「エスタブリッシュメント」の意味とは?国内外の使い方と対義語も

「エスタブリッシュメント」とは「権力をもった体制や勢力」という意味です。世界に目を向けると、日本での使い方とイギリスやアメリカでの使い方は異なっています。

この記事では、「エスタブリッシュメント」の意味や語源のほか、国内外での使い方や「エスタブリッシュメント」の対義語などを解説します。

「エスタブリッシュメント」の意味とは?

エスタブリッシュメントとは「権力をもった体制や勢力」

「エスタブリッシュメント」とは「権力をもった体制や勢力」という意味です。広い意味では「社会を形成する体制や支配体制」、または「組織においては権力構造」という意味で使われることがあります。

狭い意味では、権力のある一部の人たちで構成される「権力階級」「特権階級」、または「支配階級」を指していることもあります。

もともとは「反体制派のターゲット」を意味する

「エスタブリッシュメント」という言葉は、もともと「反体制派のターゲット」という意味で使われていました。1960年代のアメリカやイギリスには、社会改革を行おうとする行動主義過激派などがいましたが、彼らが敵対する権力を持つ体制のことを「エスタブリッシュメント」と呼び、対エスタブリッシュメントとして活動していました。

この反体制派が権力のある体制を「エスタブリッシュメント」と呼んだことから、「エスタブリッシュメント」は「権力のある体制や勢力」という意味で使われるようになりました。

エスタブリッシュメントの語源は英語「establishment」

「エスタブリッシュメント」の語源は英語の「establishment」です。「establishment」には「設立」や「創立」という意味があり、また比較的大きな会社や政府機関、大学などの「大規模な組織や機関」という意味もあります。

「エスタブリッシュメント」の意味で「establishment」を使うときには、定冠詞の「the」をつけて「the establishment」とするのが一般的です。

「establishment」の日本語訳は「既存体制」

「establishment」は、日本語で「既存体制(きぞんたいせい)」と訳されることが多いです。「既存体制」とは「すでにある組織の仕組みや制度」という意味です。

「既存体制」という意味以外に、その体制の勢力や組織を指すこともあります。文脈をふまえて、「支配体制」「支配階級」などの日本語訳が適切な場合もあるでしょう。

「エスタブリッシュメント」の国内外での使い方

【日本】政府機関や大手企業を意味する

日本で「エスタブリッシュメント」とは、「政府機関」「大手企業」という意味で使われています。

「政府機関」としての「エスタブリッシュメント」は、権力のある体制や組織という意味合いで用います。一方、「大手企業」という意味では、歴史があり規模が大きな企業という意味です。

【イギリス】王侯貴族という意味で使う

イギリスで「エスタブリッシュメント」とは、「王侯貴族」という意味で使われることが多いです。ある一定の権力をもつ特権階級である「王侯貴族」にこそ、「エスタブリッシュメント」という言葉が相応しく、裕福で高貴な家柄が想像されます。

また、イギリスでは名門大学であるオックスフォード大学やケンブリッジ大学出身の教授や研究者、上級弁護士に名門の一族出身の政治家などが「エスタブリッシュメント」と呼ばれることもあります。

【アメリカ】政府機関や権力のある組織を表す

アメリカで「エスタブリッシュメント」とは、「政府機関」または「権力のある組織」という意味で使われています。例えば2016年の大統領選では、政権を保持していた民主党の大統領候補者オバマ氏とその勢力が、「エスタブリッシュメント」と呼ばれました。

「エスタブリッシュメント」の語源である形容詞「エスタブリッシュド(established)」は、「大勢の人によって構成されている」や「よく知られていて、長い期間成功している」という意味です。つまり「エスタブリッシュメント」とは、多くの人によって支持されているか、または世間に認知されている組織や体制などを指しています。

「エスタブリッシュメント」の類語や対義語とは?

類義語は「既存体制」や「特権階級」

「エスタブリッシュメント」の類義語は「既存体制」「特権階級」などです。「エスタブリッシュメント」の意味から考えて、それを日本語に置き換えた言葉が類語として使われます。

もしも「エスタブリッシュメント」を英語の「establishment」をそのままカタカナに置き換えた言葉として使われた場合には、「設立された機関」という意味のことがあります。その場合には、「機関」のほかに「施設」を意味する「インスティテューション(institution)」も類語になります。

対義語・反対語は「アンチエスタブリッシュメント」

「アンチエスタブリッシュメント」とは、「既存の体制や権力、慣習などに反対の立場をとること」という意味です。言い換え表現として、「反エスタブリッシュメント」や「反既得権層」などが挙げられます。

現政権に反対する立場を取った体制や組織、またはそうした人たちを指して、「アンチエスタブリッシュメント」という言葉が使われるでしょう。

まとめ

「エスタブリッシュメント」とは「権力をもった体制や勢力」という意味で、文脈によって「支配体制」や「権力構造」「特権階級」または「政治機関」などの意味で使われています。さまざまな意味合いのある言葉ですが、「エスタブリッシュメント」の意味が取りづらい場合には、基本の意味である「権力のある体制や勢力」という意味から探っていくと、適切な意味合いが見つかるでしょう。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。