ビジネスワードで誤解されやすい「粛々」という言葉。本来「上から目線」という意味合いはありません。また、「淡々」という言葉と比較されますが、「粛々」と「淡々」では意味が異なります。今回は、「粛々」の意味や使い方、ビジネス・仕事で使用するときの注意点、「淡々」との違いについて紹介していきます。
「粛々」の意味や読みとは?
粛々の意味は「ひっそりと静かにしているさま」「厳粛なさま」
「粛々」の意味は、「ひっそりと静かにしているさま」「厳粛なさま」です。「粛」は、「心・規律などを引き締める」「身を厳しく引き締める」という意味。「々」で繰り返すことで、「粛」の意味を強めています。
政治家や官僚の発言として耳にすることがありますが、日常会話ではあまり耳にする機会はありません。
「粛々」の読み方は「しゅくしゅく」
「粛々」の読み方は「シュクシュク」。「粛」(シュク)は音読みです。
「々」は踊り字のため、「粛」と同じく「々」(シュク)と読みます。踊り字とは「繰り返し符号」と呼ばれる、記号の一種です。「佐々木」のように、同じ字が続いたときに繰り返す場合を表します。
「粛々」を使った4つの文例
「粛々」がよく用いられる文例について、4つの文例と意味を紹介します。
「粛々」の使い方とは?
「粛々」は冠婚葬祭などの場面で用いられる
「粛々」は「厳粛なさま」という意味があるため、厳しく静かに緊張感を感じさせる場面で用いられます。日常生活では、冠婚葬祭と呼ばれる、成人式、結婚式、葬式、法事などの場面です。記念式典など、厳かに執り行われる行事でも用いられます。
ビジネスでは、当初の予定や計画を遂行する場面で用いられます。不測の事態が発生しても、強い意思で予定や計画を遂行する意思表示とも言えます。
「上から目線」の意味合いはない
「粛々」には、本来「上から目線」という意味はありません。しかし、政治家や官僚が、対立する政党や世論の批判や反対を押し切る場面でよく使われています。
そのため、周囲の意見に耳を傾けずに物事を進めるというニュアンスに取られてしまいます。したがって、ビジネスでは「粛々」という表現は避け、「淡々」など別の表現を用いた方が物腰が柔らかくなります。
「清々粛々」は四字熟語ではない
「清々粛々」は政治家や官僚が発言した言葉であり、四字熟語ではありません。「清々粛々」の読み方は「セイセイシュクシュク」。政治家や官僚が、物事を計画通りに行うという意味で用いられます。また、正確な表記がなく「正々粛々」「整々粛々」と表記される場合があります。
「粛々」の類語・言い換え表現とは?
粛々の類語は「厳粛」「厳か 」「粛然」など
「粛々」の意味・使い方としては「ひっそりと静まっているさま」であると紹介しました。
堅苦しい雰囲気や静けさが伝わる言葉であれば、「厳粛」「厳か 」「粛然」などと言い換えることが可能です。場面や相手に応じて、表現を使い分けてみましょう。
「粛々」と「淡々」との違いは”厳粛さ”
「粛々」は「淡々」という言葉と比較されますが、厳密には意味が異なります。
「淡々」の意味は、「色・味・感じなどが、あっさりしているさま」「態度・動作などにこだわらず、あっさりしているさま」となります。「淡々」の読み方は「たんたん」。「粛々」と同じく、「淡」という漢字を「々」によって強調しています。
「淡々」は「あっさりしているさま」という意味があるため、感情の起伏やこだわりが無い様子を表すために用いられます。「淡々」は「粛々」と同じく、「静かなさま」を表していますが、「粛々」には「厳粛なさま」という意味があります。そのため、重大な物事・計画などに対して「粛々」は用いられます。
「粛々」の対義語・英語表現とは
粛々の対義語は「騒々しい」「賑やか」「騒然」など
静けさと真逆の意味を持つ言葉が並びます。人ごみや雑踏など、人が多く集まっていることを表す表現が多くあります。
粛々を英語で表現すると「solemn」「quiet」
「solemn」は、「まじめな」「厳粛な」「荘厳な」という意味。「quiet」は、「静かな」「静粛な」「静寂な」という意味。「粛々」を英語で表現するなら、「厳粛なさま」を表している「solemn」のニュアンスが近いです。
まとめ
「粛々」は強い意思を持って行動する場合に用いられます。そのため、あまりなじみの無い人も多いかもしれません。政治家や官僚が発言する印象が強いため、ビジネスでも少し使いづらい表現になります。
しかし冠婚葬祭など、厳かな雰囲気を表す表現であれば、積極的に用いられます。よく比較される「淡々」との違いをしっかりと理解できれば、表現の幅を広げることができるでしょう。
人生には様々な苦難があるが、先の苦難を案じるより、目の前の問題から解決していくさま。
不測の事態に慌てず騒がず、物事を淡々とこなしていくさま。
どのような結果であれ、自信の成長の糧とするために受け入れるさま。
批判や反対もあるが、黙々と対応していくさま。