「無病息災」とは、健康で元気なことを意味します。神社で「今年も無病息災でありますように」と願ったことがある人も多いでしょう。
一方で「息災ってどういう意味?」「成り立ちは?」と疑問に思う人もいるようです。今回は「無病息災」の意味や類語・対義語とあわせて、「家内安全」との違いについても解説します。
「無病息災」の意味とは
無病息災とは「健康で元気」という意味
「無病息災」の意味は「病気にかからず、健康で元気なこと」、読み方は「むびょうそくさい」です。カジュアルな会話で使うことはあまりない言葉ですが、神社での祈願や年賀状などでは一般的に使われています。
「無病」と「息災」それぞれの意味
「無病息災」の四字熟語は、「無病」と「息災」の熟語から成り立っています。「無病」とは「病気にかかっていないこと」、「息災」とは「健康で元気な様子」という意味です。
「息災」とはもともと仏教用語で、「仏の力で災害や病気を取り除く」という意味でした。そこから転じて、現在の「健康で元気な様子」が一般的に使われるようになっています。「災害を取り除く」という意味が失われていることに留意しておくと、後ほど紹介する類語との違いが分かりやすいでしょう。
四字熟語になった成り立ちは不明
「無病息災」が四字熟語として使われるようになった成り立ちは不明です。「無病」は室町時代、「息災」は平安時代から使用されていることから「似た意味の言葉を重ねて、意味を強調した」と推測されています。
「無病息災」の英語表現は「good health」
「無病息災」の英語表現は「good health」です。健康状態が良いことを意味します。「無病」や「息災」だけの訳としても使用可能です。
2つの熟語を重ねた四字熟語としてのニュアンスを伝えたい場合は「good health and long life(健康と長寿)」にするのも良いでしょう。
「無病息災」の使い方と例文
「無病息災を願う」「無病息災で過ごす」と使う
「無病息災」は、健康を願う言葉として使われます。たとえば、「神社で無病息災を願う」「今年一年を無病息災で過ごす」という表現が可能です。
文言が異なることはありますが、神事・行事には「無病息災」を願うものがあります。例えば、6月と12月末日に行う「大祓」は、半年毎に穢れを祓い無病息災を祈願する神事です。正月のどんと焼きや、節分の豆まきにも「無病息災でありますように」という願いが込められます。
「無病息災」を祈願するお守りもある
「無病息災」のお守りも人気があります。神社では「無病息災」のお守りが用意されていて、祈祷を受けなくても購入できることが多いです。神社以外でも、無病息災に関するお守りやお菓子を目にすることがあるでしょう。
無病息災のお守りで有名なのは「6つの瓢箪(ひょうたん)」です。「6瓢」を「むびょう」と読む語呂合わせから、お守りのデザインに採用されています。
「無病息災」は年賀状の挨拶文に用いられる
「無病息災」は、年賀状の挨拶文にもよく使われています。年賀状以外にも、おめでたい話題に向いています。かしこまった印象の言葉のため、親しい人に使うとよそよそしいと思われるかもしれません。
「無病息災」を使った例文
- 初詣では「今年も無病息災でありますように」と願った
- 健康に良いという伝承があるパワーストーンで、無病息災のお守りを作った
- 皆様の無病息災をお祈り申し上げます。本年もよろしくお願いいたします
「無病息災」の類語とは
「無病息災」の類語は「延命息災」「無事息災」
無病息災の類語には、「延命息災(えんめいそくさい)」「無事息災(ぶじそくさい)」があります。「延命息災」とは無事に長生きできることを願い、「無事息災」とは病気や災いなく平穏に過ごすという意味です。「息災延命」「息災無事」と表記することもあります。
無病息災との違いは「病気以外の災い」です。無病息災は病気についてしか取り上げませんが、「延命息災」「無事息災」は病気以外の災いもない平和な状況を表します。
「家内安全」は「無病息災」とともに使われる
「家内安全」は無病息災の類語で、一緒に祈願されやすい言葉です。「家族や自宅が、天災などの不幸にあわないこと」「家族一同が健康であること」という意味があります。「家内」には「家の中」「家族」の意味があるため、無病息災と違って対象が限定される言葉です。
家内には「自分の妻」の意味もあるため、「家内安全」を「妻がいる人しか使わない言葉」と誤解する人もいるようです。実際は「すべての家族と自宅」が対象のため、使う人を限定する意味はありません。
「無病息災」の対義語とは
「無病息災」の対義語は「一病息災」
「無病息災」の対義語は「一病息災(いちびょうそくさい)」です。「1つぐらい病気がある方が、健康に気を遣うので長生きできる」ことを表します。病気になることを勧めているのではなく「病気をきっかけに健康に気を遣うこと」を重視する言葉です。
持病がある人に「一病息災と言うし、そんなに思いつめないで」と励ます際にも使用できます。
「満身創痍」も対義語として使える
「満身創痍(まんしんそうい)」も、近年では無病息災の対義語として使用できます。類語として使う場合の意味は「さまざまな病気で苦しんでいること」「病気の心労で苦しんでいること」です。
満身創痍には、他にも「全身が傷だらけであること」「非難され、精神的に痛めつけられること」の意味があります。古くから使われていた意味は「傷だらけ」で、他の意味は後から増えたものです。
まとめ
「無病息災」とは、病気もなく健康で元気なことを意味します。神社での祈願のほか、年賀状で相手の無病息災を願うことが多いです。普段の会話で使用することは少ないものの、節目や改まった挨拶としてはよく使われるため意味や類語との違いを押さえておきましょう。