「サプライチェーン」とは「部品調達から販売までの流れ」という意味で、サプライチェーンを最適化させるためのサプライチェーンマネジメント(SCM)を取り入れている企業もあります。
この記事では、「サプライチェーン」の意味やSCMの意味とリスクなどを解説。また「バリューチェーン」との違いも説明しますので、ご参照ください。
サプライチェーンの意味とは?
サプライチェーンとは「部品調達から販売までの流れ」
「サプライチェーン」とは、「ある製品を作るための部品や原材料の調達から製造、流通、販売までの流れ」を指します。企業によっては、販売後の「消費」も含むと解釈している場合もあります。
「サプライチェーン」においては、自社での製造から販売までの流れを指すだけでなく、それにかかわる部品の供給元など他社の動きも把握します。
「サプライチェーン」は日本語で「供給連鎖」
「サプライチェーン」は日本語で「供給連鎖」と言います。ただし「供給連鎖」という表現よりは「サプライチェーン」の方がビジネス用語として一般的なので、「サプライチェーン」をビジネスシーンでは使った方がいいでしょう。
「サプライチェーン」は英語で「Supply Chain」
「サプライチェーン」は英語で「Supply Chain」で、各単語の頭文字を大文字で書き表します。
「supply」とは「供給」、「chain」は「鎖」の意味です。サプライチェーンは部品調達から製造までの各プロセスが鎖のようにつながっていることから生まれた造語です。
サプライチェーンマネジメントとは?
「サプライチェーンを最適化させる手法」の意味
「サプライチェーンマネジメント」とは「サプライチェーン管理」とも呼ばれ、その意味は「サプライチェーンを最適化させる手法」です。サプライチェーンにおける商品の製造、販売までの工程を、最も効率よく行うための方法を指しています。
「サプライチェーンマネジメント」は「サプライチェーンマネジメント」の英語表記である「Supply Chain Management」の頭文字を取り、「SCM」と呼ばれることもあります。
SCMシステムでサプライチェーンを運用する
サプライチェーンを効率的に運用するために、サプライチェーンマネジメントを取り入れたSCMシステムを導入している事例も多いです。
SCMシステムにより、ある商品の製造過程において、部品などの資材の在庫を自社だけでなく、部品供給会社や卸メーカーなどの在庫状況を共有したり、販売店での在庫を把握したりすることができるようになります。企業の壁を越えた管理を行うことで、在庫の適正化などを図れるようになるのです。
- 製造:部品会社から供給される部品の原価管理、商品の品質・生産管理
- 配送・物流:配送先の管理、出荷状況の管理
- 販売:商品販売における戦略プラン
サプライチェーンリスクとはコロナや災害によるリスク
「サプライチェーンリスク」とは、サプライチェーンマネジメントを導入した当時には予期していなかったような出来事が起こり、サプライチェーンに悪影響が出ることです。
リスクの対策として、事前に発生する可能性をその頻度と可能性によって分類して、対策を立てておくことが大切です。
- 環境的リスク:(例)コロナなどのパンデミックや自然災害
- 経済的リスク:(例)原料の価格変動、経済危機
- 技術的リスク:(例)機械の故障
サプライチェーン問題では人権尊重も重視
サプライチェーンにおいて労働者の人権を考えることは欠かせないのですが、特に海外進出する日本企業は、サプライチェーンにおける人権尊重を重視することが大切です。海外法人がその国の法令や国際的なガイドラインを守らないような人事や経営を行えば、一企業の問題ではなく、国際問題に発展しかねないからです。
社内での対応はもちろんのこと、外部の団体などとも協力しながら、人権を無視しない会社経営が求められます。
「サプライチェーン攻撃」の意味と対策とは?
「サプライチェーン攻撃」とは「関連企業を介したサイバー攻撃」
「サプライチェーン攻撃」とは「ターゲットとする会社に関連企業を介して行うサイバー攻撃」です。ターゲットとする会社の関連企業や取引先企業で、セキュリティの低い会社を経由して、ターゲットにしている企業に不正アクセスを行います。
サプライチェーン攻撃は、ターゲットにする会社のセキュリティが高くて直接サイバー攻撃がしにくい時に取られる手法です。サプライチェーン攻撃を行うことで、サプライチェーンの不活性や情報漏えいなどの被害を発生させます。
サプライチェーンセキュリティを強化する
サプライチェーン攻撃の対策には、サプライチェーンセキュリティを強化させることが挙げられます。従来から言われてきた「BCP(事業継続計画)」と呼ばれる「事業を止めないこと」もありますが、アンチウィルスソフトなどを使い端末機器を保護することもサプライチェーン攻撃の対策になります。
「サプライチェーン」と「バリューチェーン」の違い
「供給の連鎖」と「付加価値の連鎖」の違い
「サプライチェーン」と「バリューチェーン」の違いは、「サプライチェーン」が「供給の連鎖」であるのに対して、「バリューチェーン」は「付加価値の連鎖」だということです。
サプライチェーンでは、原材料から流通(時には消費)までの流れを指していますが、バリューチェーンでは、サプライチェーンの各プロセスでどのような価値が生まれたのかに着目されます。
バリューチェーンとは「付加価値に落とし込んだ連鎖」
「バリューチェーン」とは「付加価値に落とし込んだサプライチェーンの連鎖」のことです。サプライチェーンにおいて、さまざまな活動が行われていますが、各プロセスでどの活動がどれだけの付加価値を生み出しているのかを量的そして質的な関係で測ります。
「原材料の調達」を例に取れば、他社と比べるとその価格が高いのか低いのか、その質はどうか、また調達されるまでの時間などの分析がバリューチェーンの考え方です。この分析を基に、対策や改善案などが検討されます。
この「バリューチェーン」という考え方は、1985年にハーバード・ビジネススクールのマイケル・E・ポーター教授により考案されました。
まとめ
「サプライチェーン」とは「部品調達から配送(または消費)までの一連の流れ」のことで、「供給連鎖」と日本語訳されます。他社の動きも含む全体のフローで、その効率化を目指した「サプライチェーンマネジメント」もあります。
新型コロナウイルス感染症の拡大が原因となり、サプライチェーンが機能しにくくなった企業には、経済産業省により「サプライチェーン補助金」も行われています。令和4年5月6日が第3次募集の締め切り日ですので、興味のある方は早めの検討をおすすめします。