功(儲け)の鍵では無いでしょうか。その後でその成功(儲け)を何に生かすかを考えていくことの方が堅実で賢い選択だと言えます。