「衣食足りて礼節を知る」の意味と由来は?類語と英語表現も

生活に余裕がある人は心なしかマナーがあり、節度をわきまえている人が多いと思いませんか?まさに「衣食足りて礼節を知る」の典型的なパターンであると言えるでしょう。

ここでは「衣食足りて礼節を知る」ということわざについて、意味と使い方をはじめ、由来と原文、類語と反対語、また英語表現について紹介しています。人を観察してみると、本当に面白いことがわかるものです。

「衣食足りて礼節を知る」の意味とは?

さっそく「衣食足りて礼節を知る」について、意味と由来、使い方を例文を含めて紹介していきましょう。

「衣食足りて礼節を知る」の意味

「衣食足りて礼節を知る」は「人は生活が豊かになり、余裕が出てくると礼儀が生まれ、しっかり節度をわきまえることができるようになるものである」という意味があります。つまり、物質的に不自由しなくなってこそ、礼儀に対し気を配ることができるということです。

「衣服」と「食物」は人間の生活を支える大きな軸でもありますが、生活をしていく中でそれらが満たされていくと、心や考え方に余裕が生まれ、礼儀や節度を知ることができるということなのです。

ちなみに「礼節」とは「礼儀」と「節度」のことで、「社会生活を送るための秩序や必要な作法や行動」のことです。礼節を知らないと「マナーを知らない非常識な人」と言われてしまうこともあるでしょう。

ことわざ「衣食足りて礼節を知る」の由来と原文は?

「衣食足りて礼節を知る」は中国「管子」牧民の言葉に由来しています。

原文とその読み方は、「倉廩實則知禮節、衣食足則知榮辱(倉廩実つれば則ち礼節を知り、衣食足れば則ち栄辱を知る)」になっています。

「衣食足りて礼節を知る」の正しい使い方と例文

「衣食足りて礼節を知る」は生活に余裕ができ、暮らしぶりが豊かな人に対して使われる言葉ですが、お金に余裕がある人でもマナーや常識をわきまえていない場合もあるでしょう。そのような際には、いくら誉め言葉として代用するにせよ「衣食足りて礼節を知る」を使うべきではありません。正しい使い方の例文を見てみましょう。

  • 課長に出世してからマナーを心得るようになった。衣食足りて礼節を知るとはこのことであろうか?
  • 衣食足りて礼節を知るというように、ベンチャーで成功してから節度をわきまえるようになった。

住はどこに行った?

通常「衣食住」と3つの要素を併せて使うことがほとんどですが、「衣食足りて礼節を知る」には「住」が欠けています。「衣食住」の「住」は「衣食」の次に続く「人が望むもの」であると言われ、その後に続くのが「権力」というように言われています。

少なくとも「衣食」が足りていれば、礼儀と節度が生まれ、人として望ましい姿になるのではないか?と考えられますが、もし「衣食足りて礼節を知る」に「住」が加われば、さらに礼節にも磨きがかかることが期待されるのでしょう。もちろん、由来である「管子」牧民の原文にも「住」の文字は見当たりません。

「衣食足りて礼節を知る」の類語と対義語は?

続いて「衣食足りて礼節を知る」の類語と対義語について解説します。

「衣食足りて礼節を知る」の類語

「衣食足りて礼節を知る」の類語になるのは「憂いも辛いも食うての上」「恒産無くして恒心なし」「倉廩(そうりん)実ちて囹圄空し(れいぎょあだし)」「常の産なき時は常の心なし」などになります。どれも「豊かになってこそ、節度ある素晴らしい行動ができる」という意味のあることわざです。

  • 憂いも辛いも食うての上で、努力して出世すると節度や礼儀を気にするようになるものだ。

人はパンのみにて生くる者に非ず

一方「衣食足りて礼節を知る」の反対の意味を持つ対義語は「人はパンのみに生くる者に非ず」です。意味は「人というものは物質だけで満足するために生きるものではなく、精神的に支えや拠り所が必要である」となります。もちろん「人はパンだけでは生活することはできない」という意味ではありません。

  • 資産家だが専任の心理カウンセラーがいる。人はパンのみに生くる者に非ずだ。

「衣食足りて礼節を知る」の英語表現は?

海外では食事の質によって、その人の生活のレベルを垣間見るような風潮がありますが、「衣食足りて礼節を知る」をどのように表現するのでしょうか?

「衣食足りて礼節を知る」の英語表現

「衣食足りて礼節を知る」は「服装や食事が良いと礼儀や節度に気を配ることができる」という意味がありますが、英語ではシンプルに「良い食事は良い人を育てる」という意味の「well fed, well bred」を使います。服装にはフォーカスを当てていませんが、同等の意味として解釈して良いでしょう。

食事の質が良いと人に良い影響を与え、身も心も良い方向へ成長していくという意味があります。海外では食事は人の体を作ることを、何よりも信じている人が多いのです。

「衣食足りて礼節を知る」の英語例文

ぜひ、国際的な環境で使ってみて下さい。

  • Look at our CEO! Well fed well bred, isn’t he?
    社長の美しい作法とマナーを見て!ー衣食足りて礼節を知るとは彼のことだ。
  • As well fed well bred saying、My manner is getting heaps better after I got huge pay-rise.
    衣食足りて礼節を知るというように、給料がグンと上がり節度を心得るようになった。

まとめ

「衣食足りて礼節を知る」は「人は生活が豊かになると、礼儀や節度をわきまえる余裕が出てくる」という意味のことわざです。暮らしに余裕が出てくることを「衣服と食料が足りる」という表現で比喩的に用いているのが特徴でしょう。

職場の風景を観察してみると、優雅に振る舞い作法や話し方が美しい人はいませんか?もしかしたら「衣服」が足りて心に余裕が生まれ、礼儀や節度に気を遣うことができる状況の人たちかもしれません。