「未曾有」は、いまだかつてない珍しいという意味の言葉です。「みぞうう」と読む人もいますが「みぞう」が一般的な読み方。コロナ禍について「未曾有の出来事」などと表現できます。
ここでは「未曾有」の意味や使い方について、また類語や言い換え表現など例文・短文とともに解説します。英語表現も紹介しましょう。
「未曾有」の意味や読み方は？
「未曾有」の意味は「いままでになく珍しいこと」
「未曾有」とは、いままで起きなかったような珍しいことや事態という意味の言葉です。「曾」には「以前」や「かつて」という意味があり、「未曾有」は「いまだかつてあらず」という意味を表しています。また、「曾」は「曽」の旧字体です。
「未曾有」の読み方は「みぞうう」ではなく「みぞう」
「未曾有」の読み方は「みぞう」です。たまに「みぞうう」や「みぞうゆ」「みぞうゆう」などと読む人がいますが、これは間違いです。
以前は「みぞうう」と読んでいた時代もありますが、現在は「みぞう」と読むの一般的ですので覚えておきましょう。
「未曾有」の由来は仏教用語で奇跡を表す言葉
「未曾有」の語源は仏教用語にあります。漢字で「未だ曾て有らず（いまだかつてあらず）」と表現され、いままでにないほど素晴らしい仏の教えの尊さなどをさす言葉です。また、教えを請い悟りを開く境地という意味から「奇跡」を表す言葉として使われていました。
よいことに対して使用されていた言葉ですが、現代では悪い出来事などに対し使用することが多くなっています。
「未曾有」の使い方と例文
大きな災害や危機・事件など悪い意味で使う
「未曾有」は、これまで経験したことがないような大きな災害や事件が発生したときに使用します。「未曾有の出来事」や「未曾有の災害」など、これまでに経験のないような大きな災害であるという意味です。
過去になく初めてであるという意味で使う
「未曾有」は、悪い出来事や状況に対して使用することが一般的ですが、過去になくこれが初めてで珍しいことであるといった出来事に対しても使用します。
「未曾有の大発見」などと使用した場合、これまでになく珍しい発見がされたという意味です。
「未曾有」を使った例文・短文
- 未曾有の大災害が発生した。
- 世界中が未曾有の出来事に直面している。
- 新入社員が一気に退職するなんて未曾有の出来事だ。
- 社長の不用意な行動により、会社の株価は未曾有の状況である。
「未曾有」の類語は？
「未曾有」の類語は「前代未聞」
「前代未聞（ぜんだいみもん）」とは、今まで聞いたことがないほど珍しいことという意味の四字熟語です。「前代」は「今よりも前の時代」という意味で、「未聞」は「いまだ聞いたことのない」という意味。今より前には聞いたことがないような珍しいことや大変なこと、変わったことなどというニュアンスで「前代未聞の事態」などと使用します。
「前代未聞の出来事」や「前代未聞の事件」など「未曾有」と同じような場面で使用し、言い換えとしても使えます。
「空前絶後」も「未曾有」の類語
「空前絶後（くうぜんぜつご）」とは、過去にもなく将来もないだろうと思われるような珍しいことをさす四字熟語です。「空前」は「今までにない」という意味で、「絶後」は「これから先に同じことはない」という意味の言葉。今までに例もなく今後も起きることがないほど珍しく大変なことを「空前絶後の出来事」などと表現します。
今までにない珍しいことという「未曾有」とほぼ同じ意味ですが、「空前絶後」はさらに強調した意味合いを持っています。
これが空前絶後の大ヒット商品ですね。
「未曾有」の類語には「希有」も
「希有（けう）」とは、珍しく滅多にない出来事をさします。「希有」は「稀有」とも表記しますが、どちらも同じ意味の言葉です。
「未曾有」とほぼ同じ意味として使えますが、「未曾有」の方がより強いニュアンスです。
「未曾有」の言い換えには「かつてない」
日常会話など「未曾有」という言葉が伝わりにくく感じる場面では「かつてない」で言い換えもするとよいでしょう。
「かつてない」は漢字で「曾てない」と書き、現在にいたるまで例がないという意味。「未曾有」とほぼ同じ意味として使えますが、「かつてない」は良い出来事にも悪い出来事にも使用できる言葉でもあります。
「未曾有」の英語表現とは？
「未曾有」は英語で「unprecedented」
「未曾有」の英語表現には「unprecedented」が使われます。「前例がない」や「これまでにない」といったニュアンスの単語です。
出来事をさす「event」や災害を意味する「disaster」などをつけて表現します。
「未曾有」を使った英語例文
- This disaster is an unprecedented event（この災害は未曾有の出来事だ）
- unprecedented disaster（未曾有の災害）
まとめ
「未曾有」の読み方は「みぞう」で、意味はいままでになく珍しいことです。大きな災害や事件などが起きた時に「未曾有の災害」や「未曾有の出来事」などと使用します。
類語の「前代未聞」や「空前絶後」もほぼ同じような意味として使えます。また、日常会話などでは「かつてない」と言い換えるほうが伝わりやすいでしょう。
こんな失敗をするなんて前代未聞だ。