相手に対して敬意を表するときに「脱帽」といいます。あきれたというニュアンスで皮肉としても使う言葉です。「上だと認める」というニュアンスもあるため、目上の人に使うと失礼に当たります。
この記事では「脱帽」の意味や使い方を例文をまじえて解説します。類語との違いや「脱帽」の英語表現も紹介しましょう。
「脱帽」の意味と由来とは?
脱帽の意味は「帽子を脱いで敬意を表すること」
「脱帽」とは、かぶっている帽子を脱ぐことで、相手に敬意を表することです。
文字通り、単純にかぶっている帽子を脱ぐ行為自体もさす言葉ですが、帽子を脱ぐという行為は敬意を表するべき相手に対するときのマナーでもあります。
脱帽は「感服するという気持ち」を表す
「脱帽」とは、相手に感服するという気持ちを表現する言葉です。
実際に帽子をかぶっていない状態でも使用する言葉で、相手に対して感心したり尊敬したりする気持ちを抱いたときに「彼には脱帽です」と表現します。相手の言動が素晴らしくて、とてもかなわない、勝てないといった気持ちを表す言い回しです。
また、とてもかなわないというところから「降参する」という意味も含まれています。
脱帽の由来は「マナーのひとつ」
「脱帽」は西洋でのマナーのひとつからきています。西洋では、相手に敬意を表するシーンやあいさつなどで、帽子をとります。また、室内でも帽子をとるのが一般的なマナーです。
日本では「兜を脱ぐ」という言葉もあり、帽子をとることは「負けを認める」といったニュアンスも含んで使われるようになりました。
「脱帽」の使い方と例文
「脱帽です」「脱帽する」で相手に敬意を表す
「脱帽」は、相手に対して敬意を表し、感服したり降参したりするシーンで使います。
たとえば、相手の言動に対して「とてもかなわない」や「感服する」といった気持ちを持ったときに「あなたには脱帽です」などと表現します。相手の言動が素晴らしいために敬意を表するといったニュアンスです。
- 彼の仕事ぶりには脱帽です
- 彼女の細やかな配慮にいつも脱帽する
「脱帽」は皮肉として使うことも
「脱帽」は、相手の言動に対して「あなたにはあきれました」という意味の皮肉としても使われます。
たとえば、何度注意しても遅刻ばかりしてくる部下にむかって「君には脱帽するよ」などと使います。注意を受けても遅刻を繰り返していて反省の色が見えない部下に対し「君にはあきれたよ」というニュアンスを表現する言い回しです。
何度注意しても同じことを繰り返すなんて、もう君には脱帽だよ
「帽子を脱ぐ」という意味で使う
「脱帽」は、単純に「帽子を脱ぐ」という意味でもよく使われます。由来にもなっているマナーの面や相手への敬意を表すためです。
なお「脱帽」とは反対に、「帽子をかぶる」という意味の対義語は「着帽(ちゃくぼう)」といいます。
恐れ入りますが、室内では脱帽をお願いいたします
「脱帽」は目上の人に対して使わない
「脱帽」という言葉は、相手に対する敬意を表するという意味ではありますが、目上の人には使わないほうがよい言葉です。
相手に対して「降参し感服して、自分よりも上だと認める」という意味を含むため、目上の人に対して用いるのは失礼に当たります。「脱帽」は自分よりも目下の人や対等な人、部下や同僚に対して使用する言葉です。
「脱帽」の類語・類義語は?
「脱帽」の類語は「舌を巻く」
「舌を巻く(したをまく)」とは、相手の言動や能力の素晴らしさやすごさに驚き感心することです。たとえば、ピアノ演奏が素晴らしくて驚いたときに「彼のピアノ演奏の素晴らしさには、舌を巻くよ」のように表現します。
また、もうひとつの意味として、相手に威圧されて言葉が出ないようすも「舌を巻く」と表現します。「脱帽」とよく似た意味であり「驚き感心する」という意味では言い換えも可能です。
「脱帽」の類義語には「兜を脱ぐ」も
「兜を脱ぐ(かぶとをぬぐ)」とは、かぶっている兜を脱ぐことで降参の意を表す類義語です。戦国時代の戦いにおいて、戦いに負けたという意味で兜を脱いでいたことにちなんでいます。転じて、相手に対して降参するという意味で使う慣用句です。
「脱帽」にも降参するというニュアンスがあるため、シーンによっては言い換えとしても使えます。
「脱帽」は「言葉を呑む」に言い換えも
「言葉を呑む(ことばをのむ)」とは、相手の言動に対して、驚きのあまり言葉が詰まることを表します。また、相手の心のうちを察して何も言えなくなってしまうことも「言葉を呑む」です。
「驚いて言葉が詰まる」という意味では、「脱帽」の言い換えとして使用できます。
「脱帽」の英語表現は?
「脱帽」は英語で「take one’s hat off to~」
「脱帽」の英語表現には「take one’s hat off to~」というフレーズが適しています。文字通り帽子を脱ぐという意味のフレーズですが、相手に敬意を表するなどのニュアンスも含んでいます。
Take my hat off to you!(君には脱帽だ)
「脱帽」の英語表現には「admire」も
「脱帽」は「admire」を使った英語訳も可能です。「admire」には「あこがれ」や「ほめる」という意味があります。相手に対する感心や尊敬、とてもかなわないといったニュアンスを表現できます。
まとめ
「脱帽」は、相手に対して敬意を表することです。相手の言動に感服して、とてもかなわないといった気持ちを表す意味もあります。また、単純に「帽子を脱ぐ」行為自体も「脱帽」です。
「相手を自分より上だと認める」といったニュアンスも含むため、目上の人に対して使うと失礼に当たります。ビジネスシーンでは同僚や部下に対して使用する言葉です。