パプリカとピーマンの違いとは?品種や栄養と代用レシピの注意点も

パプリカとピーマンは、シルエットがよく似た野菜です。そのため「違いは色だけ?」「豚肉と炒めたいけど、ピーマンを買い忘れた。パプリカで代用できる?」と思う人がいるようです。植物学的には同種の野菜ですが、色以外にも違いがあるため、どんなレシピでも代用できるとは限りません。パプリカとピーマンの違いを説明します。

パプリカとピーマンの違いとは?

パプリカとピーマンの品種は厳密には異なる

パプリカとピーマンは、植物学的には同じ「ナス科トウガラシ属」の植物です。細かい品種や収穫時期の違いにより、違う食材として扱われます。

パプリカとピーマンの違いは「収穫の時期」

パプリカとピーマンを分ける最も大きな違いは「収穫時期」です。熟す前に、緑色の状態で収穫したものがピーマンと呼ばれます。

成熟するまで待つことで色が変わり「カラーピーマン」になります。赤くなる場合の呼称は「赤ピーマン」です。カラーピーマンの中で、大型で肉厚な品種が「パプリカ」と呼ばれます。

ちなみに、パプリカ以外にも特別な呼び名があるカラーピーマンがあります。パプリカよりも小ぶりな「ジャンボピーマン」や、トマトのような形になる「トマトピーマン」などです。

ピーマンとパプリカの見分け方は「色・サイズ・ヘタ」

店頭では、見た目だけで見分ける必要があります。見ただけで分かりやすい違いが「色」「サイズ」「ヘタ」の3つです。

  • 色の違い
    ピーマンは緑色が一般的です。パプリカは赤・オレンジ・黄色など、さまざまな色があります。
  • サイズの違い
    パプリカの方が大きい傾向があります。
  • ヘタの違い
    パプリカの方が太くてしっかりしているのが一般的です。

パプリカとピーマンの味やレシピの違いとは?

食材としての違いは「苦み」「厚み」

食材としてのパプリカとピーマンの主な違いは「苦みがあるか」「肉厚かどうか」です。ピーマンは苦みや青臭さが特徴です。好きな人にとっては苦みは長所なのですが、苦手な人も少なくありません。日本では特に子どもからの人気が低めです。

パプリカは苦みがなく、かわりに甘みがあります。(海外では、辛みが強い品種もパプリカとする国も)また、ピーマンよりも肉厚なため、食感に違いがあります。

「ピーマン」は過熱に強いため炒め物に向く

ピーマンは苦みが強いため、マイルドになるよう加熱するレシピが人気です。加熱で栄養が損失しにくいため、しっかり火を通す炒め物や煮込み料理に向いています。

「パプリカ」は苦みがないためサラダ・マリネに

パプリカは苦みがないため、サラダやマリネでも食べやすい味になります。ピーマン程ではないとする意見があるものの、加熱に強いため炒め物にも利用可能です。

「パプリカ」のほうが栄養価が高い

パプリカもピーマンも、栄養価が高く健康に良いとされる野菜です。ふたつを比べた場合、ほとんどの栄養価が完熟したパプリカの方が高くなっています。

パプリカとピーマンは代用できる?

代用する際に考慮するのは「味の変化」

パプリカとピーマンは、いくつかの注意点を考慮すれば、代用可能な野菜です。まず考えなければならないのは、味の変化です。シルエットが似ても味は大きく違う野菜のため、完成後の料理の味わいが変化してしまいます。パプリカの甘み・ピーマンの苦みを楽しみたい場合は、代用は避けた方が無難です。

味を変化させたい場合は、代用してみてもよいでしょう。例えば、「ピーマンの苦みが苦手」という人なら、パプリカで代用した方が食べやすいかもしれません。

「煮込み料理」「肉詰め」は注意

パプリカとピーマンを代用する場合、味以外に考慮する必要があるのが「厚みの違い」です。カレーやシチューなどの「煮込み料理」は、煮込み時間を調整する必要があります。厚みの違いから、火が通る時間に差がでるためです。

「ピーマンの肉詰め」は、パプリカで作らない方が良いかもしれません。パプリカは肉厚なため、食べづらくなりやすいのが理由です。

パプリカとピーマンに関する雑学

「ピーマン」は戦後に普及

ピーマンが日本の一般家庭に普及したのは、第二次世界大戦が終戦した1945年以降です。その頃から苦みが強い野菜ではありましたが、食料不足が続いたこともあり、大人も子どもも感謝して食べていたと言われています。

「パプリカ」は1990年代に輸入開始

パプリカは1990年代に輸入が始まり、最初はオランダから輸入していたといわれています。現在では国内でも栽培されていて、生産量が多いのは宮城県や茨城県、北海道です。

ピーマンからパプリカにはならない

パプリカとピーマンが同じ分類の植物であるため、「店頭にあるピーマンの収穫を遅らせればパプリカになる」と思う人もいるようです。しかし、実際にはその可能性は低くなっています。

理由は「パプリカと呼ばれるのは大型種のみ」だからです。基本的に、日本の店頭で販売されるピーマンは中型種のため、完熟してもカラーピーマン(赤ピーマン)に分類されます。

ピーマンの苦みの元は毒ではない

「ピーマンの苦みの元は毒のため、食べたら危険」という考えがあります。たしかに、ピーマンにはアルカロイドという害虫よけの天然毒がありますが、含有量はごく僅かです。「約50kgを一度に食べると危険」という程度で心配する必要はありません。

さらに、アルカロイドが苦みの理由だと長い間考えられていましたが、実際は「ポリフェノールの一種と、ピーマンの香気成分の組み合わせで苦みが生じる」ということが判明しています。

まとめ

パプリカとピーマンは同じ分類の植物ですが、細かい品種や大きさ・味に違いがあります。パプリカは肉厚でカラフル、ピーマンは緑色が中心でパプリカより小さい野菜です。どちらも栄養が豊富なので、それぞれに適したレシピで取り入れてみるとよいでしょう。